無期転換ルール放置で違反指摘が急増|派遣会社が今すぐ確認すべき全国共通の注意点【派遣業特化】
2026.01.15
はじめに
派遣業だからこそ無期転換ルールが問題になりやすい
近年、日本全国で「無期転換ルール」をめぐる是正指導や労務トラブルが急増しています。中でも派遣会社は、無期転換ルールの影響を最も受けやすい業種と言っても過言ではありません。
派遣業では、
- 有期雇用が原則
- 同一スタッフが長期間就業するケースが多い
- 派遣先都合で契約更新が繰り返されやすい
といった構造的特徴があります。そのため、「気づいたら通算5年を超えていた」「派遣先との契約を優先していたら違反を指摘された」という相談が、全国の社会保険労務士事務所に日常的に寄せられています。
本記事では、派遣業に特化し、無期転換ルールの基本から、派遣会社に多い違反パターン、派遣法との関係、実務対応のポイントまでを社会保険労務士の視点で詳しく解説します。
派遣会社にも確実に適用される無期転換ルールの基本
無期転換ルールは、労働契約法第18条に基づき、
同一の使用者との間で有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者の申込みにより無期労働契約へ転換できる
という制度です。
ここで重要なのは、派遣社員であっても「使用者」は派遣元会社であるという点です。派遣先が変わっても、派遣元との有期雇用契約が継続していれば、契約期間は通算されます。
- 派遣先が複数あっても通算
- フルタイム・短時間を問わない
- 都市部・地方の別なく全国共通
「派遣先が違うからリセットされる」という認識は、明確な誤りです。
派遣業で無期転換ルール違反が増えている理由
派遣会社で違反が増えている背景には、業界特有の事情があります。
契約管理が派遣先基準になりがち
派遣契約の更新時期に合わせて、雇用契約も更新している派遣会社は少なくありません。その結果、派遣先との契約管理は厳密でも、派遣元としての雇用契約通算管理が不十分になりがちです。
営業・現場優先で労務管理が後回し
人手不足の派遣業界では、営業対応や派遣先フォローが優先され、労務管理は「問題が起きてから対応」というケースが多く見られます。
派遣社員側の権利意識の高まり
インターネットやSNSの普及により、「無期転換」という言葉を派遣社員自身が知るようになり、労働局への相談件数が全国的に増えています。
派遣会社に特に多い無期転換ルールの誤解
誤解①:5年で自動的に無期派遣になる
無期転換は自動ではなく、派遣社員からの申込みが必要です。
しかし、申込みを避けるために
- 更新を打ち切る
- 突然派遣終了にする
といった対応をすると、不当雇止めとして争われるリスクがあります。
誤解②:更新上限を設ければ無期転換を防げる
派遣業では「更新上限3年」「5年まで」といった管理がよく行われますが、実態として更新が繰り返されていれば、形式的な上限設定は無効と判断される可能性があります。
誤解③:派遣法の3年ルールと同じもの
無期転換ルールと派遣法の3年ルールは別の制度です。
- 派遣法:同一派遣先での就業期間制限
- 無期転換:派遣元との雇用契約期間
この違いを混同している派遣会社は非常に多く、トラブルの原因になっています。
全国で実際に起きている派遣業の違反指摘事例
事例①:派遣先変更を繰り返し5年超えに気づかなかったケース
地方の派遣会社で、同一スタッフを複数の派遣先に配置転換しながら長期間雇用していた事例です。
派遣先が変わるたびに契約を作り直していたため、通算期間を把握しておらず、労働局調査で無期転換申込権の説明不足を指摘されました。
事例②:無期転換を避けるため派遣終了→申告
首都圏の派遣会社では、5年到達前に派遣先契約を終了し、そのまま雇用契約も終了。
派遣社員が「無期転換を避けるための雇止めではないか」と労働局へ申告し、派遣会社側の説明体制が問題視されました。
これらは、日本全国の派遣業界で決して珍しくないケースです。
派遣会社が負う無期転換ルール違反のリスク
派遣業における無期転換ルール違反は、単なる是正指導にとどまりません。
- 派遣社員からの信頼低下
- 派遣先企業からの契約見直し
- 行政指導履歴による事業運営リスク
派遣業は「信用」が生命線であり、一度のトラブルが経営に大きく影響します。
無期転換後の派遣社員はどう扱うべきか
無期転換後も、必ずしも正社員にする必要はありません。
派遣業では一般的に、
- 無期雇用派遣社員
- 勤務地・職種限定型
といった形で制度設計されるケースが多く見られます。
重要なのは、
- 賃金
- 派遣待機時の扱い
- 配置転換の範囲
を事前に明確にしておくことです。
派遣会社が今すぐ整えるべき3つの実務対策
① 派遣元としての通算契約期間管理
派遣先ではなく、「派遣元との雇用期間」を軸に管理する仕組みが不可欠です。
② 無期転換申込権の説明体制構築
5年到達前に、書面と面談で説明することで、後の紛争を防げます。
③ 無期雇用派遣社員制度の明確化
制度が曖昧なまま無期転換を迎えることが、最も危険です。
無期転換対応は派遣会社の競争力になる
無期転換ルールに正しく対応している派遣会社は、
- 派遣社員の定着率向上
- 派遣先からの評価向上
- 安定した人材供給
といった強みを持つことができます。
まとめ:派遣業こそ無期転換ルールを経営戦略に
無期転換ルールは、派遣会社にとって避けて通れない全国共通の制度です。
放置すればリスク、整備すれば強みになります。
派遣業特有の実務を理解した上で、早期に制度設計を行うことが、将来のトラブル防止と安定経営につながります。
「自社の運用は問題ないか」「派遣法との整理ができているか」と感じたら、派遣業に精通した社会保険労務士へ早めに相談することをおすすめします。
当事務所へのご相談は初回無料です。ホームページのお問合せよりご連絡ください。
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- 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい
執筆のご依頼
雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。
掲載履歴
HP記事執筆
ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。
「近代中小企業」2月号
「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。
「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」
「SR」 9月号
ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。
ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。
(第27号 2012年8月6日発売)


