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NEW 2026年度派遣同一労働同一賃金労使協定セミナー(10/15)に登壇します   2025.10.11

### 1. はじめに:2026年度に向けた「労使協定見直し」のタイミングが到来

 

2020年4月から始まった「同一労働同一賃金」制度。 

派遣会社の皆さまにとっては、すでに毎年の更新業務の一部として定着していることと思います。 

 

ただ、2026年度に向けて、今まさに「見直しのタイミング」を迎えています。 

なぜなら、制度がスタートしてから5年以上が経ち、 

一般賃金の上昇や市場環境の変化により、 

初期に策定した労使協定の前提がずれてきているケースが多いからです。

 

たとえば、次のようなお悩みを感じていませんか?

 

- 一般賃金の上昇率が高く、賃金テーブルの整合性が取れなくなっている 

- 派遣料金が上げられず、協定上の水準との差が広がっている 

- 職種区分や比較対象労働者の設定に迷いがある 

- 労働局からの調査や是正指導が気になる 

 

これらは、ほぼすべての派遣会社で共通して起きている課題です。 

「うちは制度対応できている」と思っていても、 

細かい部分で制度とのズレが蓄積していることが多いのです。

 

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### 2. 同一労働同一賃金とは?改めて基本を整理

 

「同一労働同一賃金」とは、 

派遣社員であっても、同じ仕事をしている正社員と 

不合理な待遇差があってはならないという考え方に基づく制度です。

 

派遣会社においては、次の2つの方式のどちらかで対応する必要があります。

 

1. **労使協定方式**:派遣元(派遣会社)が労使協定を締結し、賃金水準を自社で決める方式 

2. **派遣先均等・均衡方式**:派遣先企業の正社員と比較し、同等の待遇を保証する方式 

 

多くの派遣会社では「労使協定方式」を採用しています。 

理由は、派遣先との情報共有負担が軽く、 

運用を自社で完結できるためです。

 

しかし、この方式は「自社で正しく設計し、定期的に見直すこと」が大前提。 

ここが難しく、現場の実務で悩まれる方が多いポイントです。

 

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### 3. 2026年度改定に向けた背景と国の動き

 

2026年度に向け、厚生労働省では「一般賃金水準」の見直しを予定しています。 

具体的には、職業分類や賃金構造基本統計調査(賃金構造基本統計調査・いわゆる「賃構統計」)の更新が進められ、 

新たな基準値が発表される見込みです。

 

これにより、2020年や2021年に策定した労使協定の賃金テーブルが 

現行の水準よりも低く設定されているケースが増えることが予想されます。 

 

つまり、**現行の協定をそのまま更新すると「法の趣旨に合わない」状態になるリスク**があるのです。

 

また、2024年以降、労働局による立ち入り・書面調査が強化されており、 

労使協定の整合性や比較対象の妥当性を厳しく確認される傾向にあります。 

 

したがって、「2026年度改定」は、単なる年次更新ではなく、 

**制度全体を再設計する大きな節目**になると言えるでしょう。

 

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### 4. 現場でよくある「5つの課題」

 

私が派遣会社様のサポートをしていて、特に多いご相談がこちらです。

 

1️⃣ **賃金テーブルの設計が複雑化している** 

→ 各職種・地域・勤続年数を反映するとパターンが膨大になり、管理が難しい。 

 

2️⃣ **一般賃金水準の上昇に派遣料金が追いつかない** 

→ 顧客交渉が難しく、協定水準とのギャップが発生。 

 

3️⃣ **事業所間で運用にばらつきがある** 

→ 本社と支店で協定解釈が異なり、是正指導のリスクが生じる。 

 

4️⃣ **職種設定や区分の判断が難しい** 

→ 職務内容が多岐にわたり、統計上どの職種に当てはめるか分からない。 

 

5️⃣ **労働局の是正指導に対応できていない** 

→ 提示資料の整備や協定書の説明が不十分で、改善指導を受けるケースも。

 

これらは、決して一部の企業だけの問題ではありません。 

むしろ「制度を真面目に運用している会社ほど悩みが深い」と言っても過言ではありません。

 

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### 5. 厚労省ガイドライン改定の方向性

 

2026年度に向けて検討が進むガイドラインでは、次のような変更が焦点になると考えられます。

 

- 職種区分の再整理(特に事務・製造・技術系の境界明確化) 

- 一般賃金水準の上方修正 

- 教育訓練・福利厚生の均衡に関する指針強化 

- 賃金テーブルの公開方法・説明義務の明確化 

 

これらが確定すれば、労使協定書のフォーマット自体を 

一部修正する必要が出てくる可能性があります。

 

つまり、「いまの協定をそのまま更新」では済まないということです。 

セミナーでは、最新のガイドライン改定動向も詳しく解説いたします。

 

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### 6. 格差是正とコストのバランスをどう取るか

 

「賃金水準を引き上げたいけれど、料金改定が難しい」 

これは、どの派遣会社様からも共通して聞かれるお悩みです。 

 

現実的には、 

**待遇改善(=コストアップ)と経営の安定性**をどう両立するかがポイントです。

 

このバランスを取るためには、 

・地域別・職種別の統計を正確に把握する 

・段階的な昇給モデルを設定する 

・派遣先との料金改定交渉に根拠を持たせる 

 

といった“データに基づく運用”が欠かせません。 

「制度を守ること」が「経営リスクを防ぐこと」に直結します。

 

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### 7. 実際に起きやすいトラブル事例

 

いくつかの実例を挙げましょう。

 

- **事例①:協定更新時の賃金差異指摘** 

→ 一般賃金との差が広がり、労働局から是正を求められたケース。 

 

- **事例②:比較対象労働者の選定ミス** 

→ 派遣先の正社員ではなく、契約社員を比較にしていた。 

 

- **事例③:派遣先からのクレーム** 

→ 協定内容を十分説明しておらず、派遣料金交渉でトラブルに発展。 

 

- **事例④:労働者代表の選任手続きの不備** 

→ 代表選出が形式的で、労働局に認められなかった。 

 

これらは、少しの確認不足から起きやすいものですが、 

是正指導になると、他の契約にも影響を及ぼすことがあります。

 

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### 8. 労使協定方式は“経営戦略”の一部

 

労使協定方式は、単なる法令遵守のための仕組みではありません。 

**「人材定着」「顧客信頼」「ブランド価値向上」**に直結する経営戦略の要です。

 

賃金水準を明確にし、合理的に説明できることは、 

派遣社員から見ても「安心して働ける会社」である証拠になります。 

 

また、派遣先企業にとっても、制度を理解し対応できている派遣会社は、 

「信頼できるパートナー」として長期契約につながりやすくなります。

 

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### 9. セミナーの概要と見どころ

 

そんな実務課題を踏まえ、 

ユニテックシステム株式会社主催のオンラインセミナーにて、 

私、社会保険労務士・泉文美が登壇いたします。

 

**テーマ**:2026年度の労使協定方式見直しポイントと実務対応 

🗓 日時:2025年10月15日(水)14:00~14:45(オンライン開催) 

💰 参加費:無料 

🔗 お申し込みはこちら: 

[セミナー詳細・申込ページ](https://www.cocripo.co.jp/webinar/94644a2f-3a26-424f-84ef-05086207015c/detail)

 

内容は、 

・厚労省ガイドラインの最新情報 

・協定書の再設計で見落としがちなポイント 

・派遣料金・コストのバランスの取り方 

・労働局対応の実務ヒント 

 

など、すぐに実務に活かせる形でお伝えします。

 

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### 10. まとめ:2026年に向け、今こそ「見直しの一歩」を

 

2026年度改定は、派遣会社にとって大きな転換点です。 

「まだ先の話」と思っているうちに、 

見直し作業や料金交渉の準備期間が足りなくなるケースも少なくありません。 

 

今のうちに協定内容を棚卸しし、 

最新のデータ・基準に沿って再設計することが、 

リスク回避と信頼向上の第一歩です。 

 

👩‍🏫セミナーでは、 

「明日から使える実務ヒント」を具体的にお伝えいたします。 

 

派遣業界の皆さま、ぜひこの機会に一緒に学びを深め、 

2026年度を安心して迎えましょう。

 

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#同一労働同一賃金 #派遣会社 #労使協定方式 #社会保険労務士 #人事労務 #ユニテックシステム #2026年度改定 #セミナー情報

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サービス案内

派遣会社向け社労士業務

サービス内容・料金について(4万円~)

こちらの「事務所案内」をご参照ください

オンライン講座「今さら聞けない派遣110番!」

サービス内容について

オンライン講座「今さら聞けない派遣110番!5分でわかる派遣実務講座」は派遣元・派遣先責任者講習の人気講師がこそっと教える、実践的な講座です。

派遣元責任者、派遣先責任者だけでなく派遣事業に関わる全ての方に受講をおすすめします! 毎週動画をアップしますので、好きな時に好きな講座の動画をご覧いただけます。

詳細はこちらをご参照ください

セミナー、研修、講演開催

料金について

セミナー、研修、講演 1時間10万円定額制

講演内容、業種、出席者数に関わらず、すべて定額の時間単価とさせて頂きます。業界きっての画期的な明朗会計です。 

「予め料金が分かっているので、安心して申し込めます」

 「料金交渉が不要で助かります」

 「時間単価は一定なので、研修時間数を調整すればいいから、予算との折り合いも簡単にできます」

 などなど、多くのお客様に喜ばれております。

セミナーについて

当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。

セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

講演について

当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

研修のご依頼例

  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
  • 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい

執筆のご依頼

雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。

掲載履歴

HP記事執筆

ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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