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NEW 【2026年春施行予定】派遣法・パート有期法の省令改正で何が変わる?派遣会社経営者が今から準備すべき実務対応   2026.02.22

派遣会社の経営者の皆様、2026年春に重要な法改正が予定されていることをご存知でしょうか。労働政策審議会が約1年間にわたる議論の末に報告書を取りまとめ、厚生労働省は派遣法およびパート有期法の省令・指針を改正する方針を固めました。この改正は、2020年4月に施行された「同一労働同一賃金」のさらなる推進を目指すもので、派遣会社の実務に大きな影響を与えます。本記事では、改正の具体的な内容と、派遣会社が今から準備すべき実務対応について詳しく解説します。

 

法改正の背景:働き方改革から5年、同一労働同一賃金は道半ば

 

 2020年改正派遣法の検証

 

2020年4月、働き方改革関連法の一環として、派遣法とパート有期法が改正され、「同一労働同一賃金」の考え方が導入されました。この改正により、派遣労働者と正社員の間の不合理な待遇差を解消することが求められました。

 

しかし、施行から約5年が経過した現在、「同一労働同一賃金の実現は道半ば」というのが労働者側の評価です。確かに、制度は導入されましたが、運用面での課題や、企業によって取り組みの温度差があることが指摘されています。

 

 労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」の議論

 

こうした状況を踏まえ、2026年2月から労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」(通称:同一部会)が、派遣法とパート有期法の見直しについて議論を開始しました。約1年間にわたる精力的な議論の末、2025年12月25日に報告書が取りまとめられました。

 

この報告書では、現行制度の課題を整理し、より実効性のある制度とするための改善策が盛り込まれています。厚生労働省は、この報告書に基づき、2026年春をメドに省令・指針の改正案を同部会に諮問し、了承を得た上で施行する方針です。

 

改正の4本柱:派遣会社が押さえるべき重要ポイント

 

今回の改正は、以下の4本柱で構成されています。それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。

 

 柱1:均等・均衡待遇のさらなる強化

 

**同一労働同一賃金ガイドラインのさらなる明確化**

 

現行の「同一労働同一賃金ガイドライン」は、どのような待遇差が「不合理」とみなされるのかを示していますが、実務上の判断に迷うケースが多いという課題がありました。今回の改正では、ガイドラインがさらに明確化され、具体的な事例が追加される見込みです。

 

派遣会社としては、改正後のガイドラインを熟読し、自社の待遇決定方式(派遣先均等・均衡方式または労使協定方式)が適切に運用されているかを再確認する必要があります。

 

**派遣労働者の意見の反映**

 

派遣労働者やパート・有期雇用労働者の意見を、待遇決定のプロセスに反映させる仕組みの構築が求められます。具体的には、労使協定の締結プロセスにおいて、派遣労働者の代表から意見を聴取する機会を設けることなどが考えられます。

 

派遣会社は、派遣労働者とのコミュニケーションを強化し、現場の声を丁寧に拾い上げる体制を整える必要があります。

 

**労働者派遣制度における待遇決定方式の運用改善**

 

派遣法では、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2つの待遇決定方式がありますが、それぞれの運用において課題が指摘されています。

 

たとえば、労使協定方式において、一般労働者の賃金水準(職業安定局長通達)を形式的にクリアしていても、実質的には派遣労働者の待遇が十分でないケースがあるとの指摘があります。今回の改正では、こうした運用面の改善が図られる見込みです。

 

**福利厚生施設の利用機会の提供**

 

派遣先企業が保有する食堂、休憩室、更衣室などの福利厚生施設について、派遣労働者にも利用機会を提供することが求められます。これは、派遣労働者が派遣先で働く上での「一体感」を高め、職場環境を改善するための措置です。

 

派遣会社は、派遣契約を締結する際に、福利厚生施設の利用について派遣先企業と協議し、契約書に明記することが重要です。

 

**いわゆる「立証責任」の明確化**

 

待遇差が「不合理」かどうかが争われた場合、誰がその合理性を立証するのかという「立証責任」の問題が議論されました。報告書では、この点についても一定の整理がなされる見込みです。

 

派遣会社としては、待遇決定の根拠を明確に記録し、必要に応じて説明できるよう、文書化しておくことが重要です。

 

 柱2:労働者に対する待遇に関する説明義務の改善

 

**待遇の相違の内容及び理由等の説明を求めることができる旨の明示**

 

現行法でも、派遣労働者は待遇の相違について説明を求めることができますが、その権利が十分に認知されていないという課題がありました。今回の改正では、労働条件明示事項として、「待遇の相違について説明を求めることができる」旨を追加することが検討されています。

 

派遣会社は、派遣労働者への労働条件通知書に、この権利を明記する必要があります。また、派遣労働者が気軽に質問できる相談窓口を設置することも重要です。

 

**待遇の相違の内容及び理由等の説明の方法**

 

説明の方法についても、より具体的なガイドラインが示される見込みです。単に「法令に基づいて決定しています」という抽象的な説明ではなく、具体的な根拠を示すことが求められます。

 

派遣会社は、待遇決定の根拠となるデータ(派遣先の正社員の待遇情報、一般労働者の賃金水準など)を整理し、分かりやすく説明できる資料を準備しておくべきです。

 

 柱3:公正な評価による待遇改善の促進

 

**公正な評価による待遇改善の促進**

 

派遣労働者の能力やスキルを公正に評価し、それに基づいて待遇を改善する仕組みの構築が求められます。これは、派遣労働者のモチベーション向上とキャリア形成を支援するための措置です。

 

派遣会社は、派遣労働者の評価制度を整備し、定期的な面談やフィードバックを通じて、スキルアップの機会を提供することが重要です。

 

**情報公表の促進**

 

企業の待遇に関する情報公表を促進することで、求職者が企業を選ぶ際の判断材料を提供し、企業間の競争を通じて待遇改善を促す狙いがあります。

 

派遣会社も、自社の待遇情報(平均賃金、福利厚生の内容、キャリアアップ支援など)を積極的に公表することで、優秀な人材を確保しやすくなります。

 

**正社員転換支援・キャリアアップ**

 

派遣労働者が希望する場合に、正社員への転換を支援する仕組みの強化が求められます。また、派遣労働者としてのキャリアアップ(より高度な業務への挑戦、資格取得支援など)も推進されます。

 

派遣会社は、正社員転換制度を整備し、派遣労働者に対してキャリアパスを明示することが重要です。

 

**「多様な正社員」制度の普及促進**

 

いわゆる「限定正社員」(勤務地限定、職種限定、短時間正社員など)の制度を普及させることで、派遣労働者が正社員として働きやすくなる環境を整備します。

 

派遣会社自身が、こうした多様な正社員制度を導入することも検討すべきでしょう。

 

**無期雇用フルタイム労働者への同一労働同一賃金の波及**

 

同一労働同一賃金の考え方は、派遣労働者やパート・有期雇用労働者だけでなく、無期雇用フルタイム労働者にも波及させることが目指されています。

 

 柱4:行政による履行確保

 

**制度周知の強化**

 

厚生労働省は、改正内容について企業と労働者に対して丁寧な周知を行う方針です。説明会の開催、リーフレットの配布、ウェブサイトでの情報提供などが予定されています。

 

派遣会社は、こうした情報を積極的に収集し、社内研修などを通じて担当者に周知することが重要です。

 

**企業の取り組み支援**

 

行政は、企業が改正に対応するための支援策を充実させる方針です。たとえば、社会保険労務士による無料相談、助成金の活用などが考えられます。

 

派遣会社は、こうした支援策を活用し、改正への対応をスムーズに進めるべきです。

 

派遣会社が今から準備すべき実務対応

 

改正の施行は2026年春以降と見込まれていますが、施行後に慌てて対応するのではなく、今から計画的に準備を進めることが重要です。以下、具体的な準備項目を挙げます。

 

 1. 待遇決定方式の再確認と見直し

 

**労使協定方式を採用している場合**

・労使協定の内容が、改正後のガイドラインに適合しているかを確認

・一般労働者の賃金水準が最新のもの(2026年度適用分)に更新されているかを確認

・派遣労働者の代表からの意見聴取プロセスが適切に行われているかを確認

 

**派遣先均等・均衡方式を採用している場合**

・派遣先から提供される待遇情報が十分かつ正確かを確認

・派遣労働者の待遇が派遣先の正社員と比較して不合理な差がないかを確認

 

 2. 労働条件通知書の改定

 

労働条件通知書に、「待遇の相違について説明を求めることができる」旨を明記する必要があります。また、相談窓口の連絡先も記載しましょう。

 

 3. 待遇説明資料の整備

 

派遣労働者から待遇の相違について説明を求められた際に、すぐに対応できるよう、説明資料を準備しておきましょう。

 

**資料に含めるべき内容**

・待遇決定方式(労使協定方式または派遣先均等・均衡方式)の説明

・具体的な待遇の内容(賃金、賞与、手当、福利厚生など)

・待遇差がある場合、その理由と根拠

・キャリアアップの機会や正社員転換制度の説明

 

 4. 評価制度の整備

 

派遣労働者の能力やスキルを公正に評価し、待遇改善につなげる仕組みを整備しましょう。

 

**評価制度のポイント**

・評価基準を明確にする(客観的で公正な基準)

・定期的な面談を実施する(年1~2回)

・評価結果を待遇に反映させる(昇給、スキルアップ研修の機会など)

・派遣労働者にフィードバックを行う

 

 5. 派遣先企業との契約書の見直し

 

派遣先企業との契約書に、福利厚生施設の利用について明記することを検討しましょう。また、派遣先から提供される待遇情報が十分かどうかも確認が必要です。

 

 6. 社内研修の実施

 

人事担当者や営業担当者に対して、改正内容についての研修を実施しましょう。特に、派遣労働者からの質問に適切に対応できるよう、Q&A集を作成しておくと良いでしょう。

 

 7. 情報公表の準備

 

自社の待遇情報を公表する準備を進めましょう。公表する内容としては、以下が考えられます。

 

**公表が推奨される情報**

・平均賃金(職種別、経験年別など)

・福利厚生の内容

・キャリアアップ支援の実績(研修受講者数、正社員転換者数など)

・派遣労働者の定着率

・派遣労働者の満足度調査結果

 

 8. 正社員転換制度の整備

 

派遣労働者が希望する場合に正社員へ転換できる制度を整備しましょう。また、「限定正社員」などの多様な働き方も検討すると良いでしょう。

 

労使の評価と今後の展望

 

 労働者側の評価

 

報告書の取りまとめにあたり、労働者側委員は「働き方改革施行後5年の見直しという点では決して十分とは言えず、同一労働同一賃金の実現は道半ばだ」と指摘しています。しかし一方で、「待遇の説明義務の運用改善など重要な項目が加わるなど、現場が直面している課題や疑問への対応に資する見直しが示されている」と評価しています。

 

つまり、完璧な改正ではないものの、現場の実態に即した改善が盛り込まれているということです。

 

 使用者側の評価

 

使用者側委員は「経営環境が大きく変化する中、企業が付加価値を最大化するためには多様な働き手の労働生産性向上を図っていかなければならない」と強調しています。また、「事業主の対応を求める多くの項目が盛り込まれており、いずれもパート有期と派遣労働者の待遇改善につながるものと考えている」と述べています。

 

使用者側としても、この改正を単なる負担増と捉えるのではなく、人材の有効活用と労働生産性向上の機会と捉えているようです。

 

 今後の施行スケジュール

 

厚生労働省は、2026年3月までに施行日を含む改正要綱案を公表する方針です。その後、パブリックコメント(意見公募)を経て、正式に省令・指針が改正されます。

 

企業と労働者への周知と準備期間を設けた上で施行される見込みですが、施行時期は早ければ2026年秋、遅くとも2027年春になると予想されます。

 

まとめ:今から始める改正対応で差をつける

 

2026年春に予定される派遣法・パート有期法の省令改正は、派遣会社の実務に大きな影響を与えます。しかし、これを単なる「負担」と捉えるのではなく、「派遣労働者の待遇改善と企業の競争力強化を両立させる機会」と捉えることが重要です。

 

改正への対応が早い企業は、以下のメリットを享受できます。

 

**早期対応のメリット**

・派遣労働者からの信頼が高まり、優秀な人材を確保しやすくなる

・派遣先企業からも「コンプライアンスに強い信頼できる派遣会社」として評価される

・行政指導や労働トラブルのリスクが低減する

・業界内での差別化につながり、競争優位性が高まる

 

今から計画的に準備を進め、改正を「成長の機会」として活かしましょう。派遣労働者の笑顔と、派遣会社の持続的成長の両立を目指して、一歩ずつ前進していきましょう。

 

【参考情報】

・厚生労働省「労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)報告書」

・同一労働同一賃金ガイドライン

・労働者派遣法、パートタイム・有期雇用労働法

 

【記事URL】

https://tsuna-ken.com/news/haken_20251229/

 

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一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
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【参加者様からのお声】

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「近代中小企業」2月号

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SR 9月号

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ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

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