【2026年最新】派遣料金の適正化が進む!派遣会社が知っておくべき価格交渉の新指針と実務対応
2026.01.26
はじめに:派遣業界を取り巻く環境変化と価格交渉の重要性
2026年1月、人材派遣業界に大きな動きがありました。日本人材派遣協会が派遣先企業に対して「派遣料金の価格交渉に向けた協議」を正式に依頼する文書を発出したのです。
この背景には、内閣官房および公正取引委員会が連名で改正した「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」があり、厚生労働省からも周知依頼がなされました。
派遣会社の経営者や人事担当者にとって、派遣料金の適正化は長年の課題でした。しかし、派遣先企業との力関係や、「料金を上げたら契約を切られるのでは」という不安から、なかなか価格交渉に踏み切れなかったという声も多く聞かれます。
今回の指針改正は、そうした派遣会社の皆様に「正当な価格交渉を行うための法的後押し」を与えるものです。本記事では、派遣特化型社会保険労務士の視点から、今回の動きの意義と、派遣会社が取るべき実務対応について詳しく解説します。
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1. 政府指針改正の背景:「物価上昇を上回る賃金上昇」実現への取り組み
政府の賃金上昇政策と派遣業界の役割
日本政府は現在、「物価上昇を上回る賃金上昇」の実現を重要政策課題として掲げています。これは、長引くデフレからの脱却と、持続的な経済成長を目指すための取り組みです。
しかし、賃金上昇を実現するためには、企業が労働者に支払う賃金の原資を確保する必要があります。特に人材派遣業界においては、派遣料金が適正に設定されなければ、派遣労働者への賃金引き上げは困難です。
「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」改正の意義
2026年1月に改正された「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」は、まさにこの問題に対応するためのものです。
この指針では、以下のポイントが明確化されています:
- 労務費(人件費)の上昇を適切に価格に転嫁することの重要性
- 発注者(派遣先企業)と受注者(派遣会社)が対等な立場で価格交渉を行うこと
- 価格交渉を拒否したり、一方的に不利な条件を押し付けることは、独占禁止法上問題となる可能性があること
つまり、派遣会社が派遣料金の適正化を求めることは、法的に正当な行為であり、派遣先企業もそれに応じる責任があるということです。
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2. 日本人材派遣協会の取り組み:派遣先企業への協議依頼文書の意味
業界団体としての公式な後押し
日本人材派遣協会が会長・理事会一同名で発出した依頼文書は、個々の派遣会社が単独で交渉するのではなく、業界全体として派遣料金の適正化に取り組む姿勢を示すものです。
これにより、派遣会社は「うちだけが値上げを要求しているわけではない」という安心感を持って、派遣先企業と交渉に臨むことができます。
厚生労働省リーフレットの活用方法
依頼文書と併せて、厚生労働省が作成したリーフレット「派遣労働者の公正な待遇確保のため、派遣元・派遣先の連携・協力をお願いします」も活用できます。
このリーフレットには、派遣法および同指針を踏まえた、派遣先に求められる役割や考え方が整理されています。具体的には:
- 派遣労働者の待遇に関する情報提供義務
- 派遣料金と派遣労働者の賃金のバランス
- 派遣料金の適正化に向けた協議の重要性
これらの内容を、派遣先企業への説明資料として使うことで、客観的かつ説得力のある交渉が可能になります。
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3. 派遣料金適正化の必要性:派遣労働者と派遣会社の双方にとってのメリット
派遣労働者にとってのメリット
派遣料金が適正化されることで、まず恩恵を受けるのは派遣労働者です。
**賃金の向上**
派遣料金の増額分は、派遣労働者の賃金引き上げに充てられます。これにより、物価上昇に対応した実質的な生活水準の維持・向上が可能になります。
**待遇の改善**
賃金だけでなく、福利厚生の充実や、キャリアアップ支援の強化にも資金を投入できるようになります。
**雇用の安定**
派遣会社の経営基盤が安定することで、派遣労働者の雇用も安定します。
派遣会社にとってのメリット
派遣会社にとっても、派遣料金の適正化は重要な経営課題です。
**経営の健全化**
適正な利益を確保することで、企業としての持続可能性が高まります。
**人材確保力の強化**
高い賃金や充実した待遇を提供できることで、優秀な派遣スタッフを確保しやすくなります。
**サービス品質の向上**
教育研修や、派遣スタッフのフォロー体制に投資できるようになり、サービス品質が向上します。
派遣先企業にとってのメリット
実は、派遣料金の適正化は、派遣先企業にとってもメリットがあります。
**優秀な人材の安定供給**
派遣会社が優秀な人材を確保・育成できることで、派遣先企業は質の高い人材を安定的に受け入れられます。
**コンプライアンスの強化**
派遣労働者の待遇が適正に確保されることで、派遣法違反などのリスクが低減します。
**企業イメージの向上**
派遣労働者を大切にする企業として、社会的評価が高まります。
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4. 派遣料金の価格交渉:実務で押さえるべきポイント
交渉のタイミング
派遣料金の改定交渉は、以下のタイミングで行うのが効果的です:
- 派遣契約の更新時
- 年度の切り替え時(4月)
- 最低賃金改定後
- 派遣法や関連指針の改正後
今回の指針改正を受けて、2026年4月の契約更新に向けて交渉を開始するのが理想的です。
交渉に必要な資料の準備
交渉を成功させるためには、客観的なデータや資料の準備が不可欠です。
**必要な資料**
- 日本人材派遣協会の依頼文書
- 厚生労働省のリーフレット
- 最低賃金の推移データ
- 一般労働者の賃金水準(職業安定局長通達)
- 自社の派遣スタッフの賃金データ
- 同業他社の派遣料金相場(可能な範囲で)
交渉時の説明の仕方
派遣先企業に対しては、以下のような説明が効果的です:
**× 悪い例**
「経営が厳しいので、派遣料金を上げてください」
**○ 良い例**
「政府の指針改正により、労務費の適切な転嫁が求められています。派遣スタッフの待遇を維持・向上させ、優秀な人材を安定的に供給し続けるために、派遣料金の見直しについてご協議いただけますでしょうか」
重要なのは、「値上げ」ではなく「適正化」であること、そして派遣先企業にとってもメリットがあることを伝えることです。
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5. 同一労働同一賃金との関連:労使協定方式における賃金水準の確保
労使協定方式の基本
派遣法では、派遣労働者の待遇決定方式として「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2つが定められています。
多くの派遣会社が採用している「労使協定方式」では、一般労働者の賃金水準(職業安定局長通達)以上の賃金を支払うことが求められます。
2026年度の賃金水準上昇
2026年度(令和8年度)の一般労働者の賃金水準は、2025年度と比較して上昇しています。特に通勤手当は73円から79円へと6円の増加となっています。
派遣会社は、この賃金水準に合わせて派遣スタッフの賃金を引き上げる必要がありますが、そのためには派遣料金の適正化が不可欠です。
派遣料金と賃金のバランス
派遣料金が据え置かれたまま賃金だけを上げると、派遣会社の利益が圧迫され、経営が成り立たなくなります。
派遣先企業には、「派遣料金の一定割合が派遣労働者の賃金に充てられている」という仕組みを理解してもらい、賃金上昇に見合った派遣料金の改定に協力してもらうことが重要です。
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6. よくある質問:派遣料金交渉に関するQ&A
Q1. 派遣先企業から「他社はもっと安い」と言われたらどうすればいい?
A. 価格だけでなく、サービスの質や、派遣スタッフの定着率、スキルレベルなど、総合的な価値を説明しましょう。「安かろう悪かろう」では、結果的に派遣先企業にとってもマイナスです。
Q2. 交渉が難航したらどうすればいい?
A. 一度に大幅な値上げを求めるのではなく、段階的な改定を提案するのも一つの方法です。また、日本人材派遣協会や社会保険労務士などの専門家に相談することも有効です。
Q3. 契約書に「料金は改定しない」と書かれている場合は?
A. 契約書の条項であっても、労働法令や公正取引の観点から問題がある条項は無効となる可能性があります。専門家に相談の上、派遣先企業と協議することをお勧めします。
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7. 今後の展望:派遣業界の持続可能性に向けて
派遣労働者の待遇改善は社会的課題
派遣労働者の待遇改善は、単に派遣業界だけの問題ではなく、日本社会全体の課題です。
少子高齢化が進む中、働き方の多様性を確保し、誰もが安心して働ける環境を整えることは、国家の重要政策となっています。
派遣会社の社会的責任
派遣会社には、派遣労働者の雇用主として、適正な待遇を提供する責任があります。そのためには、適正な派遣料金を確保することが不可欠です。
「料金交渉は難しい」「派遣先の機嫌を損ねたくない」という消極的な姿勢ではなく、派遣労働者の未来を守るという使命感を持って、積極的に交渉に臨むことが求められます。
業界全体での取り組みが重要
今回の日本人材派遣協会の取り組みは、業界全体で派遣料金の適正化を進めようという意思表示です。
個々の派遣会社が孤立して交渉するのではなく、業界団体と連携し、必要に応じて行政の支援も受けながら、組織的に取り組むことが成功の鍵となります。
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まとめ:今こそ行動を起こす時
2026年1月の政府指針改正と、日本人材派遣協会の依頼文書発出は、派遣料金の適正化を進める絶好の機会です。
派遣会社の皆様には、以下のアクションをお勧めします:
✅ 日本人材派遣協会の依頼文書と厚生労働省のリーフレットを入手する
✅ 派遣先企業との価格交渉のスケジュールを立てる
✅ 交渉に必要な資料(賃金データ、相場情報など)を準備する
✅ 派遣先企業に対して、協議の申し入れを行う
✅ 必要に応じて、社会保険労務士などの専門家に相談する
派遣労働者の待遇改善と、派遣会社の経営基盤強化の両立は可能です。そして、それは派遣先企業にとってもメリットのある、Win-Win-Winの取り組みです。
今こそ、勇気を持って一歩を踏み出しましょう。派遣業界の未来は、私たち一人ひとりの行動にかかっています。
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【参考情報】
- 日本人材派遣協会「派遣労働者の公正な待遇確保のために ~派遣料金の価格交渉に向けた協議のお願い~」
https://www.jassa.or.jp/information/6241/
- 厚生労働省リーフレット「派遣労働者の公正な待遇確保のため、派遣元・派遣先の連携・協力をお願いします」
【この記事を書いた人】
派遣特化型社会保険労務士として、派遣会社の労務管理支援や、派遣法改正対応のコンサルティングを行っています。派遣労働者の待遇改善と、派遣会社の健全な経営の両立をサポートしています。
みなとみらい人事コンサルティング 代表社会保険労務士 泉 文美
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講演について
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講演実績
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【参加者様からのお声】
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- 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
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- マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。
一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」
【参加者様からのお声】
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- 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
- メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
- 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
- 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
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「介護雇用管理研修」業務委託登録講師 - 株式会社フィールドプランニング 様 主催
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株式会社根布工業様 主催
安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ
研修について
当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。
研修のご依頼例
- 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
- 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
- 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい
執筆のご依頼
雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。
掲載履歴
HP記事執筆
ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。
「近代中小企業」2月号
「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。
「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」
「SR」 9月号
ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。
ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。
(第27号 2012年8月6日発売)


