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派遣会社で急増中の36協定トラブル:全国の是正勧告事例から学ぶポイント   2025.11.20

■ はじめに:いま、日本全国の派遣会社で起きている“36協定トラブル”

 

ここ数年、日本全国の派遣会社で「36協定の誤記入」が原因となる是正勧告が増えています。

 

働き方改革以降、労働基準監督署(以下:監督署)のチェック体制は以前と比べて大幅に厳格化。 

私自身、社会保険労務士として全国の派遣会社を支援する中で、こうした“ちょっとしたミス”がきっかけで調査が長期化したり、追加の書類提出を求められたりするケースが非常に増えていると感じています。

 

しかも、誤記入の多くは「わざとではなく、ただの勘違い」。 

しかし監督署から見れば、“形式的に正しくない=適正ではない”と判断されることもあり、結果として是正勧告の対象になってしまうのです。

 

本記事では、日本全国の派遣会社で実際に起きている誤記入のポイントや、監督署が注目している点、運用上の注意点をまとめて解説します。

 

忙しい現場でも実践できる“ミスを減らす運用のコツ”も併せて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

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■ 日本全国で多発する「36協定誤記入」の重要ポイント 

### 1. 特別条項の記載漏れが圧倒的に多い

 

全国どの地域でも多いのが、 

・特別条項のチェック漏れ 

・特別条項の発動要件の誤記 

・延長できる回数が空欄 

といったミスです。

 

特別条項は書き慣れていないとどうしても理解が曖昧になりがちですが、監督署は特に細かくチェックします。

 

とくに「特別条項に関する記載と実際の運用の不一致」は重大な指摘対象。 

たとえば、「年6回まで」と書いているのに、実際にはそれ以上に適用していた場合などは、ほぼ確実に是正が入ります。

 

### 2. 労使代表の選出手続きの誤り

 

これも日本全国どこでも“毎年のように出る”誤記入ポイントです。

 

・労使代表の選出方法が正しくない 

・選出の証拠が残っていない 

・代表者の署名日が協定日より後になっている 

 

など、「形式」の部分でつまずくケースが多発しています。

 

特に派遣会社は事務所が複数あったり、スタッフが入れ替わりやすいことから、 

“毎年同じ代表者に署名してもらう” 

という形で固定化してしまい、後で問題になることがよくあります。

 

### 3. 派遣特有の「誰に適用するのか」で誤解が起きやすい

 

派遣スタッフが複数の派遣先で働くケースでは、 

「36協定の適用範囲」 

で誤記が起こりやすい傾向があります。

 

・派遣元単位で締結すべきところを派遣先単位で記入してしまう 

・対象者の範囲を曖昧に書いてしまう 

 

こうした“構造的な誤解”は全国的に非常に多いです。

 

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■ 日本全国で実際に起きているケーススタディ(社労士の現場から)

 

ここからは、全国の派遣会社で実際に起きた典型的なケースを紹介します。

 

### 【ケース1】 特別条項の「限度時間」を誤記して是正勧告 

ある派遣会社では、36協定の特別条項部分に「延長できる時間数」を記入し忘れて提出してしまいました。 

監督署から「内容が成立していない」と判断され、修正指導と追加報告が必要となりました。

 

### 【ケース2】 労使代表の選出手続きを省略してしまった 

派遣会社では毎年同じスタッフを労使代表としていたのですが、選出の証拠(選挙実施や案内通知)が残っておらず、監督署から「選出手続きのやり直し」を求められたケースがありました。

 

### 【ケース3】 派遣先ごとに36協定を作成してしまった 

地方の派遣会社では、派遣先の担当者に言われるまま「派遣先ごとに36協定を作成」してしまい、監督署調査で修正を求められました。 

派遣元での締結が必要であることを理解できていなかったことが原因です。

 

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■ 36協定誤記入による注意点と、よくある質問(FAQ)

 

全国の派遣会社から寄せられる質問の多くは、以下のようなものです。

 

### Q1. 書式を少し変えたらダメですか? 

A. 基本的に、厚労省の様式に従うのが安全です。 

独自様式でも可能ですが、記載漏れ・誤記のリスクが跳ね上がります。

 

### Q2. 特別条項は毎年つけたほうがいい? 

A. “毎年つける”というより、“必要な場合につける”ことが重要です。 

実態に合っていない特別条項は逆にリスクになります。

 

### Q3. 誤記入していた場合、すぐ修正すべき? 

A. はい。誤記を見つけたら、できるだけ早く届出のやり直しを行いましょう。 

監督署調査の前に対応しておけば、指摘の重みが全く変わります。

 

### Q4. 派遣スタッフにも36協定を案内すべき? 

A. 内容の周知は義務です。周知方法が曖昧だと是正対象になります。

 

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■ 日本全国での「適正管理のメリット」

 

36協定を“正しく作成し、正しく運用”すれば、派遣会社には大きなメリットが生まれます。

 

### 1. 監督署調査がスムーズに進む 

誤記入があると、調査は長期化します。 

逆にしっかり管理された36協定は、調査の短縮に直結します。

 

### 2. 労働時間管理の精度が上がる 

36協定は単なる書類ではなく、労働時間の上限をコントロールする重要なツール。 

正しく管理することで、残業の把握や健康管理も行いやすくなります。

 

### 3. 派遣先からの信頼が高まる 

派遣先企業は労務リスクを嫌います。 

36協定の整備・運用がしっかりしていると、「安心して任せられる会社」という評価につながります。

 

### 4. 全国どこでも通用する運用ルールになる 

労務管理は地域差が出にくい分野です。 

全国展開している派遣会社にとって、統一的なルールを作ることは大きな強みになります。

 

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■ まとめ:36協定の誤記入は“仕組み”で防げる

 

日本全国の派遣会社で増加している36協定の誤記入問題。 

その多くは、 

「知識不足ではなく、運用の仕組み不足」 

によって起きています。

 

・労使代表の選出手続き 

・特別条項の記載 

・対象範囲の明記 

・周知方法 

 

これらを1つずつ仕組み化すれば、誤記入のリスクは大幅に低減できます。

 

私自身、全国の派遣会社を支援する中で、 

“たった一枚の協定書が企業運営全体の信用に大きく関わる” 

ことを何度も見てきました。

 

だからこそ、今のうちに見直しを行う価値があります。

 

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■ 社会保険労務士に相談するメリット(全国対応)

 

・全国の監督署の傾向を把握したアドバイスが受けられる 

・自社に合った36協定の作成・運用方法を整えられる 

・誤記入リスクを減らすチェック体制を構築できる 

・36協定以外の労務リスクもまとめて改善できる 

 

オンライン対応も可能なので、地域に関係なくサポートを提供できます。 

36協定の誤記入が気になる方は、一度専門家に相談していただくと安心です。

 

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ご相談の際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

知らないと損する通勤手当の非課税枠改正。派遣会社が押さえるべき10の視点   2025.11.17

※本記事は派遣会社(経営者・管理者・人事労務担当者)向けに、2025年秋に見込まれる「マイカー通勤手当の非課税枠引き上げ」を、実務視点で徹底解説しています。

 

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## 1. マイカー通勤手当の非課税枠とは?【基礎知識】

 

まずは基本の整理から始めます。

 

「通勤手当」とは、従業員が通勤のために必要となる費用を補う目的で会社が支給する手当です。 

所得税法では、一定額までは“課税されないお金”として扱われています。これがいわゆる「非課税枠」。

 

特にマイカー通勤については、国税庁が「片道距離」に応じて非課税限度額を細かく定めており、 

たとえば4〜6kmであれば〇〇円、10〜15kmなら〇〇円…といった具合です。

 

この非課税枠を超えて支給した分は給与として課税されるため、スタッフの手取りや会社の源泉徴収額にも影響します。

 

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## 2. なぜ2025年に「非課税枠引き上げ」が話題になっているのか

 

2025年2月、政府が「2025年秋にもマイカー通勤手当の非課税枠を引き上げる方向で検討」という報道がありました。 

背景には、ガソリン代や自動車維持費の高騰など、通勤コストの上昇があります。

 

そして同年8月、人事院が公務員の給与勧告において「通勤手当の非課税枠引き上げ」を提案。 

まだ最終決定ではありませんが、改正が現実味を帯びてきました。

 

派遣スタッフの多くがマイカー通勤である地域では、特に注目すべき動きと言えます。

 

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## 3. 現行の通勤手当の非課税限度額【距離区分と基準】

 

現行制度では、片道距離に応じて非課税枠が設定されています。

 

たとえば、

 

・4kmの場合:4,200円 

・10kmの場合:6,500円 

・15kmの場合:11,300円 

 

といった具合です(※詳細は国税庁の基準に準拠)。

 

地方の派遣会社の場合、10〜20kmという距離帯のスタッフが非常に多いため、この区分の改正が実務に直結します。

 

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## 4. 非課税枠が引き上げられた場合の具体的な変更点

 

人事院勧告では、片道10km以上の区分について非課税枠が200〜7,100円引き上げられる見込みとされています。

 

例:片道15km 

現行 → 11,300円 

改正後 → 17,000円(想定)

 

これはかなり大きな上昇幅です。 

特に遠距離通勤者にとっては、手取りへ直接響く改正となります。

 

一方、10km未満については現状維持が想定されています。

 

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## 5. 手取り収入はどう増える?【非課税枠アップの影響】

 

非課税枠が広がると、手取りが増える理由は主に2つ。

 

1. **所得税・住民税が減る** 

非課税枠を超える分だけ課税されていたスタッフは、課税額が減るため手取りが増えます。

 

2. **支給額そのものが増える可能性** 

会社によっては「非課税枠まで支給する」というルールになっており、枠が広がる=支給額が増えるケースがあります。

 

ただし、支給額が増える場合、給与収入が増えるため社会保険料が増える可能性もあります。 

「手取りが増える=一律に良い」とは限らない点には注意が必要です。

 

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## 6. 派遣会社にとって実務上のインパクト

 

派遣会社が最も注意すべきポイントは、次の4つです。

 

● **支給ルール(就業規則・契約書)の見直し** 

「非課税枠まで支給」と明記しているかどうかで運用が変わります。

 

● **派遣先との調整** 

派遣料金に通勤手当を含めるのか、別途支給なのかで対応が異なります。

 

● **給与計算システムの対応** 

距離区分が変更されれば、計算式やマスター設定の変更が必要です。

 

● **スタッフへの説明責任** 

「なぜ増えるのか」「自分はいくら変わるのか」といった問い合わせが必ず増えます。

 

制度変更は“現場混乱”が起きやすく、ここでの対応力が派遣会社の評価に直結します。

 

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## 7. 支給額を増やす義務はあるのか?【誤解の多いポイント】

 

スタッフからよく聞かれる質問が、

 

「非課税枠が上がるなら、通勤手当も上がりますよね?」

 

というもの。

 

結論としては、 **非課税枠が上がっても、支給額を増やす義務はありません。**

 

あくまで、非課税枠は「税金をかけない限度額」であり、「企業が支給すべき金額」ではないからです。

 

増額が必要かどうかは、

 

・就業規則 

・派遣先の支給ルール 

・派遣契約の条件 

 

によって決まります。

 

勘違いが起こりやすい領域なので、早めに説明文を準備しておくのがおすすめです。

 

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## 8. 年末調整で必要となる手続きと注意点

 

国税庁はすでに「改正が行われる場合は年末調整に影響する可能性がある」と発信しています。

 

具体的には、

 

● 年末調整ソフトのアップデート 

● 非課税限度額の判定基準の変更 

● 支給履歴の整理 

● 給与支払報告書の数字調整 

 

などが発生する可能性があります。

 

特に派遣会社ではスタッフ人数が多く、勤務形態も多様なため、年末調整の負荷は大きいのが実情。 

直前対応にならないよう、早めに下準備しておくことが重要です。

 

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## 9. 派遣スタッフ・派遣先への説明はどう行うべきか

 

制度改正は、情報を正しく伝えられるかどうかでトラブルが大きく変わります。

 

● スタッフ向け 

「非課税枠が変わる」「支給額が変わるとは限らない」「手取りにどう響くか」 

など、誤解を防ぐための事前告知が有効です。

 

● 派遣先向け 

「通勤手当の扱いをどうするか」「派遣料金へ影響するのか」などを整理し、 

必要な場合は契約更新時に確認しておくことが重要です。

 

“言った・言わない問題”を防ぐためにも、文書での案内を推奨します。

 

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## 10. 最後に:制度変更は“信頼構築のチャンス”

 

制度変更は、どうしても「対応が大変」「また業務が増える」という印象を持たれがちです。 

しかし、私はむしろ逆に、派遣会社が“価値を示すチャンス”だと考えています。

 

・スタッフにとって安心できる説明 

・派遣先にとって頼りになる情報提供 

・内部の運用を整えることで業務の透明性が向上 

 

こうした積み重ねが、派遣会社の信用を確実に高めていきます。

 

実務対応で迷うことがあれば、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、どうぞ気軽にご相談ください。

初回のご相談は無料です。

 

制度を正しく理解し、派遣現場が安心して働ける環境づくりを一緒に進めていきましょう。

 

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【参照記事】

https://news.yahoo.co.jp/articles/0795c6794c762d2d9b85f7e99403921791ec526e?page=2

 

【参照】

国税庁 「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm

 

人事院 「報告文・勧告文」

https://www.jinji.go.jp/seisaku/kankoku/archive/r7/r7_top.html

無期雇用派遣とは?2025年最新調査で見えた“安定雇用”の実態と課題   2025.11.12

### はじめに:派遣の「安定雇用」はどこまで進んでいるのか 

 

「派遣社員=不安定な雇用」といったイメージは、少しずつ変わり始めています。 

その象徴的な動きが「無期雇用派遣(常用型派遣)」です。 

 

エン・ジャパン株式会社が2025年に発表した最新の調査によると、 

無期雇用派遣の経験者はまだ10%にとどまるものの、2年間で4ポイント上昇しました。 

さらに、経験者の77%が「無期雇用派遣で働いて良かった」と回答しており、 

満足度の高い働き方として注目を集めています。 

 

一方で、認知度はまだ39%と限定的。 

多くの人が「名前は聞いたことがあるけれど、仕組みはよくわからない」と答えています。 

 

この記事では、社会保険労務士の立場から、 

無期雇用派遣の仕組み・メリット・課題、そして派遣会社が取るべき対応策について、 

最新データをもとに詳しく解説します。 

 

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### 第1章:そもそも「無期雇用派遣」とは? 

 

「無期雇用派遣(常用型派遣)」とは、派遣会社と“期間の定めのない”雇用契約を結び、 

派遣先で働く形態を指します。 

 

一般的な派遣(登録型派遣)では、派遣先の契約が終了すると雇用も終了しますが、 

無期雇用派遣では、派遣先での業務が終わっても雇用関係自体は継続します。 

 

つまり、派遣会社の「社員」として継続的に雇用されるのが特徴です。 

 

もう少し具体的に整理すると、次のようになります。 

 

| 比較項目 | 一般派遣(登録型) | 無期雇用派遣(常用型) |

|-----------|------------------|------------------|

| 雇用期間 | 有期契約 | 無期契約 |

| 派遣先契約終了時 | 雇用も終了 | 雇用継続 |

| 雇用主 | 派遣会社 | 派遣会社 |

| 雇用の安定性 | 低い | 高い |

| 働き方の自由度 | 高い | やや低い |

 

無期雇用派遣は、一般派遣よりも「安定性」が高く、 

正社員と同じように長期的なキャリア形成が可能な点が特徴です。 

 

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### 第2章:2025年最新調査で見えた実態 

 

エン・ジャパンの「無期雇用派遣に関する意識調査(2025)」では、 

1,381名の派遣社員を対象にアンケートが行われました。 

主な結果は以下の通りです。 

 

#### 1. 認知度は39%で横ばい 

「名称も意味も知っている」と回答した人は39%。 

2024年の調査と変わらず、まだ6割の人は理解が十分ではありません。 

 

#### 2. 経験者は10%、しかし満足度は高い 

無期雇用派遣を経験した人は10%にとどまりましたが、 

そのうち77%が「働いて良かった」と回答しています。 

 

満足の理由としては、 

- 契約更新の不安がなくなった 

- 休暇条件が正社員と同等になった 

- 同じ職場で長く働ける 

といった安定面での安心感が大きいようです。 

 

#### 3. 未経験者の関心は高い 

「働いてみたい」「興味がある」と回答した人は76%。 

有期契約の不安を感じる人が多いことが背景にあります。 

 

#### 4. 人気の派遣形態は「紹介予定派遣」 

最も魅力的と感じる派遣形態は「紹介予定派遣」(43%)。 

続いて「一般派遣」(31%)、「無期雇用派遣」(26%)でした。 

 

つまり、正社員登用への道筋を描ける形態が最も支持を集めています。 

 

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### 第3章:派遣会社にとってのメリットとリスク 

 

派遣会社から見た無期雇用派遣には、 

「人材の安定確保」という大きなメリットがあります。 

 

無期雇用であれば、優秀なスタッフを長期的に抱えられ、 

派遣先からの信頼やリピート契約にもつながります。 

 

しかし同時に、明確な“リスク”も存在します。 

 

1. **待機期間中のコスト負担** 

派遣先が決まらない期間も、給与や社会保険料を支払う必要があります。 

 

2. **派遣先マッチングの難しさ** 

無期社員を抱えている以上、継続的に派遣先を確保する責任が発生します。 

 

3. **契約管理・評価制度の複雑化** 

一般派遣と無期雇用派遣では雇用管理の仕組みが異なり、 

規程や評価制度の整備が求められます。 

 

特に「待機期間中の賃金」をどう設計するかは、 

派遣会社の経営に直結する重要なポイントです。 

 

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### 第4章:無期転換ルールと派遣会社の対応 

 

「無期雇用派遣」の広がりの背景には、 

労働契約法で定められた「無期転換ルール」があります。 

 

同じ会社で有期契約を5年以上繰り返すと、 

労働者が申し込むことで「無期契約」に転換できる制度です。 

 

このルールは派遣社員にも適用されるため、 

派遣会社としては“転換を申し込まれる可能性”を常に想定しておく必要があります。 

 

無期転換申込に備え、 

・就業規則に「無期転換後の労働条件」を明記する 

・無期転換後の派遣契約の運用ルールを整理する 

・派遣先と調整できる人事制度を整える 

といった事前準備が欠かせません。 

 

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### 第5章:現場で起こりやすいトラブル事例 

 

実際に、無期雇用派遣を導入した企業では、 

以下のようなトラブルが報告されています。 

 

- 待機期間中の給与を「ゼロ」に設定し、労基署から是正指導を受けた 

- 無期転換後の待遇差が不透明で、社員から不満が出た 

- 派遣先が見つからず、無期社員を持て余してしまった 

 

これらはすべて、制度設計段階での“ルール不備”に起因します。 

「無期雇用=安定」ではありますが、 

裏を返せば「派遣会社が雇用責任を負う」形態です。 

 

だからこそ、制度導入時には 

社労士など専門家のアドバイスを受けながら、 

労使双方にとって納得感のある仕組みを作ることが求められます。 

 

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### 第6章:無期雇用派遣を成功させるための5つのポイント 

 

1. **待機期間中の賃金ルールを明確にする** 

例:基本給の○%を支給、または一定の待機日数後に休職扱いにするなど。 

 

2. **派遣先契約の更新サイクルを見直す** 

無期社員を長期的に受け入れる派遣先を優先的に確保する。 

 

3. **キャリアパスと評価制度を整備する** 

無期社員としてのモチベーションを維持するために、 

昇給・スキル評価の仕組みを可視化する。 

 

4. **労務管理体制を分けて設計する** 

登録型派遣と同じルールで運用するとトラブルのもと。 

勤務時間・福利厚生などのルールを分けておくことが重要です。 

 

5. **無期転換希望者への丁寧な説明を行う** 

「無期=正社員」ではないことを明確に説明し、誤解を防ぐ。 

 

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### 第7章:派遣スタッフから見た「無期雇用派遣」の魅力 

 

調査のコメントを見ると、無期雇用派遣を肯定的に捉える声が多く見られます。 

 

> 「契約更新のたびに不安を感じていたが、それがなくなった」(30代女性) 

> 「休暇制度が正社員と同じになり、働きやすくなった」(40代女性) 

> 「専門職として長く働ける安心感がある」(40代男性) 

 

一方で、「仕事内容を選びにくい」「正社員との違いが曖昧」などの声もあり、 

安定と自由のバランスをどう取るかが、今後の課題といえるでしょう。 

 

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### 第8章:社労士の視点から見た今後の展望 

 

無期雇用派遣は、単なる雇用形態の変化ではなく、 

「派遣業界の構造転換」を促す仕組みだと感じます。 

 

労働市場では“安定を求める働き方”が増加傾向にあり、 

企業側にも「派遣社員を長期戦力として活用する」動きが見られます。 

 

ただし、この流れを健全に進めるためには、 

派遣会社が法的責任と経営リスクの両方を適切に管理する必要があります。 

 

就業規則、賃金設計、待機管理、派遣先契約。 

どれか一つでも欠けると、制度が形骸化し、トラブルを招きます。 

 

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### 第9章:派遣会社が今、取り組むべき3つのアクション 

 

1. **現状の契約・規程を棚卸しする** 

無期転換ルールや待機時対応など、現行制度の適法性を確認。 

 

2. **無期雇用派遣モデルの設計を行う** 

経営状況や派遣先との関係性に応じて、自社に合った制度を作る。 

 

3. **社員・派遣先への説明体制を整える** 

誤解や不満が生じやすい部分こそ、コミュニケーションで防ぐ。 

 

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### 第10章:まとめ ― 安定雇用と柔軟性の両立へ 

 

2025年の調査結果が示すように、 

無期雇用派遣はまだ広がりきってはいませんが、確実に定着しつつあります。 

 

労働者にとっては「安心して働ける環境」を、 

派遣会社にとっては「人材定着と信頼向上」をもたらす制度です。 

 

しかし、導入には法的・経営的な慎重さが必要です。 

雇用を安定させつつ、事業の柔軟性を保つには、 

制度設計段階からの専門的なサポートが不可欠です。 

 

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### おわりに 

 

「無期雇用派遣を導入してみたいが、コストやリスクが心配」 

「無期転換の申込が来たが、対応に不安がある」 

 

そんな派遣会社さまからのご相談をよくいただきます。 

 

社会保険労務士として、制度設計・規程整備・運用サポートを通じて、 

安心して導入できる“現実的な無期雇用派遣モデル”を一緒に作っていくことができます。 

 

無期雇用派遣は、単なる雇用形態の選択ではなく、 

「人と企業をつなぐ新しい安定の形」。 

2025年以降の派遣ビジネスを考えるうえで、 

避けて通れないテーマになりそうです。 

 

【参照記事】

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001071.000000725.html

 

#無期雇用派遣 #派遣会社 #社会保険労務士 #働き方改革 #人事労務 #人材ビジネス #安定雇用

派遣料金の交渉をしていない派遣元が4割?今こそ見直すべき「価格転嫁」の重要性   2025.11.10

近年、「賃上げ」という言葉をニュースや行政方針の中で耳にする機会が増えました。 

政府も「構造的な賃上げの実現」を掲げ、労務費を適正に価格へ反映させることを強く求めています。 

 

そんな中、派遣業界にも大きな変化の波が訪れています。 

日本人材派遣協会が実施した「派遣先担当者調査」によれば、派遣会社から派遣料金の値上げ依頼があった企業のうち、**77.9%が値上げに応じた** という結果が出ました。 

 

これは前年(76.6%)からさらに上昇しており、企業が派遣社員の働きぶりや社会的な賃上げ機運を理解していることを示しています。 

一方で見逃せないのが、**派遣元の約40.6%が「派遣料金の値上げ依頼をしていない」** という事実です。 

 

本記事では、この「値上げを依頼していない派遣元」が抱える課題と、今こそ取り組むべき「価格転嫁」の重要性について、社会保険労務士の視点から詳しく解説していきます。

 

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## 1. 派遣料金の値上げに応じた企業は8割超。その背景とは

 

今回の調査では、派遣先企業の77.9%が派遣料金の値上げに応じています。 

この高い割合の背景には、次のような理由があります。

 

- **社会的な要請だから(73.8%)** 

- **派遣社員の働きぶりに満足しているから(42.8%)** 

 

つまり、企業は「賃上げをしなければならない社会的責任」を感じると同時に、派遣社員の働きに価値を見出しているのです。 

ここには「派遣=一時的な労働力」という古いイメージから、「派遣=即戦力で信頼できる人材」へと意識が変化している現状があります。

 

この変化は、派遣業界全体にとって追い風と言えるでしょう。 

しかし、ここで立ち止まって考えたいのが「派遣元の4割が交渉を行っていない」という現実です。

 

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## 2. なぜ派遣料金の値上げ交渉をしていない派遣元が存在するのか?

 

派遣元が料金交渉を行わない理由はさまざまです。 

現場でよく耳にするのは、以下のような声です。

 

- 「派遣先との関係が悪くなるのが怖い」 

- 「値上げを言い出すタイミングがわからない」 

- 「労使協定で賃金を上げても、派遣料金を上げる根拠をうまく示せない」 

- 「他社が値上げをしていないため、交渉の競争力を失うのが不安」 

 

気持ちはとてもよく分かります。 

特に取引関係が長い企業ほど、派遣料金の交渉は心理的なハードルが高いものです。 

 

しかし、これを続けてしまうと、派遣元の利益が圧迫され、結果的に派遣労働者の待遇やキャリア支援の質を維持できなくなります。 

つまり、**交渉を避けることが、結果的に「人材を守れない経営」につながってしまう** のです。

 

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## 3. 政府も動いた「労務費の適切な転嫁」への指針

 

こうした状況を受け、国も明確な姿勢を打ち出しています。 

2023年、内閣官房と公正取引委員会は共同で「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を策定しました。 

 

この指針は、発注側(派遣先企業など)が受注側(派遣会社)に対し、 

「労務費上昇分を正当に反映した価格で契約を行うようにすべき」と定めたものです。 

 

つまり、国としても「賃金上昇を価格に反映しないことは問題である」と明確に位置づけています。 

派遣会社が料金改定を申し出ることは、決してわがままではありません。 

むしろ、「法律・指針に沿った正しい経営判断」なのです。

 

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## 4. 「派遣料金=労働条件」の根幹を支える仕組み

 

派遣料金の値上げは、単なる「営業上の話」ではありません。 

それは派遣労働者の賃金・待遇・キャリア形成のすべてに直結する「制度の根幹」です。 

 

例えば、派遣料金が据え置かれたままだと、次のような影響が出ます。

 

- 派遣社員の賃金を上げられない 

- 教育・研修・フォローにかける予算が減る 

- 優秀な人材が流出する 

- 労使協定における適正な賃金設定が困難になる 

 

これでは「働く人が安心して働ける仕組み」を保つことができません。 

派遣労働者を守るという観点からも、**料金交渉は経営と労務の両面で不可欠な行為** と言えます。

 

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## 5. 派遣料金を見直すベストタイミングは「今」

 

2025年現在、賃上げの流れは社会的にも企業的にも止まりません。 

むしろ、インフレ・人材不足・最低賃金上昇といった要因により、「価格転嫁」は避けて通れないテーマになっています。 

 

派遣会社にとって、この流れはチャンスでもあります。 

なぜなら、派遣先企業の7〜8割が「今後も派遣活用を継続・拡大する」と回答しているからです。 

 

つまり、企業は派遣という仕組みを信頼し、今後も利用していく意向を持っている。 

その信頼関係を維持しながら、正当な料金を設定することは、**双方にとっての持続可能な関係づくり** につながります。

 

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## 6. 値上げ交渉を成功させる3つのポイント

 

料金交渉をスムーズに進めるためには、感情ではなく「データ」と「根拠」に基づいた説明が重要です。 

以下の3つのステップを意識してみてください。

 

### ① 職種ごとの労務費を可視化する 

まずは労使協定で設定している職種・等級ごとの賃金を整理し、前年からの上昇率を明確にします。 

「この職種の平均賃金は前年比で〇%上がっています」という客観的データがあるだけで、交渉の説得力は大きく変わります。

 

### ② 業界動向と比較して説明する 

他社の値上げ動向や業界平均を踏まえ、「相場の中で適正な改定である」と示すことも重要です。 

特に協会や行政の公表資料を引用すれば、信頼性が高まります。

 

### ③ 人材の定着・品質向上を交渉材料に 

派遣料金を上げることで、結果的に派遣先の満足度が上がることを伝えましょう。 

教育・研修・フォロー体制を強化することで、「より質の高い派遣社員を確保できる」という視点は企業にとって納得しやすい理由になります。

 

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## 7. 派遣社員の質が「値上げを正当化する最大の要因」

 

調査では、派遣社員の働きぶりに満足している企業ほど、値上げに応じている傾向が見られました。 

これはつまり、**派遣社員の質の高さが派遣会社の交渉力そのもの** になっているということです。

 

派遣元としては、教育・フォロー体制をさらに充実させ、「信頼できる人材を送り出す会社」というブランドを築くことが、結果的に価格交渉を有利にします。 

単に「値上げしてください」ではなく、「人材の質を維持するために必要な改定です」と伝えることがポイントです。

 

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## 8. 令和8年度の労使協定に向けて準備を

 

次回の労使協定締結に向けて、今から動き出すことが大切です。 

職種の選定・賃金水準の見直し・賃金分析など、早めの準備が交渉の成否を分けます。 

 

多くの派遣会社がギリギリの時期に慌ただしく対応していますが、労使協定は「形を整える書類」ではなく、**派遣会社の経営方針を明文化する重要な契約** です。 

派遣料金の見直しも、この協定の内容と整合性をとることが求められます。

 

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## 9. 社会保険労務士が伝えたい「交渉の本質」

 

私が多くの派遣会社を支援してきた中で感じるのは、料金交渉を「相手にお願いする行為」と捉えているケースが多いということです。 

 

しかし本来、料金交渉とは「適正な労務費を社会に反映する」ための経営的責任です。 

派遣社員の生活を守り、業界全体の信頼を高める行為でもあります。 

 

言い換えれば、**派遣料金の交渉は“人を守る交渉”なのです。**

 

その視点を持つことで、交渉の場での自信や言葉の重みが変わってきます。

 

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## 10. まとめ:派遣料金の見直しは「業界の未来」への投資

 

派遣料金の見直しは、単なる金額の問題ではありません。 

それは、派遣業界全体の健全な成長と、派遣労働者が安心して働ける社会を築くための「基盤づくり」です。 

 

今後も人手不足が続く中で、「良い人材を確保できる派遣会社」こそが選ばれる時代になります。 

そのためには、適正な価格で取引を行い、派遣社員・派遣先・派遣元の三者が信頼でつながる関係を築くことが不可欠です。 

 

📩 労使協定の見直しや派遣料金交渉についてのご相談は、ホームページのお問合せよりいつでもお受けしています。 

初回相談は無料です。 

一緒に「人を守り、企業を強くする仕組み」を整えていきましょう。

 

【参照記事】

https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/803864

 

【派遣料金交渉の参考資料】

派遣元・派遣先の連携について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/001547832.pdf

「正社員を確保できない」が41%――派遣・非正規人材の活用が進む理由とは?   2025.11.07

厚生労働省が2024年(令和6年)に公表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査」。 

この調査結果が、今の日本の“人材戦略の現実”を如実に示しています。 

 

結果の中で最も注目されたのが、 

企業が「正社員以外の労働者を活用する理由」として 

**「正社員を確保できないため」(41.0%)** 

と答えた割合が最も高かったという点です。 

 

この数字は、単なる人材調達の一側面ではなく、 

「人手不足の構造化」と「働き方の価値観変化」が同時に進行していることを意味します。 

本記事では、社労士の視点からこの調査結果を紐解き、 

派遣会社をはじめとする人材ビジネスがどう変わるべきかを考えます。 

 

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## 1. 正社員を確保できない時代の到来

 

人材確保難は、もはや特定の業界の話ではありません。 

製造、物流、介護、サービス、小売など、幅広い分野で「正社員が集まらない」状況が続いています。 

 

その背景にはいくつかの要因があります。 

 

- **人口減少と労働力人口の減少** 

少子高齢化が進む中で、働き手そのものが減っている。 

特に若年層の採用は競争が激しく、地方企業では深刻です。 

 

- **働く人の価値観の変化** 

「仕事中心」から「生活と両立」へ。 

正社員としてフルタイムで働くよりも、柔軟な働き方を求める人が増えています。 

 

- **正社員の責任・負担の重さ** 

近年、業務の多様化・複雑化により、正社員の仕事量と責任が増大。 

結果として、「正社員は避けたい」という層も少なくありません。 

 

こうした中で、企業は「必要な人材を確保するため」に、 

派遣・契約社員・パートタイムといった“非正規雇用”を活用せざるを得ない状況になっています。 

 

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## 2. 「非正規活用」はもはや戦略の一部

 

かつては“正社員=本体、非正規=補助”という構図が一般的でした。 

しかし今は、派遣社員や契約社員が事業の中核を担うケースも増えています。 

 

実際、調査結果では「非正規の比率が上昇した」と回答した企業が15.7%に上りました。 

中でも「パートタイム労働者」(66.2%)と「嘱託社員(再雇用者)」(22.4%)が目立っています。 

 

つまり企業は、業務内容や繁閑、採用難に応じて“最適な働き方の組み合わせ”を模索しているのです。 

 

この流れは一時的なものではなく、**持続的な経営戦略の一部**として定着しつつあります。 

 

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## 3. 労働者側の選択も変化している

 

一方で、労働者側の理由も見逃せません。 

正社員以外の働き方を選ぶ理由のトップは、 

「自分の都合のよい時間に働けるから」(40.1%)でした。 

 

これは、子育て・介護・副業・趣味など、 

“働く以外の時間を大切にしたい”という価値観の広がりを示しています。 

 

また、派遣労働者に関しては、 

「正社員として働ける会社がなかったから」という回答も依然として多く、 

働き方の選択には「自由」と「制約」が同居しています。 

 

このように、 

企業は「人がいない」から非正規を活用し、 

働く人は「柔軟に働きたい」から非正規を選ぶ。 

 

両者のニーズは交差しているようで、実は微妙にズレています。 

 

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## 4. 派遣会社が果たすべき新たな役割

 

この“ズレ”を埋めるのが、派遣会社の使命です。 

 

派遣ビジネスは、単なる人材の「供給モデル」から、 

企業と働く人の「価値をつなぐモデル」へと進化する必要があります。 

 

派遣先企業の課題は「即戦力」と「安定した人材確保」。 

派遣スタッフの課題は「安心して働ける環境」と「キャリア形成」。 

 

この双方を橋渡しできる派遣会社こそ、今後の市場で選ばれていくでしょう。 

 

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## 5. 「即戦力」から「成長力」へ

 

従来、企業が派遣に求めていたのは即戦力。 

しかし長期的に見ると、それだけでは持続性がありません。 

 

派遣スタッフが定着し、スキルを高めていくことで、 

結果的に企業の生産性が上がり、派遣会社の信頼も向上します。 

 

そのためには、次のような取り組みが欠かせません。 

 

- **リスキリング・スキルアップ支援の仕組み化** 

- **派遣スタッフのキャリアカウンセリング制度の導入** 

- **「派遣→直接雇用」への道筋の設計** 

 

これらを通じて、派遣スタッフに“成長の手応え”を感じてもらうことが大切です。 

 

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## 6. 「派遣→直接雇用」の流れが生まれる背景

 

調査では「正社員を確保できない」が41%という結果でしたが、 

これは裏を返せば、「派遣社員が正社員になるチャンスが増える」ということでもあります。 

 

企業側にとっては、派遣社員を通じて人柄・スキルを見極めたうえで採用できる。 

派遣スタッフにとっては、派遣期間中に自分の実力を示せる。 

 

この「双方にとってリスクの少ない採用ルート」は、 

今後ますます一般化していくでしょう。 

 

派遣会社としても、 

この流れを後押しできる仕組みを整えておくことが、 

大きな信頼につながります。 

 

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## 7. 「柔軟な働き方」を支える仕組みが鍵

 

企業が人材を確保する上で、 

今や“柔軟な働き方”を提供できるかどうかが大きな差別化要因です。 

 

例えば―― 

・週3日勤務や時短勤務の提案 

・副業人材やリモート派遣の導入 

・短期プロジェクト派遣の制度化 

 

こうした柔軟な働き方の設計を、 

派遣会社が企業と一緒に考えることが、これからのスタンダードになります。 

 

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## 8. 派遣スタッフの「満足度」を上げるには

 

厚労省の調査では、 

正社員が最も満足している項目は「雇用の安定性」(66.3ポイント)。 

一方、非正規では「仕事の内容・やりがい」(63.3ポイント)がトップでした。 

 

つまり、非正規の方は“仕事そのもの”には満足しているが、 

“安定性”には不安を抱えているという構図です。 

 

派遣会社がここをどう補うか。 

 

・定期的なフォローアップ 

・派遣期間終了前の次の仕事の確保 

・相談体制の充実 

 

これらの支援が、「この派遣会社で働き続けたい」という信頼につながります。 

 

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## 9. 社労士として見た法的・制度的ポイント

 

派遣・非正規活用が進む中で、法的リスクにも注意が必要です。 

 

特に以下の点は要チェックです。 

 

- **派遣法に基づく期間制限(原則3年)** 

- **派遣先での直接雇用申し込み義務** 

- **同一労働同一賃金への対応** 

 

これらの法令遵守が不十分だと、 

企業も派遣会社もトラブルリスクを抱えることになります。 

 

社労士としては、 

制度運用の整備や契約書の適正化、 

労働者への説明責任をしっかり果たすサポートが重要です。 

 

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## 10. まとめ:「人を送る」から「雇用をデザインする」へ

 

今回の調査結果が示すのは、 

日本の雇用が“多様性を前提とした構造”に変わりつつあるということ。 

 

企業は「正社員不足」に悩み、 

働く人は「柔軟な働き方」を求める。 

 

その間に立つ派遣会社は、 

単なる人材供給業から「雇用をデザインするパートナー」へと進化する時代を迎えています。 

 

今後の派遣会社には、 

・人材育成に投資できる力 

・企業課題を共に解決する発想 

・労務管理の正確性と信頼性 

 

この3つが欠かせません。 

 

社労士として現場を見ていると、 

派遣会社が果たす社会的役割は年々大きくなっています。 

「人を送る」から「人を育て、つなぎ、活かす」へ。 

 

人手不足の時代こそ、 

派遣会社が“雇用のハブ”として輝くチャンスです。 

 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

【参照リンク】

厚生労働省「令和6年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/24/index.html

 

――――――――――――――――――――――――― 

執筆:社会保険労務士 泉文美(派遣業・労務リスクマネジメント専門) 

 

#人材派遣 #人手不足 #就業形態多様化 #社労士コラム #リスキリング #雇用戦略 #働き方改革 #人材育成

「派遣だから関係ない」は通用しない?医療・福祉派遣のメンタルリスク最前線   2025.11.05

### はじめに:医療・福祉業界で今、何が起きているのか 

 

「医療・福祉業界で働く人の精神障害による労災認定が、過去最高に達した」 

厚生労働省が公表した「令和7年度版 過労死等防止対策白書」は、この事実を明らかにしました。 

 

2024年の精神障害に関する労災保険給付請求件数は**969件**。 

前年比で12%増、2020年と比べると**約2倍**という急増ぶりです。 

 

数字だけを見ると驚きますが、現場を知る方なら「やはり」という印象を持たれたかもしれません。 

コロナ禍以降、医療や介護の現場は慢性的な人手不足に加え、感情労働・夜勤・感染リスクといった複合的なストレスを抱えています。 

 

さらに2023年以降は、いわゆる「ポストコロナ期」の回復過程で、 

職員の離職や新人育成の遅れ、残業増加などが重なり、精神的負担が増しているのが現状です。 

 

こうした状況のなかで、労災認定が増えるのは必然とも言えます。 

しかし、ここで見落としてはいけないのは、**「派遣スタッフ」もこの渦中にいる**という事実です。 

 

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### 「派遣だから関係ない」は、もはや通用しない時代 

 

かつては、派遣スタッフの労務管理に関して、派遣元と派遣先の責任分界が比較的明確でした。 

派遣先が日常の指揮命令を行い、派遣元は契約上の労働条件を守る。 

 

しかし今、医療・福祉分野での精神障害やメンタル不調については、 

**「派遣元にも安全配慮義務がある」**という視点が強まっています。 

 

たとえば、次のようなケースがあります。

 

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#### 【事例1】派遣先でのパワハラを見逃したケース 

 

看護助手として派遣されたスタッフが、派遣先のリーダー看護師から繰り返し叱責を受けていた。 

派遣元は月1回の勤務報告を受け取っていたが、本人が「問題ありません」と回答したため、特に対応を取らなかった。 

その後、スタッフは体調不良で退職し、労災申請を行う。 

 

結果、派遣先の行為が直接原因であると同時に、**派遣元の監督不足**も問われることになった。 

 

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#### 【事例2】勤務時間・夜勤回数の把握が不十分だったケース 

 

介護施設に派遣された職員が、シフト変更を繰り返され、実際には月に10回以上の夜勤を担当。 

派遣元は派遣先からの勤怠データを「月末一括」でしか確認しておらず、実態を把握できていなかった。 

結果、心身の不調を訴えた職員が長期休職。 

 

「派遣元は労働時間の把握を怠った」として、労基署から是正指導を受けた。 

 

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このような事例は、決して珍しくありません。 

派遣先で起きたことでも、「派遣元がどこまで把握し、どのように対応したか」が問われる時代なのです。 

 

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### 医療・福祉派遣に潜む“見えないリスク”とは 

 

医療・福祉の職場は、他の業界と比べてメンタルリスクが高い傾向があります。 

その理由は、仕事の特性そのものにあります。 

 

1️⃣ **感情労働の多さ** 

患者や利用者、家族との関わりで強い感情を日常的に受け止める必要がある。 

「ありがとう」と言われる一方で、「なぜ助けられなかったのか」と責められることもある。 

 

2️⃣ **悲惨な出来事の目撃や体験** 

医療・介護の現場では、死亡や事故に日常的に直面します。 

白書によれば、「悲惨な事故・災害の体験・目撃」が精神障害の発症要因として突出しています。 

 

3️⃣ **チームワークの摩擦と人間関係トラブル** 

多職種が協働する現場では、意見の違い、責任の押し付け合いなどが起きやすい。 

小さな不満が積み重なり、いじめやハラスメントに発展することもあります。 

 

これらの要因が絡み合うため、精神的な不調は“突然”ではなく、“じわじわ”と進行する傾向にあります。 

 

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### 派遣元が取るべき3つの実践的対策 

 

医療・福祉分野への派遣でリスクを最小限に抑えるためには、 

「派遣先まかせ」にせず、派遣元が**積極的に関与する仕組み**を持つことが不可欠です。 

 

以下に、現場で有効とされる3つの実践策を紹介します。 

 

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#### 1. 定期モニタリングと職場ヒアリングの実施 

 

月1回の「勤務報告」だけでは、現場の空気感や人間関係の変化をつかむことはできません。 

実際に現場訪問し、派遣スタッフ本人・派遣先の担当者双方と話をすることで、 

“見えないストレス”の芽を早期に把握できます。 

 

特に以下の質問が有効です。 

- 最近、仕事の負担が増えていませんか? 

- 職場で気になることや困っていることはありますか? 

- 夜勤や残業のペースはどうですか? 

 

「問題が起きていないか」ではなく、**“変化”が起きていないか**を聞くのがポイントです。 

 

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#### 2. メンタルチェック制度と相談窓口の設置 

 

医療・福祉派遣では、メンタル不調を“本人が隠す”ケースが多いのが実情です。 

そのため、派遣元としては「相談のハードルを下げる」工夫が欠かせません。 

 

たとえば、 

- 匿名で回答できるメンタルチェック(Webフォーム等) 

- 女性スタッフ専用の相談窓口 

- LINEなどで気軽に相談できるチャット対応 

 

などを取り入れることで、早期発見につながります。 

 

「話しやすさ」こそが、最も効果的な予防策です。 

 

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#### 3. 勤怠データのリアルタイム把握 

 

勤務時間や夜勤の回数が把握できていないと、 

派遣元が気づかないうちに「過重労働」が進行してしまいます。 

 

今はクラウド型の勤怠システムを導入すれば、 

派遣先での打刻データをリアルタイムで確認することも可能です。 

 

また、異常値(残業60時間超、夜勤10回超など)が出た際に 

自動通知する仕組みを設定しておけば、リスク検知の精度が大幅に上がります。 

 

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### 社会保険労務士の視点:現場に必要なのは「制度」より「対話」 

 

現場を見ていて強く感じるのは、 

“制度の整備だけでは人は守れない”ということです。 

 

人は、ストレスを感じた時にすぐSOSを出せるわけではありません。 

むしろ、「迷惑をかけたくない」「もう少し頑張ろう」と我慢してしまう。 

 

だからこそ、派遣元が「定期的に声をかける文化」を作ることが重要です。 

 

これは時間もコストもかかります。 

しかし、1人の離職やトラブル対応にかかる労力を考えれば、 

“声かけの積み重ね”が最も費用対効果の高い対策になります。 

 

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### 「人を派遣する」ことは「人の心を預かる」こと 

 

派遣というビジネスモデルは、労働力の提供にとどまりません。 

そこには、働く人の“人生の一部”を預かるという重みがあります。 

 

医療・福祉の現場では、派遣スタッフが「チームの一員」として扱われないことが 

孤立感や不信感の引き金になることもあります。 

 

派遣元ができるのは、その“孤立”を防ぐこと。 

職場に橋をかけ、安心して働ける関係をつくることです。 

 

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### まとめ:これからの派遣元に求められる姿勢 

 

医療・福祉分野で精神障害の労災が急増している今、 

派遣会社には「安全配慮の見直し」が強く求められています。 

 

最後に、今後の方向性を3点に整理します。 

 

1️⃣ **「派遣だから関係ない」から「派遣こそ関係ある」へ。** 

派遣元の関与がリスク軽減の要になります。 

 

2️⃣ **制度よりも、関係性づくり。** 

スタッフが“本音を話せる”仕組みと文化を整えること。 

 

3️⃣ **トラブル対応ではなく、未然防止へ。** 

勤怠・面談・相談の三本柱で「早期発見」を可能に。 

 

---

 

精神障害やメンタル不調は、数字や報告書の中の話ではありません。 

現場で汗を流す一人ひとりの「心のサイン」です。 

 

その声に気づけるかどうかが、派遣会社の真価を決めます。 

 

今こそ、派遣元としての責任と信頼のあり方を問い直すタイミングではないでしょうか。 

 

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✏️ **社会保険労務士の視点から一言** 

「派遣スタッフが安心して働ける環境づくり」は、 

最も確実で、最も価値ある“リスクマネジメント”です。 

今日からできる小さな一歩を、ぜひ現場で始めてみてください。

 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

【参照記事】

https://news.yahoo.co.jp/articles/61a25e71e7db8d7bad83ab400dd6edc5dbeb1670

 

【参照リンク】

厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65250.html

 

不正アクセスで5600人分の情報流出疑い。派遣会社が取るべきリスク対策とは?   2025.10.31

2025年10月、A社が、約5600人分の個人情報が漏洩した可能性を発表しました。 

原因は、社内で利用していた外部システムへの不正アクセス。対象となったのは、現役社員だけでなく、派遣社員や業務委託者、さらには退職者までを含む広範囲なものでした。 

 

幸い、マイナンバーやクレジットカード情報は含まれておらず、現時点で実害は確認されていないとのことです。 

しかし、名前・入退社日・所属情報といった勤務履歴データが流出するだけでも、企業・個人双方にとって重大な信頼問題となりかねません。 

 

本記事では、このニュースを踏まえ、派遣会社が今すぐ見直すべき「情報管理とリスク対策」について、社会保険労務士の立場から解説します。 

 

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## 1️⃣ 派遣会社にとって「個人情報管理」はビジネスの根幹

 

派遣業は「人」を介して「企業」と「労働力」を結びつけるビジネスです。 

その中心にあるのが、登録スタッフの個人情報。履歴書・職歴・資格・健康情報・給与データなど、取り扱う情報は極めて多岐にわたります。 

 

つまり、個人情報の信頼性=企業の信頼性。 

どれだけ優秀な人材を抱えていても、「この会社に登録したら情報が漏れたらしい」という噂が立てば、スタッフ登録が止まり、取引先企業にも影響が及びます。 

 

派遣会社の経営において、「情報管理体制の整備」は営業力や採用力と同じくらい重要な要素だと言えるでしょう。 

 

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## 2️⃣ 「外部委託しているから安心」は最大の落とし穴

 

今回の事例でも明らかになったように、情報漏洩は「自社が直接管理していないシステム」から発生することが多くあります。 

 

派遣会社でも、勤怠管理システム・給与計算ソフト・クラウド型人材管理ツールなど、外部ベンダーに依存しているケースが一般的です。 

そのため、「システム会社に任せているから大丈夫」と思い込み、社内のリスク認識が薄れてしまう傾向があります。 

 

しかし、個人情報保護法上、責任は“委託元企業”にも及びます。 

つまり、外部ベンダーが原因で漏洩したとしても、「委託した会社の管理責任」が問われる可能性があるのです。 

 

契約書の中に「情報管理体制」や「再委託の禁止・制限」が明記されていないと、いざという時に「どちらの責任か」が不明確になり、被害拡大や対応遅れにつながります。 

 

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## 3️⃣ 情報漏洩の原因は「技術」よりも「運用」にある

 

情報セキュリティというと、最新のシステム導入やIT専門家による監査を想像される方も多いですが、 

実際の漏洩事故の多くは、意外にも「人為的なミス」や「運用の甘さ」が原因です。 

 

例えば次のようなケースが典型です: 

- 退職スタッフの情報を削除せず、放置していた 

- ID・パスワードを複数人で共有していた 

- 外部委託先のアクセスログを定期的に確認していなかった 

- 紙ベースの履歴書や契約書を長期間保管していた 

 

これらはいずれも、特別なハッキングスキルを必要としない、単純な「管理の不備」から起こる事故です。 

つまり、最も重要なのは「システムではなく、運用のルールを作ること」なのです。 

 

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## 4️⃣ 派遣会社が今すぐ見直すべき3つのリスク対策

 

ここでは、派遣会社が現実的にすぐ取り組める対策を3つ紹介します。 

 

### ✅① 情報の保存場所とアクセス権限を明確にする 

「誰が、どの情報に、どのタイミングでアクセスできるのか」―― 

この仕組みを明文化することが第一歩です。 

人事担当者や営業担当者など、職務上必要な範囲に限定し、不要な閲覧を制限します。 

 

また、派遣スタッフ情報がクラウド上にある場合、データが国内外どこに保存されているのかも把握しておくことが重要です。 

 

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### ✅② 外部システム会社との契約内容を精査する 

委託契約書には、以下の項目が含まれているかを必ず確認してください: 

- 情報の再委託禁止または制限 

- 不正アクセスや漏洩発生時の報告義務 

- 契約終了時のデータ消去義務 

- 定期的なセキュリティ点検の実施義務 

 

これらが契約に明記されていないと、万一の際に「報告を受けられない」「情報が残存する」といった問題が起こりえます。 

 

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### ✅③ 情報漏洩発覚時の対応フローを整備する 

漏洩が起きたとき、初動対応を間違えると被害が拡大します。 

誰がどのタイミングで、どの機関に報告し、どのように本人通知を行うのか。 

この手順を事前にマニュアル化しておくことで、慌てず適切な対応が可能になります。 

 

個人情報保護委員会への報告や、社内の緊急対応チーム設置も検討すべきポイントです。 

 

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## 5️⃣ 情報漏洩リスクは「全社で共有」するもの

 

情報セキュリティの責任は、情報システム部門だけのものではありません。 

営業、コーディネーター、人事、経営層など、全員が「個人情報を扱っている」という意識を持つことが大切です。 

 

特に派遣会社では、営業担当が派遣スタッフの履歴書をメール添付で企業に送信するケースも多く見られます。 

しかし、パスワードなしの添付送信や、私用スマホからのデータ送付などは極めて危険です。 

 

社内で統一したルールを設定し、教育を繰り返すことで、リスクを大幅に下げることができます。 

 

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## 6️⃣ 「想定していたかどうか」が信頼を分ける

 

情報漏洩は、どんなに対策をしていてもゼロにはできません。 

重要なのは、「どこまで想定していたか」「どこまで準備していたか」です。 

 

例えば、A社のように被害が確認されていなくても、迅速に公表・遮断対応を行った点は評価できます。 

このように、危機が発生した際の「透明性」「スピード」「誠実さ」が、最終的に企業の信頼を左右します。 

 

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## 7️⃣ 派遣業特有の「多重構造リスク」を意識する

 

派遣業界では、派遣元・派遣先・システム会社・給与代行会社など、複数の事業者が情報を扱う構造になっています。 

この「多重構造」が、情報管理の最大のリスク要因です。 

 

たとえば、派遣元が登録情報をシステム会社に預け、派遣先がその情報を共有する―― 

この間に1つでもセキュリティの弱い箇所があれば、全体が危険にさらされます。 

 

したがって、派遣会社は「自社の中だけでなく、外部も含めた全体のセキュリティ」を把握する必要があります。 

 

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## 8️⃣ 社労士から見た「安全な会社」の共通点

 

実務で多くの派遣会社を支援していると、「情報管理が強い会社」には共通点があります。 

それは、次の3つです。 

 

1️⃣ 経営層がセキュリティを経営課題として扱っている 

2️⃣ 定期的に情報管理チェックリストを更新している 

3️⃣ ミスやトラブルが起きたときに「責める文化」ではなく「共有・改善の文化」がある 

 

つまり、「ルール+風土」がそろって初めて、リスクは低下します。 

 

---

 

## 9️⃣ 中小派遣会社こそ「信頼」で勝負する時代に

 

情報管理への投資は、大企業だけの話ではありません。 

むしろ中小の派遣会社ほど、登録者や取引先からの「信頼」で事業が成り立っています。 

 

「大手だから安心」ではなく、「この会社は誠実に情報を扱っている」という信頼こそが、今後の採用・営業に直結します。 

 

派遣スタッフも、取引先企業も、「安心して任せられる会社」を選ぶ時代です。 

情報保護体制の強化は、もはやコンプライアンス対応ではなく、“競争力の源泉”なのです。 

 

---

 

## 🔟 まとめ:備えは「今」しかできない

 

今回の件は、どの企業にも起こり得る出来事です。 

不正アクセスは防ぎきれなくても、被害を最小限に抑える仕組みを持つことはできます。 

 

今、派遣会社が取るべき行動は次の3つです: 

1️⃣ 管理の「見える化」 

2️⃣ 契約の「明確化」 

3️⃣ 対応の「即時化」 

 

この3つを徹底するだけで、万一の際の信頼失墜リスクを大きく減らせます。 

 

情報管理は「ITの話」ではなく、「人と仕組みの話」です。 

そしてそれは、派遣業における“信頼の土台”です。 

 

このニュースをきっかけに、自社のセキュリティ体制を改めて見直してみてください。 

安心して登録し、安心して働ける環境をつくること――それが派遣会社の最大の責任であり、最大の強みになります。 

 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

【参照記事】

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC24A430U5A021C2000000/

 

【サイバーセキュリティの専門家】

合同会社インフォシールド(当事務所のパートナー企業です)

https://infoshield.co.jp/

 

――――――――――――――――――――――――― 

執筆:社会保険労務士 泉文美(派遣業・労務リスクマネジメント専門) 

 

#派遣会社 #個人情報漏洩 #情報管理 #社労士 #リスクマネジメント #コンプライアンス #不正アクセス #労務管理

厚労省が女性活躍推進法を改正へ:派遣会社が今すぐ見直すべき3つの対応策   2025.10.27

2025年度から、「女性活躍推進法」に基づく指針が改正されます。 

厚生労働省が示した改正案には、「生理・更年期など女性特有の健康課題を踏まえた支援の強化」が明記され、 

企業に対して休暇制度の整備、柔軟な働き方の導入、相談体制の構築などが求められます。

 

一見すると大企業向けのテーマのように思われがちですが、 

実は「派遣業界」にとっても非常に大きな意味を持つ改正です。 

 

派遣社員の約7割が女性であることを考えれば、 

今回の法改正は“現場の働き方”に直結する話題だと言えます。

 

この記事では、社会保険労務士の視点から、 

改正のポイントと、派遣会社が今すぐ取り組むべき3つの対応策について詳しく解説します。

 

---

 

## 1. 改正の背景:女性の健康課題が「企業課題」に

 

女性の働き方をめぐる環境は、ここ数年で大きく変化しています。 

政府が進める「女性活躍推進」や「多様な働き方」などの政策により、 

出産・育児後もキャリアを継続する女性が増えました。

 

しかし一方で、**生理痛・PMS・更年期障害などの健康課題によって仕事を続けにくくなるケース**も多く、 

これまでは“個人の問題”として扱われてきたのが現実です。

 

厚労省によると、女性の健康課題による経済損失は、年間約3兆4,000億円。 

これは、生産性の低下・欠勤・離職などによる損失を含めた試算です。 

この数字は、企業経営の観点からも無視できない規模です。

 

今回の改正案では、こうした健康上の課題を 

「企業が配慮すべき労働環境の一部」として明確化。 

女性が安心して働ける仕組みづくりを進めることが、企業の社会的責任として位置づけられました。

 

---

 

## 2. 改正の主なポイント

 

改正案で示された具体的な取組みは、大きく3つに整理できます。

 

### ① 多様な休暇制度の整備

 

生理や更年期症状、体調不良による通院や休養など、 

従来は有給休暇に頼るしかなかった部分に、企業独自の休暇制度を導入することが求められます。 

 

たとえば以下のような制度が検討対象となります。

 

- 生理休暇や体調休養日を時間単位で取得できる仕組み 

- 医療機関受診や治療のための通院休暇 

- 突発的な不調に対応できる「特別有給休暇」

 

こうした制度を設けることで、社員が無理をせず働ける環境を整えることができます。

 

---

 

### ② 柔軟な働き方の導入

 

健康状態やライフステージに合わせて働けるよう、 

次のような柔軟な勤務制度の導入が推奨されます。

 

- 時差出勤(ラッシュを避けて通勤) 

- 短時間勤務制度 

- テレワーク(在宅勤務) 

- 所定外労働(残業)の制限

 

特に更年期世代では、体調の波が日によって大きく変わるケースもあり、 

「一律の勤務時間」ではかえって生産性が落ちることもあります。 

柔軟な勤務体系は、結果的に企業全体のパフォーマンス向上にもつながります。

 

---

 

### ③ 相談体制と職場理解の促進

 

制度を整えるだけでは十分ではありません。 

社員が「安心して相談できる環境」を整えることが不可欠です。

 

改正案では、次のような取組みを求めています。

 

- 産業医やカウンセラーの配置 

- オンライン相談窓口の整備 

- 職場内研修による理解促進 

- 女性同士が気軽に話し合える交流の場づくり

 

体調の悩みを上司に直接伝えることが難しいケースも多いため、 

「第三者に相談できるルート」を確保することが重要です。

 

---

 

## 3. 派遣業界にとっての影響と課題

 

派遣会社にとって、この改正は“人材定着”に直結するテーマです。 

派遣スタッフの多くが女性であり、健康上の理由で働き続けられなくなるケースは少なくありません。

 

よくある現場の課題として、次のような声が聞かれます。

 

- 「体調不良でも休みにくい雰囲気がある」 

- 「派遣先の上司に相談しづらい」 

- 「派遣元に相談しても、対応に時間がかかる」 

 

このような課題を放置すれば、派遣スタッフの離職率が上がるのは当然です。 

逆に言えば、健康支援の仕組みを整えることで、スタッフの信頼と定着率を高めるチャンスでもあります。

 

---

 

## 4. 派遣会社が今すぐ取り組むべき3つの対応策

 

ここからは、派遣会社が実際に取るべき具体的な行動を3つのステップで整理します。

 

---

 

### 対応策① 派遣元・派遣先の連携強化

 

健康課題への配慮は、派遣元だけで完結するものではありません。 

実際に働く現場(派遣先)の理解と協力が欠かせません。

 

たとえば、次のような仕組みづくりが有効です。

 

- 派遣先への「健康配慮指針」の共有 

- スタッフからの相談を受けた際の対応ルールを明確化 

- 派遣先担当者への研修(体調配慮・勤務調整など)

 

「派遣元と派遣先が同じ目線で支援する」ことができれば、 

スタッフにとっても安心感が生まれます。

 

---

 

### 対応策② 休暇・勤務制度の整備

 

就業規則に「健康支援休暇」や「通院休暇」などを設けるほか、 

時間単位で取得できる柔軟な休暇制度を導入する企業も増えています。

 

また、派遣スタッフの場合は「勤務シフトの柔軟性」も重要です。 

体調不良時には、在宅業務への切り替えや時間短縮勤務など、 

派遣先と調整できる仕組みを整えておくと良いでしょう。

 

社労士として実務的に見ても、こうした制度整備は難しくありません。 

小規模な会社でも、運用の工夫で十分に対応可能です。

 

---

 

### 対応策③ 相談体制の構築と社内文化の醸成

 

制度やルールを整えても、「使いにくい」「言い出しにくい」環境では意味がありません。 

そのためには、「相談しやすい文化」を社内に根付かせることが大切です。

 

たとえば次のような工夫が考えられます。

 

- 担当者による定期的なフォロー面談 

- オンラインでの匿名相談フォームの設置 

- 女性社員によるサポートチームの設置 

- 男性社員も含めた啓発研修の実施 

 

「お互いを思いやる文化」をつくることが、制度運用のカギになります。

 

---

 

## 5. 「女性だけの支援」ではない

 

改正案には、「女性だけでなく、労働者全体を対象とした取組みも有効」との記述があります。 

つまり、女性支援をきっかけに、**誰もが働きやすい職場環境づくり**を進めることが理想です。

 

男性にも更年期や体調の波はありますし、 

介護やメンタルヘルスの問題など、サポートが必要な場面は誰にでも起こり得ます。

 

「健康に働くための配慮」を組織文化として広げることが、 

結果的に企業全体の生産性とエンゲージメントを高めることにつながります。

 

---

 

## 6. 行動計画への反映と企業の義務

 

女性活躍推進法では、従業員301人以上の企業に対して、 

「行動計画の策定・公表」が義務付けられています。 

今回の指針改正を受けて、今後はその行動計画の中に「健康支援の取組み」を明記する必要が出てきます。

 

派遣会社においても、計画更新の際には次のような観点を盛り込むことが望ましいでしょう。

 

- 女性の健康課題に関する現状把握(アンケート・面談など) 

- 健康支援のための制度導入と目標設定 

- 定期的な効果測定と職場意識の変化の確認 

 

「計画倒れ」で終わらせないためには、 

小さくても“実際にできる行動”を積み重ねることが大切です。

 

---

 

## 7. 社労士の視点:制度設計と運用の両輪が重要

 

社会保険労務士として感じるのは、 

このテーマは「制度設計」と「現場運用」の両輪があって初めて機能するという点です。

 

就業規則や休暇制度の条文を整えるだけでは不十分で、 

実際に社員が安心して使えるように、現場と経営の間をつなぐ調整が必要です。

 

たとえば、 

- 派遣スタッフが休暇を申請したときの連絡ルート 

- 派遣先への情報共有の範囲と配慮 

- 有給との整合性や給与処理のルール化 

など、細部まで運用ルールを詰めておくことで、トラブルを防げます。

 

---

 

## 8. まとめ:女性が安心して働ける企業こそ、選ばれる

 

今回の法改正は、単なる法令対応ではなく、 

「企業がどんな価値観で働く人を支えるのか」という姿勢を問うものです。

 

派遣スタッフを含め、誰もが体調やライフステージに左右されずに働ける環境をつくること。 

それが今後の人材確保・企業成長の鍵になるでしょう。

 

健康支援の取組みは、“コスト”ではなく“投資”です。 

定着率の向上、生産性の維持、企業イメージの向上── 

そのすべてが中長期的な経営基盤の強化につながります。

 

---

 

👩‍💼 **社会保険労務士としての一言**

 

女性社員・派遣スタッフの健康課題は、 

個人の努力では解決できない「職場の構造的課題」です。 

 

就業規則の改定、行動計画の策定、健康支援制度の設計など、 

法令を踏まえた現実的な対応策を一緒に考えていきましょう。 

 

“誰もが安心して働ける職場づくり”は、派遣会社のブランドそのものです。 

2025年の法改正を追い風に、現場から変化を起こしていきましょう。

 

当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

【参照記事】

https://www.rosei.jp/readers/article/89783

 

 

【参照リンク】

厚生労働省「働く女性の健康推進に取組みましょう」

https://share.google/JQ3gGoq72EcZtIXBh

転倒労災が増加中!派遣業界で急務となる「疲労対策」とは   2025.10.22

## 目次

1. はじめに:なぜ今「転倒労災」が増えているのか 

2. 数字で見る転倒災害の現状 

3. 「高齢化」だけでは説明できない転倒増加の真の要因 

4. 日本人の8割が「疲れている」—疲労社会ニッポンの実態 

5. 疲労が引き起こす“転倒リスク”と“ヒヤリハット” 

6. 派遣現場で疲労が蓄積しやすい3つの背景 

7. 疲労を放置することがもたらすリスクとは 

8. 社労士が提案する「疲労対策」3つの柱 

9. 職場でできる具体的な取り組み事例 

10. まとめ:疲労対策は「安全対策」であり「未来への投資」

 

---

 

## 1. はじめに:なぜ今「転倒労災」が増えているのか

 

ここ数年、「転倒による労災」が増加しているという報告が相次いでいます。 

転倒は一見すると“小さな事故”のように思われがちですが、骨折や長期離脱につながることも多く、企業にとっては大きなリスクです。

 

派遣業界でも、製造・物流・清掃・介護など、多様な現場でスタッフが働いており、 

**「転倒災害」は決して他人事ではありません。**

 

なぜいま、転倒による労災が増えているのか。 

その答えは、意外にも「疲労」というキーワードにありました。

 

---

 

## 2. 数字で見る転倒災害の現状

 

厚生労働省の統計によると、2014年には約2万7000件だった転倒災害が、 

2024年には3万6000件を超え、**10年間で約1万件も増加**しています。

 

中央労働災害防止協会(中災防)も、「転倒による労災」が現在もっとも課題となっていると警鐘を鳴らしています。

 

この増加の背景には、「現場作業員の高齢化」が指摘されることが多いですが、 

実はそれだけでは説明がつかないのです。

 

---

 

## 3. 「高齢化」だけでは説明できない転倒増加の真の要因

 

確かに高齢化は一因です。 

筋力の低下やバランス能力の衰えが転倒リスクを高めることは事実です。 

 

しかし、最近では**20〜40代の転倒災害も増加傾向**にあります。 

その原因として無視できないのが、「疲労の蓄積」です。

 

---

 

## 4. 日本人の8割が「疲れている」—疲労社会ニッポンの実態

 

一般社団法人日本リカバリー協会の最新調査(2025年)によると、 

就労者の82.0%が「疲れている」と回答。 

この数字は過去最高であり、わずか1年で30万人以上増えたといいます。

 

さらに、「すごく疲れている」と答えた人の割合も46.3%に上昇。 

もはや**「慢性疲労」が社会全体に蔓延している**状態です。

 

疲労は単なる「だるさ」ではなく、 

集中力・判断力・筋肉の反応速度を鈍らせることで、 

作業中のミスや事故を誘発します。

 

---

 

## 5. 疲労が引き起こす“転倒リスク”と“ヒヤリハット”

 

疲れていると、人は自分の身体感覚を正確に把握できなくなります。 

たとえば、「足を上げたつもりが上がっていない」「段差に気づかずつまずく」など。 

これは筋肉の疲労だけでなく、**脳の空間認知機能の低下**によるものです。

 

また、精神的な疲労がたまると注意力が散漫になり、 

「ヒヤリハット」や「インシデント」が起こりやすくなります。

 

労働安全の分野では有名な**ハインリッヒの法則**があります。 

1件の重大事故の裏には、29件の軽傷事故と、300件のヒヤリハットがあるという経験則です。

 

つまり、疲労を放置することは、**重大災害の予兆を見過ごす**ことにつながります。

 

---

 

## 6. 派遣現場で疲労が蓄積しやすい3つの背景

 

派遣スタッフの現場は多様であり、 

疲労が蓄積しやすい構造的な要因がいくつも存在します。

 

### ① シフトの不規則化

早朝・夜勤・二交代制など、生活リズムが乱れやすい勤務体系が多く、 

睡眠の質が低下しやすい傾向があります。

 

### ② 現場異動の多さ

派遣スタッフは現場ごとに環境や作業ルールが異なり、 

その都度新しい動きや人間関係に適応する必要があります。 

心理的な疲労も蓄積します。

 

### ③ 慢性的な人手不足

人手が足りない現場では、一人あたりの作業負担が大きく、 

「無理をしてでもやりきる」文化が根付きやすくなります。 

その結果、疲労のサインを見逃してしまうのです。

 

---

 

## 7. 疲労を放置することがもたらすリスクとは

 

疲労を軽視すると、転倒事故だけでなく次のようなリスクを招きます。

 

- **労災リスクの増加** 

- **生産性の低下**(集中力・判断力の低下) 

- **離職率の上昇**(心身の限界による離脱) 

- **企業イメージの悪化**(安全対策への信頼喪失)

 

派遣スタッフが安心して働ける環境づくりは、 

**派遣元・派遣先双方の責任**でもあります。

 

---

 

## 8. 社労士が提案する「疲労対策」3つの柱

 

疲労対策は特別なことではありません。 

次の3つの柱を意識するだけで、現場の安全性と生産性は大きく変わります。

 

### ① 休養・睡眠・リラクセーション支援 

長時間労働を是正するだけでなく、 

休憩の取り方や睡眠改善の工夫を促す取り組みが効果的です。 

例えば「リカバリーデー(回復日)」の導入や、 

職場での軽いストレッチタイムなど。

 

### ② 認知・行動トレーニングによるストレス軽減 

疲労の背景には心理的なストレスもあります。 

簡単なマインドフルネスやセルフケア研修などを通して、 

“自分の疲れに気づく力”を育てることが重要です。

 

### ③ 上司と部下の対話による職場環境の調整 

「最近疲れていない?」と声をかけ合える風土をつくること。 

この一言が、事故を防ぐ最初のステップになります。 

職場ミーティングで疲労度を共有し、 

作業配分を調整する取り組みが有効です。

 

---

 

## 9. 職場でできる具体的な取り組み事例

 

- **疲労チェックシートの導入** 

定期的にスタッフの体調や気分を確認し、数値化して管理。 

- **安全朝礼での“疲労トーク”** 

その日のコンディションを一言ずつ共有するだけでも効果あり。 

- **小休憩ルールの設定** 

集中が切れる前に5分の休憩を挟む。 

- **労務相談窓口の明確化** 

体調不良やストレスを気軽に相談できる仕組みをつくる。

 

こうした小さな工夫の積み重ねが、 

「疲れに強い職場文化」を育てていきます。

 

---

 

## 10. まとめ:疲労対策は「安全対策」であり「未来への投資」

 

疲労は見えにくく、つい後回しにされがちです。 

しかし、疲労こそが労災・転倒事故の“静かな引き金”になっています。

 

派遣業界では、派遣スタッフ一人ひとりの安全と健康が 

企業の信頼を支える基盤です。 

疲労を可視化し、組織全体で取り組むことは、 

単なる「健康管理」ではなく、**「安全マネジメント」そのもの**です。

 

---

 

社労士として現場を見ていると、 

疲労対策に取り組む企業ほど、スタッフ定着率も高く、 

現場の雰囲気が良くなる傾向があります。 

 

転倒災害を防ぐ最初の一歩は、 

「疲れていないか?」と問いかけることから。 

 

その声かけが、職場を守り、企業の未来を支える力になります。 

 

ご相談の際は、当ホームページのお問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。

初回のご相談は無料です。

 

 

【参照記事】

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbb1506ba9753f0ff71b544fcd8318f494c8d313?page=2

 

【参考リンク】

厚生労働省「両立支援におけるストレスマネジメント」

https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/column/column_03.html

 

#労災防止 #派遣業界 #疲労対策 #安全衛生 #働き方改革 #社会保険労務士

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「予め料金が分かっているので、安心して申し込めます」

 「料金交渉が不要で助かります」

 「時間単価は一定なので、研修時間数を調整すればいいから、予算との折り合いも簡単にできます」

 などなど、多くのお客様に喜ばれております。

セミナーについて

当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。

セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

講演について

当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

研修のご依頼例

  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
  • 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい

執筆のご依頼

雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。

掲載履歴

HP記事執筆

ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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