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男女賃金格差開示が本格化。格差改善の施策とメリットは?   2023.10.29

2022年7月の女性活躍推進法の省令改正により、301人以上を雇用する企業などの事業主に、男女間賃金格差の情報開示が義務付けられ、1年あまりが経過しました。その間、決算を終えた企業から男女賃金格差の開示が行われています。

 

世界的に見て、この男女間賃金格差の情報開示は、ようやく日本も重い腰をあげた、ともいうべきところなのですが、その格差解消は具体的に進んでいるのでしょうか。

 

その実態とメリットについてデータから考えます。



◾️日本は、男女間賃金格差で世界ワースト4位

 

ご存知の方も多いかもしれませんが、OECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本はこの四半世紀で男女の賃金格差が15ポイント縮小し、21.3%差となりました。しかし、これは、韓国・イスラエル・ラトビアに続き世界ワースト4位です。

 

実際の金額で男女の格差を見てみると、フルタイムに限ったところでも、平均月収は大卒女性は28万8千円と高卒男性の29万5千円に及びません。(厚生労働省:賃金構造基本統計調査 2021年3月より)これに非正規雇用・短時間の労働者を勘案するとさらに格差があることが実感できます。



◾️賃金格差にインパクト大、管理職比率の低迷

 

ここ数年、「共働き世帯」が増えています。夫婦でともに家事や育児を分担していくことが若い世代を中心に「普通」となりつつあり、男性育休も法令の後押しもあって少しずつ浸透してきています。

妊娠・出産・子育て期も柔軟に仕事をしていきたい・続けたいという女性が増え、M字曲線は次第にフラットになってきていると言われています。

 

それでもなお、男女の賃金格差が大きいのには、その組織的な処遇にあると言えるでしょう。具体的には、管理職比率が低い、あるいは非正規雇用者が多いということです。

 

日本生産性本部の調査によると、東証プライム上場企業のうち女性管理職の比率が5%未満の企業が全体のおよそ半数、15%未満となると84.1%というのが現状です。

 

職位とともに給与は高くなるのですから、管理職が少なければ自ずと給与水準は低いままというのは当然の結果と言えます。



◾️管理職登用でも埋まらない格差の原因は?

 

この現状に対して、管理職登用に取り組む企業も増えていることは事実です。しかしながら、この管理職登用の他にも盲点があります。

 

それは、中途採用者に対する待遇です。多くの企業では、中途採用者の待遇を決める際、前職での給与や、社内で同程度の要件を備えた人材、同程度の勤続年数=経験年数として、決定することが多いでしょう。

 

その時点で格差があるとすれば、その格差をそのまま踏襲することになります。



◾️男女格差の少ない企業ほどPBRが高いデータも

 

このように、男女の賃金格差については、古い社会通念やそれによる職場の風土・社員の意識などの他にも、構造的な課題があることがわかります。

 

それらを改善していくのは容易にはいかないため、つい優先順位を下げてしまいがちかもしれません。

 

ただ、データをみると、そうも言っていられない現状も見えてきます。

 

あずさ監査法人が2023年夏、3月期決算の上場企業1800社超の有価証券報告書を分析したところ、PBRが1.5倍以上の企業(478社)の女性管理職比率は平均14.2%と全体平均の9.3%より高く、PBR1倍未満(1088社)の比率は平均以下の7.2%にとどまっていることがわかりました。

 

また、男女賃金差でも同様の傾向が見られました。PBR1.5倍以上の企業(458社)は平均69.3%と全体平均の66.8%より賃金差が小さかったのに対し、PBR1倍未満(1114社)は平均65.8%と差が大きかったのです。

 

この男女賃金格差やその改善の鍵を握る管理職登用比率の改善に注力することが、勝ち抜く企業への有効な一手と言えるかもしれません。




みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、女性活躍推進策・男女賃金格差の改善策についても、アドバイスが可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



ご参考:

■経済協力開発機構(OECD):「男女間賃金格差 (Gender wage gap)」(2022年)

https://www.oecd.org/tokyo/statistics/gender-wage-gap-japanese-version.htm

 

■厚生労働省:賃金構造基本統計調査(2021年3月)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

 

■公益財団法人 日本生産性本部:2023 年 3 月末決算企業の有価証券報告書「人的資本開示」状況(速報版) (2023年8月)https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/hrc20230802_press.pdf

 

■あずさ監査法人:有価証券報告書の開示に関するデータ分析 (2023年8月)

https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2023/08/information-disclosure.html




(文責:コラム担当/金田千和)


 

健康経営「ホワイト企業」「ブライト企業」が増加中。   2023.09.26

経営や採用において「ホワイト企業」という言葉が、よく聞かれるようになりました。


経済産業省が「健康経営」を標榜して、上場企業を対象に、健康経営優良法人認定制度の制定を行ったのは2016年。

従業員の満足度が上がり、採用面でもメリットが大きいこともあり、そこから年々「ホワイト企業」の申請数は増え続けています。


一方、中小企業としてはどのような現状にあるのでしょうか。データも交えてみていきます。



◾️従業員の7割が健康面に課題。仕事に影響を感じる人も。



株式会社マイナビは、企業に勤務する個人と、人事・労務・企業内の健康経営担当者に対して「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」を行い、合わせて1000人あまりから回答を得ました。


それによると、個人の約7割が健康面に何かしらの不安を抱えていることが明らかとなりました。具体的には、最も気になるものとして「運動不足」39.9%、「ストレス」35.2%、「肥満」24.2%、「メンタルヘルス不調」19.4%があげられています。


その中でも「メンタル不調」については、「メンタルの不調を感じたことがある」という個人は33.4%と3割を超えていました。さらに、「メンタル不調が仕事に影響しているか」聞くと「大いにある」20.1%、「ある」26.7%、「若干ある」39%と、それらの人の多くが、「仕事に影響する」と答えています。



◾️健康課題解決に取り組む企業は約半数にとどまる。

 

一方で、残念ながら、企業の対策は後手に回っているのが現状のようです。

企業の人事担当者らを対象に、「従業員向けに健康課題解決のための取り組みを行っているか」を尋ねたところ「取り組んでいる」企業は50%でした。


調査の中ではその原因までは質問に及んでいませんが、多くの場合、多忙な人事に任せてトップがあまりタッチしていない、具体的な施策が打ち出せない、「健康管理は個人の問題」という古い考えかある、などのケースが散見されます。


ただ、少子高齢化で優秀な人材の確保が難しくなっていくことは必至です。前述した通り、採用面での効果、現在働いている従業員の満足度、ひいてはパフォーマンスのためにも、優先的に取り組んでいただきたいテーマであることは間違いありません。





◾️中小企業にも「ブライト企業」認定制度が浸透中。


「ホワイト企業」という名称は、働きやすく従業員に優しい企業という一般的なイメージ、「ブラック企業」の反対語として浸透しています。

しかし、前述のように正確には「ホワイト」企業は、2016年の健康経営優良法人認定制度で健康経営に取り組んでいると認定された上場企業をはじめとする大企業の称号です。


実は、中小企業についても健康経営企業への認定制度が始まっていることをご存知でしょうか。2021年より、「健康経営優良法人認定制度」における中小規模法人部門のうち、上位500の企業に「ブライト500」という称号が与えられることになりました。


2023年度には、中小規模法人部門に1万4012法人が申請(昨年比1割増)をするなど、働く人にとって魅力的な会社であることをアピールできると、ますます関心が集まっています。




◾️「健康経営優良法人2024」申請期限は10月末まで


もちろん、申請にあたっては「くるみん」同様、制度要件にそった社内整備は必要です。ただ、申請にあたっての取り組みによって、従業員のモチベーションやパフォーマンス、定着率のアップという効果は実際見込めるようです。


「健康経営優良法人2024」は、申請期限は10月末までとなっています。これを機会に「ブライト企業」「ホワイト企業」を目指してはいかがでしょうか。




みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、健康経営や健康経営認定制度の申請についても、アドバイスが可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。

 

ご参考:

■株式会社マイナビ:「企業と従業員の健康課題への認識に関する調査」(2023年5月)

https://www.mynavi.jp/news/2023/05/post_38752.html


■経済産業省:ACTION!健康経営|ポータルサイト(健康経営優良法人認定制度)https://kenko-keiei.jp/





(文責:コラム担当/金田千和)


 






面接でNG質問の経験者は2割! 貴社の質問内容は大丈夫?   2023.08.25

人材の本格的な不足時代に備えて、4月入社の新卒採用に加えて、秋期入社の新卒採用、あるいは年間を通じた中途採用などに取り組む企業が増えてきています。派遣人材のニーズも高止まりしていると言えるでしょう。


まさに、人事部門は通年で面接を行う状況になっていますが、面接はある意味、企業と個人のダイレクトな接点だけに、大切にしたい場面です。


「採る側」からは見落としな視点について、調査をもとにあらためて考えます。



◾️NG質問は「宗教」「支持政党」「本籍地」だけではない


連合(日本労働組合総連合会)は、「就職差別に関する調査2023」を行いました。最近3年以内に就職のための採用試験(新卒・中途)を受けた、全国の15歳~29歳の男女1,000名を対象に、インターネットで回答を得ています。


そこでは、「人事がしてはいけない質問はなんだと思いますか?」と聞いています。意外にその正答率は低く、5割を超えたのは「宗教」(56.7%)と「支持政党」(50.1%)のみでした。


応募者自身も質問しては項目があるとは知っていても、その細目は把握しておらず、知らず知らずのうちに人権侵害となっているケースは多いことが伺えます。



◾職安法で定められたNG質問とは?


実は、してはならない質問項目は、職安法で決められています。つまり、明らかな「法律違反」となるわけです。


この項目は、口頭で聞くだけではなく、書面や関係書類を提出させることも明らかな法律違反となるので注意が必要です。


⚪️本籍地

「ご両親の出身地はどこですか」「生まれてから、ずっとそこに住んでいますか」も×


⚪️家族の職業

「ご家業は?」「お父さんのご役職は?」なども×


⚪️家族の収入、資産、住居状況

「ご両親は共働きですか」「学費は誰が出しましたか」「ご実家は一戸建てですか」

「お母さんがいらっしゃいませんがどういったご事情ですか」なども×


⚪️思想・宗教、支持政党、尊敬する人物

「信条としている言葉は?」「愛読書は?」なども×


⚪️自宅付近の略図、経路などが類推できること

「○○市・区のどのあたりですか」「国道○○号線(○○駅)のどちら側ですか」

「お住まいの地域は、どんな環境ですか」なども×


⚪️男女雇用機会均等法に抵触する質問

「結婚、出産したとしても働き続けますか」「結婚の予定はありますか」なども×


特に、住んでいる地域や出身地などは、ついアイスブレイク的に聞きがちです。しかし、応募者の能力や適性を測る上で無関係なばかりか、人権侵害につながる項目になってしまいますので注意したいものです。



◾️「不適切な質問・発言をされた」と感じた人は2割。その内容とは?


では、応募者が明らかに不適切と感じた質問あるいは発言はどのくらいあったのでしょうか。調査の中では約2割の人が経験があると答えていますが、その内容はハラスメントと取られても仕方ないもの散見されました。


例を挙げると

・『女性だからどうせ辞める』と言われた(25歳・女性) 

・『女性のほうが仕事が丁寧だから』と言われた(25歳・男性)

・『男性だから○○ですよね』と言われた(28歳・男性)

・結婚観を聞かれた(21歳・女性)(22歳・男性) 

・入籍日や別居理由について聞かれた(21歳・女性) 

・『転勤先でも出会いはあるよ』と言われた(28歳・女性)

・母子家庭であることについて聞かれた(24歳・男性)

・体型について聞かれた(22歳・女性)

・人種に関する質問をされた(28歳・男性)

・学生時代の選択に矛盾が生じていると嘲笑気味に言われた(22歳・女性)

・性的指向に関して一方的な決めつけをされた(22歳・女性)


いずれも、応募者の能力や適性と関係のない質問や発言であり、面接者の個人的で勝手な思い込みが現れているように見えます。応募者がその場で辞退しかねない内容ですね。



今までそれで通ってきたからと、採用エントリー〜面接の内容をそのままにしている企業は少なくないことがわかります。


ただ、働く側も企業も大きく価値観が変わり、コンプライアンスが求められるなか、応募者に選ばれる企業になるには、関わるスタッフの意識改革も含めて見直す必要がありそうです。


あらためて、面接で何を聞いたらいいんだろう?と戸惑うところも多いかもしれませんが、

そこは、面接や選考の原点に立ち戻り、自社の基準に照らして「応募者の適性や能力を知るための質問だけをする」こと、「人権をの尊厳を損なう質問はしない」の2点を考えた内容を再構築することしかないでしょう。



みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、人材採用や活用に関わる実務やコンプライアンスついても、アドバイスが可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



ご参考:

■日本労働組合総連合会『就職差別に関する調査2023』

(2023年5月)

https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20230531.pdf



■女の転職Type『面接で企業がしてはいけない質問』

https://woman-type.jp/academia/knowhow/interview/ngquestion/




(文責:コラム担当/金田千和)


求められるLGBTQ+従業員支援の取り組み。その意外な効果とは?   2023.07.28

法案の提出から7年を経て、2023年6月に「LGBT理解増進法」が成立しました。内容については様々な議論は続いていますが、まずはそういった議論が広く行われるようになったことは大きな転機と言えるかもしれません。

 

このような中、企業では性的マイノリティ(LGBTQ+)当事者を支援するために、今現在はどのような対応を行っているのでしょうか。

 

調査からわかった、その取り組みの実情と現れている効果についてお伝えします。




◾️性的マイノリティ当事者は5.3%。周囲は助けてくれるが、会社の取り組みはまだ。

 

アデコ株式会社は、正社員として働く20代から50代の会社員2,000人(各年代男女250人ずつ)を対象にインターネットで、LGBTQ+(性的マイノリティ)とジェンダー・ギャップに関する意識調査を行いました。

 

それによると、「自身を性的マイノリティであると考えている」と回答したのは全体の5.3%。つまり少なくとも20人に1人は性的マイノリティ当事者であることがわかりました。

 

そのうち、カミングアウト(公言)している人は26.7%とまだ少数。

ただ、職場において「性自認や性的志向に関する悩みについて相談できる相手がいる」と回答した人は59.1%にのぼりました。

 

自分が当事者であることは公言はしていないものの、周囲で悩みを相談できる相手がいる人も半数以上ということがわかります。

 

しかし、会社として取り組みが実施されているかどうかというと、自分の務める職場で性的マイノリティのための制度導入や理解促進のための取り組みが実施されているところはわずか18.5%にとどまりました。

 

 

◾️「LGBTQ+従業員を支援する取り組み」は大企業で約4割、中小企業で2割以下

では、実際企業としての取り組みはどれくらい進んでいるのでしょうか。

Indeed Japan株式会社は「LGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査」を行っています。回答を得たのは、全国の20~50代までの会社・団体の経営者・役員、会社員 62,325名(うち人事に携わる人500名)でした。

 

それによると、LGBTQ+の人に対する取り組みを行っているのは、大企業(1,000名以上)では39%、中小企業(2~999名)は18%にとどまっていました。

 

具体的な施策としては「面接や応募者とのやりとりにおいて、LGBTQ+当事者への差別的な発言をしないようにしている」が40.8%、「企業サイトにLGBTQ+当事者の従業員への取り組みの有無を掲載している」は23.0%、「求人票にLGBTQ+当事者の従業員に関する制度や福利厚生の内容を記載している」は20.4%でした。

 

企業としては、様々な立場の社員への施策対応を迫られている中で、まずは「女性」(63.6%)や「子どもをもつ人」(60.4%)「障がいのある人」(49.9%)そして「外国籍の人」(40.4%)に対して優先順位は向けられているようです。

 

その中で、今現在「LGBTQ+」に対する取り組み実施は24.2%と、最下位。法案が成立し、今後LGBTQ+当事者の従業員への施策への取り組みが充実していって欲しいものです。

 

 

 

◾取り組みは、当事者以外も働きやすい企業文化につながる効果も


取り組みを実施している企業では、その効果は現れやすく、「SOGI(性自認・性的指向)ハラスメントが減少した」(27.4%)との回答が多く、結果「LGBTQ+当事者の従業員平均勤続年数が長い/伸びている」というところが7割に達しています。

 

また、施策を導入していない企業との比較でいうと「ダイバーシティ(多様性)が担保されている」が約2倍、次いで、「お互いを認め合う/尊重し合う風土がある」が約1.6倍となっています。

 

LGBTQ+当事者の従業員に対する取り組みを行う企業では、ダイバーシティのある企業文化が醸成され、結果、当事者のみならず誰もが働きやすい環境づくりにつながっていると言えそうです。

 

従業員の職場環境に対する満足度が上がることで、採用や人材活用の面での効果も期待できます。

 

「LGBT理解増進法」は、今現在は罰則を伴わない理念法のため、後回しになりがちではあります。ただ、その趣旨を理解して社内環境を整えていくことで、採用や人材活用面でのメリットは大きいと考えられます。

 

みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、法令に則した具体的な社内での施策、従業員への対応について、アドバイスが可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



ご参考:

■アデコ株式会社『LGBTQ+(性的マイノリティ)とジェンダー・ギャップに関する意識調査』

(2023年6月)

https://www.adeccogroup.jp/pressroom/2023/0628



■Indeed Japan株式会社『LGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査』

(2023年6月)

https://jp.indeed.com/press/releases/20230622-2(プレスリリース)

https://d341ezm4iqaae0.cloudfront.net/press/sites/2/2023/06/21185051/%E3%80%90%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%80%91%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AELGBTQ%E5%BD%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E3%81%AE%E5%BE%93%E6%A5%AD%E5%93%A1%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB.pdf(調査資料詳細)




(文責:コラム担当/金田千和)




 


 

 

 


それって「リモハラ」? 遅れる理解と対策の現場   2023.07.02

ここ数年、日本国内でもハラスメントについての意識が高まっています。数年前なら気にも止めなかったことも、敏感に「それはパワハラでは?」「セクハラと取られかねない」など気にされるようになった方も多いのではないでしょうか。

 

株式会社ライボの調査機関であるJob総研では、従業員数20人以上の企業に勤務する20~50代の人に「2023年ハラスメント実態調査」行い、男女351名から回答を得ています。

 

様々なハラスメントのうち、意外に知られていない「リモハラ(リモートハラスメント)」について、気になるデータをピックアップします。



◾️正しくリモハラを理解しているのは15%、

特に部長職が「リモハラの内容をよくわかっていない」

 

何がリモハラに当たるのか、その内容を把握しているか聞くと、「正しく把握している」人のは15.5%に留まりました。

それに対して、6割の人は”曖昧な内容で把握している”状況でした(「把握しているつもりだが正しいかは曖昧」39.1%「なんとなく把握している」22.9%)。また、「把握していない」人も22.5%にのぼりました。

 

リモハラという言葉を耳にしたことはあっても、実際の職場での行動の中で何がリモハラに当たるのかは、明確でない状況だと言えます。

 

またこれを役職別で見ていくと、「正しく把握している」の回答率が高かったのは課長クラス(28.6%)。一方で、「全く把握していない」の回答が多かったのは部長クラスで36.4%でした。

 

リモハラをしてしまったかもしれない加害経験を聞くと、「ある」「どちらかといえばある」を合わせても5.9%、「ない」「どちらかといえばない」が合わせて94.1%でしたが、

リモハラへの理解度を考えると実態とかけ離れている可能性も否めません。

 

管理職をはじめ、リモハラについての啓蒙は今後必要と思われます。



◾️リモハラの具体例

 

では、具体的にどんなことがリモハラに当たるのでしょうか。主なものとしては以下のようなことがあげられます。

 

・業務中、チャットやメールなどで常に監視をする

・業務内容の報告を過度に求める

・Webカメラを常に繋げた状態を強要する

・オンライン会議中に映り込んだ室内の様子や音声への過度な詮索

・オンライン飲み会への参加の強要

・オンライン会議でのセクハラ行為

 

調査の中でも、被害・加害経験として多かったのは「Webカメラを常に繋げた状態を強要」「業務内容の報告を過度に求める」でした。

 

その背景として、リモートワークは部下が働く姿が直接見えないため、部下の勤怠について、不安を感じる管理職が多いことがあげられます。

リモートワークだから、相手の状況や心理がわからず気を遣うという声がある一方で、不安なあまり踏み込んでしまう状況はあるようです。

 

リモートワークでも適切なマネジメントは可能です。より働き方の向上につながる機会と捉えて対策を講じることも必要かもしれません。



◾️リモハラ防止対策は「ない」「有無を知らない」が8割超

 

さて、そんな中、リモハラに対しての防止策の実情はどうでしょうか。

 

「職場にリモハラの防止対策はあるか」という問いについて「ある」という回答はわずか14.2%でした。また「ない」は34.8%「有無を知らない」は51%と、合わせると8割を超える結果となっています。

 

また、職場でのリモハラ防止対策については「不満足」は71.5%と、7割以上が自社のリモハラ防止対策に不満を抱えていることもわかりました。



調査の中では、自由回答で「コロナ初期の頃はリモハラももっと多かったが、減ってきたと感じる」という声もありました。ただ、リモートワークが一つの働き方の形として定着する今、そのハラスメント防止策はしっかりと講じていく必要はありそうです。




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また、創業以来、自社でもリモートワークを推進しており、その豊富な実例を元に、アドバイスが可能です。

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ご参考:

■Job総研『2023年 リモハラの実態調査』

(2023年3月)

https://job-q.me/articles/14922

 

(文責:コラム担当/金田千和)


ハケンの働き方に変化。「副業」としての選択も。   2023.06.01

 

エン・ジャパンは、自社の運営する派遣情報サイト『エン派遣』で「希望の働き方」について昨年に続きアンケート調査を行ないました。

 

このアンケートの対象は、派遣として就業経験があり、かつ現在派遣での仕事を探している人で、昨年・今年とも約900名の回答を得ています。

 

今回はその結果の中から、気になるデータをご紹介します。


 


◾️希望派遣期間は「1年以上」が半数以上に。3ヶ月以下は再び減少へ。

 

「どのくらいの期間のお仕事をさがしていますか?」という質問に対して、今年の調査では59%が「1年以上」と回答。これは昨年に実施した同調査に比べ13ポイントの増加です。

 

「3ヵ月未満」の仕事の希望者については、新型コロナウィルスの感染拡大前の2020年には22%、昨年2022年には35%と増加したものの、今年2023年には再び22%に減少しています。

 

多くの企業でコロナ前のような業務を再開しようとする動きもあり、そんな中、多くの派遣の人が長期の契約を希望する傾向が回復していることが伺えます。

 


◾️フルタイム・パートタイムとも、希望勤務時間はやや短時間に

 

「希望の勤務時間」は、「フルタイム・1日実働7時間未満」がトップで40%という結果でした。全体的に「フルタイム」(「実働7時間未満」+「実働7時間以上」)がわずかに増加しました。(2022年:54%→2023年:56%)

 

年代別で見ると、前回調査同様、20代以下と 50代以上が「フルタイム」を希望する割合が高く、30代・40代は「パートタイム」(「実働4時間未満」+「実働4時間以上」)を希望する人の割合が高い傾向です。

 

ただ、同じフルタイム、パートでも「以上」から「未満」へと短い勤務時間を望む傾向がどの年代でも顕著です。全体でいうと、4時間「以上」のパートは30%→14%、4時間「未満」のパートは13%→27%、7時間「以上」のフルタイムは37%→16%、7時間「未満」のフルタイムは17%→40%となっています。

 

その理由については、この調査では収集されていません。ただ、コロナ禍で通勤に対するストレスが増えたり、在宅勤務のメリットを体感したことで、働き方への意識に何らかの変化が起きている可能性もあるのではないでしょうか。

 

 

◾️副業としての「派遣」は4割!

 

同調査の昨年のプレスリリースでは、「探しているのは本業か、副業か」(複数回答)という項目についての発表がありませんでしたが、今回はそれについても発表されました。

 

それによると「メインのお仕事として」は78%、「副業として」は38%(1ポイント増)という結果でした。つまり、派遣+派遣も含めたダブルワークも考えている人も多いということになります。

 

起業をはじめ、さまざまな副業が考えられる中、堅実な収入確保につながる副業として派遣も選択肢に入っていることが見て取れます。

 

 


みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、特に派遣業に関しては、専門家として豊富な実例を元に、アドバイスが可能です

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ご参考:

■エン・ジャパン株式会社/

派遣経験者に聞く“希望の働き方”ー『エン派遣』ユーザーアンケートー

(2023年5月)

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/enjapanhp/wp-content/uploads/20230517103937/20230517_%E3%82%A8%E3%83%B3%E6%B4%BE%E9%81%A3%EF%BC%88%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%EF%BC%89.pdf

 

(2022年5月)

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/enjapanhp/wp-content/uploads/20220502181952/20220502_%E3%82%A8%E3%83%B3%E6%B4%BE%E9%81%A3%EF%BC%88%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%EF%BC%89-1.pdf

 

(文責:コラム担当/金田千和)


 



 


 



女性活躍推進法、あと2年。中小企業の実態は? 打開策は?   2023.04.27

2016年4月に女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」が施行され8年。度々改正法が施行され、101人以上の企業にも取り組みが義務化されました。

 

実は、同法は2025年度までの時限立法です。昨今は働く女性の環境は改善傾向と言われていますが、実情はどうなのでしょうか?

 

その一旦が知れる、調査データをご紹介します。



◾️6割の中小企業が「女性管理職比率は5%以下」


 

エン・ジャパンは、従業員数300名以下の企業の人事担当者を対象に「女性活躍推進」についてアンケート調査を行ない、353社より回答を得ました。

 

その中で、なんと63%の中小企業が「女性管理職比率は5%以下」であることがわかりました。

 

政府は「女性管理職の割合を2020年代の可能な限り早期に30%程度」という目標を掲げています。しかし、自社がその目標に達している「女性管理職比率は30%以上」と回答した企業はわずか12%にとどまりました。

 

企業規模問わず国内全体の企業のデータにおいても、女性管理職比率は平均9.4%(2022年7月帝国データバンク調べ)。依然として低水準が続いています。




◾️女性活躍推進法「対応完了」企業は8%。対応企業はメリットを享受


 

「女性活躍推進法」への対応の遅れもデータには如実に現れています。「すでに必要な対応が完了」と回答した企業は8%、「現在取り組んでいる最中」も8%と決して多くはありません。

 

ただ、これら「対応完了」「取り組み中」の企業は、企業経営全体にいい影響がもたらされたことを感じているようです。

 

「女性活躍推進法」への対応によって、「企業のイメージがアップ」(28%)、「産休・育休取得者が増加」「職場風土が改善」(同率24%)のほか、「フレックスやテレワークなど働き方の選択肢が増えた」「柔軟な働き方に伴うキャリアプランが増えた」「優秀な人材の確保につながった」「長時間残業の削減につながった」「離職率が下がった」など、男女問わず働きやすい職場になっている様子が伺えます。









◾️女性の意識変容か? 働ける環境整備か?


 

女性社員の活躍推進をすすめる上で課題と感じることについては、「社内に女性のロールモデルがいない(少ない)」「女性社員の意識」が同率45%でトップでした。

 

中小企業においては、「管理職の意識」(36%)「経営層の意識」(35%)「男性社員の意識」(22%)よりも、女性側の意識の方が問題と感じている面が多い印象です。

 

前述の帝国データバンクの調査でも、多くの企業では「性別に関わらず成果で評価」「性別に関わらず配置・配属」を半数以上の企業が意識しており、職場での戦力としての期待の方が大きいことが現れています。

 

一方で、政府が昨今強力に推し進めている「男性の育児・介護休業の推進」「男性が家事・育児をしやすい働き方の推進」といった、男女ともに育児・家事を前提とした働く環境整備に目を向けている企業は1割ほどでした。

 

活躍したいけれど、物理的に難しい状況に置かれてきた女性に活躍してもらうには、こういった男女問わず働きやすい、子育てなどとの両立に負担の少ない環境整備が今後のカギになりそうです。




みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、特に女性活躍推進についても、具体的な取り組み事例などを元に、アドバイスが可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



ご参考:

 

■エン・ジャパン株式会社/中小企業350社に聞いた「企業の女性活躍推進」実態調査 2023

(2023年4月)

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/enjapanhp/wp-content/uploads/20230405100009/20230405_%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%BF%EF%BC%88%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%81%AE%E5%A5%B3%E6%80%A7%E6%B4%BB%E8%BA%8D%E6%8E%A8%E9%80%B22023%EF%BC%89.pdf



■帝国データバンク/(プレスリリース)女性登用に対する企業の意識調査(2022年)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000529.000043465.html#:~:text=%E6%9C%AC%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AF%E3%80%81TDB%E6%99%AF%E6%B0%97,%E6%9C%88%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82&text=%E8%87%AA%E7%A4%BE%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%EF%BC%88%E8%AA%B2%E9%95%B7,%E6%B0%B4%E6%BA%96%E3%81%8C%E7%B6%9A%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82



(文責:コラム担当/金田千和)


 

 

派遣社員の待遇改善傾向を牽引する派遣法、後押しする景況   2023.03.31

同一労働同一賃金の実現を目指して、改正労働者派遣法が2020年4月に施行されて約2年。

派遣労働者に対しての待遇改善が進む様子が、官民問わずさまざまなデータにも現れています。



◾️派遣社員の退職金制度の導入率は77%に

 


厚生労働省の「労働者派遣事業報告書」の2022年6月での集計によると、派遣社員に対して、何らかの方式で退職金制度を導入している企業は77%に上りました。

これは、今回の改正労働者派遣法施行以前が導入率9%だったことに比べると、かなりの増加といえます。

 

この要因として考えられるのは、派遣社員と社員との“あらゆる待遇の差”について合理的な説明ができない場合は違反とみなすという、同法に示された厳格な姿勢です。

 

また、退職金については、「派遣先均等・均衡方式」に加えて「労使協定方式」も選択できることになったことも大きいと言えるでしょう。

 

「労使協定方式」は、派遣事業所と派遣社員の間で、厚労省が示す賃金や退職金、交通費の一般水準以上の労使協定を結べば同一賃金規定を満たしたことになる仕組みで、「派遣先均等・均衡方式」に比べて実施しやすい方式です。派遣事業所の9割超が同方式を採ったことで大きく導入率が伸びたと思われます。


 

◾️派遣社員の時給が4ヶ月連続で最高額を更新

 

一方で、法改正による待遇改善の流れと並行して、派遣社員の時給も増加を見せています。

エン・ジャパン株式会社が毎月行っている、「三大都市圏 募集時平均時給レポート」の2022年2月分によると、派遣社員の時給は1,657円。4ヵ月連続で過去最高時給を更新しました。

特に経験者の時給はいずれの職種についても伸びが大きく、ITに関しては同じ難易度の仕事でも相場が上昇しています。収入アップを目指し離職するケースも散見されることから、人材の「確保」と「定着」を目指しての時給アップする傾向が強くなっています。

 

 

 

◾️進む派遣社員の待遇改善の背景には?


以上のように、改正労働者派遣法から3年を経て、大きく派遣社員の待遇・給与などの改善は一層進んできています。


ただ、その背景には法令改正への対応のみならず、正社員、特に経験者の採用が難しくなっている現状があります。経済が先行き不透明な中、人材獲得戦略の1つとして、企業が派遣労働者の活用に活路を求めようとしている流れもあると言えるでしょう。




みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、特に派遣業においては、専門家として、法令に即した給与制度や社内規定の変更などについてのご相談も可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。


ご参考:

■厚生労働省/労使協定書の賃金等の記載状況について

(一部事業所の集計結果(令和4年度))

https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001027367.pdf


■エン・ジャパン株式会社/『エン派遣』三大都市圏 募集時平均時給レポート

(2022年2月分)

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/32048.html



(文責:コラム担当/金田千和)


 

インフレ・円高……我が社は賃金アップをする?しない? 調査データにみる企業の葛藤   2023.03.01

2023年4月から労基法によって中小企業に対しても時間外労働に対する割増賃金率の引き上げが求められることになっています(*詳細は下記ご参考資料)。

その一方で賃上げによって、従業員のインフレによる経済的負担を軽減しようという動きも出てきています。昨年12月の消費者物価は4%増。40年ぶりの上昇率となったことから、働く人の賃上げの要望・期待の声が上がるのは無理からぬことでしょう。

それに対して企業はどのような対応状況・意向なのか、調査データからみていきます。

 

 

◾️「割増賃金率引き上げ」しなくては…しかし対応が遅れる中小企業

 

目の前に迫った、法令施行。エン・ジャパンが昨年末中小企業対象に行った調査によると、この「割増賃金率引き上げ」について、8割の中小企業が「知っている」(内容も含めて:36%、概要だけ:44%)と回答しました。

 

そして、65%の企業が「従業員への正当な報酬として当然」「長時間労働をさせないという企業にとっての抑止効果になる」などの理由から肯定的に捉えていることもわかりました。

 

ただ、割増賃金率の引き上げに対応にあたって「経営に支障が出る」と考える中小企業は4割。そのためか、なかなか取り組みは進んでいないのが現状のようです。

 

調査が行われたのは2022年12月でしたが、その時点で「既に必要な対応を完了した」と回答した企業はわずか11%、「対応方法が決まっている」(取り組んでいる、取り組む予定)も29%という結果でした。



◾️「人材が最も重要な投資分野」の一方、

6割の中小企業は物価の上昇にともなう賃金反映「対応予定なし」

 

日本生産性本部の調査では、「従業員への投資が重要」と答える企業が9割を超え、これは「IT」「研究開発」の2倍のポイントとなっています。企業規模にかかわらず、企業が人材が最重要と考えていることがはっきりとわかる結果と言えます。

 

 そして、最近の消費者物価の上昇を正社員の給料に反映するかどうかについて、ベースアップや一時金支給など「何らかのかたちで対応する」と答えた企業が6 割近くを占めました。

 

 ただし、回答した企業のうち、従業員数 300 人未満の中小企業に限ってみてみると「対応する予定はない」が 55.7%となっています。

その理由は「いったん賃金を上げると下げられない」「生産性が高まっていない」など挙げられており、ここでも難しい経営に直面する企業の姿が伺えます。



 

◾️「給与が高い企業へ」就活学生や派遣社員にみる動き

 

ただ、働く側にはジリジリと「背に腹は変えられない」という意識は高まっているようです。

理科系学生の就活サイトを運営するテックオーシャンの行った24年卒理系就活生対象のアンケートによると、就職先選びの第一条件は「給与・待遇」(55.1%)で、これは他の条件を大きく引き離しています。

また、エン・ジャパンの行った派遣社員に対する調査では、前年に比べて時給がアップした派遣社員は24%でしたが、その約半数は「時給の高い仕事への転職」によるもの。自ら、あるいは担当者を通じての「勤務先との交渉」などに比べてこちらも突出しています。



人材の大切さを感じていながらも、給与・待遇を改善するのに二の足を踏む中小企業。今後の経済状況にもよるのかもしれませんが、各社とも人材の確保のために対応が急がれている状況と言えそうです。



 

みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、法令に即した給与制度や社内規定の変更などについてのご相談も可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



 

ご参考:

■厚生労働省/中小企業の事業主の皆さまへ

「2023年4月より月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」

https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

 

■エン・ジャパン株式会社/中小企業550社に聞いた「割増賃金率引き上げ」実態調査

(2022年12月~2023年1月)

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/32081.html

 

■日本生産性本部/「人材を生かす賃金」に関するアンケート調査

(2022年12月)

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/innocon20221219_pres.pdf

 

■テックオーシャン株式会社/企業選びの条件「1位は〇〇」24卒理系就活生574名本音アンケート!(2022年7月)

https://techoffer.jp/rikeishukatsu/questionnaire2/

 

■エン・ジャパン株式会社/「派遣の給料・時給」についてのアンケート調査

(2022年12月〜2023年1月)

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/31942.html





(文責:コラム担当/金田千和)

 

 


 

 


進む「出社回帰」。「テレワーク離れ」の理由は?   2023.01.27

2020年以来、約3年間労働環境にも大きな影響を与えてきたコロナ禍。ここにきて、マスクの着用推奨の緩和や、春頃に「5類」にされる見通しもあり、その流れもあってか、ここ数ヶ月で企業の従業員の出社勤務を増やす傾向が顕著です。その実情と影響についてみてみました。



◾️テレワーク継続企業は半数近くに。「『コロナ対策』終了=出社」の企業も

 

日本生産性本部の「第11回 働く人の意識調査」によると、企業のテレワーク実施率は2020年5月には31.5%でした。しかし、2022年10月には、17.2%と大きく減少傾向にあります。

 

この背景として考えられるのは、「コロナ対策」として取られてきたテレワークをやめる企業の存在です。

 

それは、就職情報企業の学情が人事対象に2022年12月に行った「勤務形態」に関する調査結果にも現れています。

 

同調査によると、「在宅勤務・テレワークを導入していますか」の問いに対して「コロナ以前から導入している」と答えた企業はわずか5.1%。「コロナ対策として導入した」企業は全体で72.1%で、そのうち「現在も継続している」のは46.1%、「現在は実施していない」のは26%でした。

 

コロナの収束状況に合わせて、対策としてのテレワークをやめる傾向は、今後進んでいくと考えられます。



◾️「テレワークを続けたい」労働者。3年間で意識変化も。

 

しかし、一方で働く側の意識やライフスタイルはこの3年間で大きく変わり、テレワークに対して魅力を感じる人も増えていることは否めません。

 

前述の日本生産性本部の調査でも、働く人に対して「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」と聞いていますが、8割近くの人がテレワークの継続を希望しています。「仕事の効率が上がった」人も6割、「働き方に満足している」人も8割にのぼりました。

 

内閣府の調査の中でも、テレワークになったことでの生活・仕事意識の変化について触れられています。通勤の時間やストレスが減り、家事・育児をゆとりを持ってできる、趣味や家族との時間が取れるといった、ワークライフバランスの向上を体感している人が多いようです。

 

この3年間で「新様式」という言葉も生まれましたが、働く側としてテレワークが1つの「新様式」、選択したい働き方として認識されるようになったことは確かです。実際、派遣人材募集においても「テレワーク可能」は人気の案件となっているのは多くの方が知るところでしょう。



◾️「企業のテレワーク離れ」の原因は?

 

当初は、通信環境など働く側のテレワーク環境やセキュリティが課題と言われてきた日本国内のテレワーク。しかし、この3年間でテレワークが可能な環境条件は整備されてきています。

 

にもかかわらず、働く側の希望がありながらも、テレワークが減っているのはなぜなのでしょうか。

 

世界的に見ると、コロナ禍を契機にテレワークが発展して、そのまま新たなワークスタイル・ビジネススタイルとして定着していく傾向は自然な流れになっています。さらに、テレワークに伴うニーズが、通信やECコマースなどをはじめとしたビジネスに恩恵をもたらしている状況もあります。

 

考えられるのは、欧米とは異なる日本独特の雇用組織マネジメントです。

 

ご存知のように、多くの欧米企業では職務型、ジョブ型と言われる採用とマネジメントが行われています。企業は必要とする仕事・役割に見合った能力を持つ人を採用します。そしてその職務内容も細部まで定め、仕事の成果に応じた賃金を支払います。

 

なので、働く側は、その仕事に専念し期待される成果を上げさえすれば良いので、上司からの細かい指示・管理がなくとも、仕事を遂行しやすい状態です。テレワークにも適した形といえるでしょう。

 

それに対して日本は、仕事や役割を明確にせず、人材採用を行う企業が一般的です。メンバーシップ型と呼ばれますが、社内で時間をかけて教育・育成して成果を出せるようにしていく形です。

 

従って、マネジメントする上で必要とされるのは「業務における成果」の他に「企業に対するロイヤリティ」「仕事への取り組み姿勢」といった定性的な要素です。これに対しての、プロセス管理も必要となってきます。

 

テレワークでのマネジメントがシンプルにいかない、社員・スタッフのテレワークを継続することに二の足を踏んでしまう原因の1つになっているようです。



一足飛びに組織のマネジメントを変えてしまうのは難しいことです。しかし、うまくテレワークを併用することで、テレワークを希望する社員・スタッフの働く満足度は上がりますし、人材確保の上でメリットは大きいと言えます。

 

そういった意味で、テレワークを継続するかどうかは、企業にとって1つの岐路となっているのかもしれません。



みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、創業以来テレワークでの事業運営をしてきた実績から、その導入方法やマネジメントに関しても実践的なアドバイス・コンサルティングが可能です。

 

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。

 


ご参考:

 

■日本生産性本部/新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第11回「働く人の意識調査」2022年10月)

https://www.jpc-net.jp/research/detail/006105.html

 

■株式会社学情/「勤務形態」に関する企業調査(2023年1月)

https://ferret-one.akamaized.net/files/63a7dc1963d8604e1c96ab6e/230113-comenq.pdf?utime=1671945241

 

■内閣府/新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(2022年7月)

https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/result5_covid.pdf



(文責:コラム担当/金田千和)



 


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セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

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当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

研修のご依頼例

  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
  • 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい

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ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

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「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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