同一労働同一賃金とAI化で派遣会社はどう変わる?倒産増加の構造を解説
2026.01.19
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はじめに|「制度対応」と「技術変化」に挟まれる派遣会社
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ここ数年、派遣会社を取り巻く環境は、これまでになく大きく変化しています。
一方には「同一労働同一賃金」をはじめとする制度面の変化。
もう一方には、AIや自動化といった技術革新。
その狭間で、派遣会社の倒産が過去最多ペースで増えているという現実があります。
派遣会社の経営者や管理職の方からは、
「制度対応だけでも大変なのに、AIの話まで出てきて正直厳しい」
「人手不足なのに、なぜ経営は楽にならないのか」
といった声をよく耳にします。
本記事では、派遣会社倒産が増えている背景を、
・同一労働同一賃金という制度の影響
・AI・自動化が派遣業務に与える変化
という2つの軸から整理し、派遣会社が今後どう変わるべきかを、社会保険労務士の視点で解説します。
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派遣会社倒産の増加は「業界縮小」ではない
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まず押さえておきたいのは、派遣会社の倒産が増えているからといって、派遣業界そのものが急激に縮小しているわけではない、という点です。
確かに、2025年に入り派遣会社の倒産件数は過去最多水準となっています。
しかし、その主な理由は、
・派遣需要の消失
・派遣制度の否定
ではありません。
背景にあるのは、
「限られた市場での競争が、制度と技術の変化によって一気に厳しくなった」
という構造的な問題です。
つまり、派遣会社は今、
「生き残るための条件」が大きく書き換えられている局面にあるのです。
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同一労働同一賃金が派遣会社にもたらした現実
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同一労働同一賃金は、本来、正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくすための制度です。
派遣社員についても例外ではなく、派遣先の通常の労働者と均等・均衡待遇を確保することが求められています。
この制度によって起きた変化は、主に次の3点です。
1つ目は、派遣社員の賃金水準が制度的に底上げされたこと。
厚生労働省が職種別の賃金水準を示すようになり、「極端に低い時給設定」は事実上難しくなりました。
2つ目は、派遣会社の裁量が小さくなったこと。
かつてのように「価格競争で案件を取る」という戦略が取りにくくなっています。
3つ目は、コスト構造がより見えにくくなったことです。
派遣料金の中には、賃金だけでなく、社会保険料、有給休暇の原資、教育費、管理コストなどが含まれていますが、派遣先からは「なぜこの金額なのか」と厳しく問われる場面が増えました。
制度としては正しい方向ですが、派遣会社にとっては経営の難易度が一段階上がったと言えるでしょう。
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コストは増えるが、価格転嫁は簡単ではない
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同一労働同一賃金への対応によって、
・派遣社員の時給アップ
・福利厚生の整備
が進んだ一方で、そのコストを派遣先企業にすべて転嫁できている派遣会社は多くありません。
特に中小派遣会社では、
「これ以上派遣料金を上げたら契約が切られる」
という不安から、利益を削って対応しているケースも見られます。
その結果、
・マージン率はあっても営業利益はほぼ残らない
・少しのトラブルで資金繰りが悪化する
といった、非常に不安定な経営状態に陥りやすくなっています。
倒産理由として「制度対応ができなかった」というよりも、
「制度対応をした結果、採算が合わなくなった」
というケースが増えているのが実情です。
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無期雇用派遣と固定費の増大
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2015年の労働者派遣法改正以降、無期雇用派遣は年々増加しています。
派遣社員にとっては雇用の安定につながる重要な制度ですが、派遣会社側にとっては固定費の増加を意味します。
仕事がある月も、ない月も、
・賃金
・社会保険料
を支払い続けなければなりません。
さらに、
・研修・教育コスト
・キャリア形成支援
といった「派遣会社の役割」も重くなっています。
制度が進化するほど、派遣会社には「人を雇う会社」としての責任が強く求められるようになっているのです。
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派遣業界に迫るAI・自動化という構造変化
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制度面と並んで、派遣業界に大きな影響を与えているのが、AIや自動化の進展です。
とくに影響が大きいのは、
・コールセンター
・一般事務
・定型的な入力業務
といった、これまで派遣社員が多く活躍してきた分野です。
チャットボットやRPAの導入により、
「人を派遣しなくても業務が回る」
ケースが確実に増えています。
これは一時的な景気変動ではなく、不可逆的な変化です。
今後、AIがさらに進化すれば、派遣が必要とされる業務そのものが減少する可能性もあります。
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スキマバイトより深刻な「仕事の消失」
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派遣業界では、スキマバイトやスポットワークが話題になることも多いですが、実務的には完全な競合とは言えません。
それよりも深刻なのは、
「派遣で担ってきた仕事が、AIによって消えていく」
という現象です。
これは、
・派遣社員の確保が難しい
という問題とは別次元の話です。
人が足りなくても、
「そもそも人を使わなくなる」
という選択肢が企業側に生まれている点が、これまでとの大きな違いです。
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派遣会社は「人を出す会社」からどう変わるか
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同一労働同一賃金とAI化が同時に進む中で、派遣会社に求められる役割は確実に変わっています。
これからは、
・誰でもできる仕事に人を出す
モデルは成り立ちにくくなります。
重要になるのは、
・専門性のある職種への特化
・教育・育成を前提とした派遣
・派遣先の業務改善まで含めた提案
といった付加価値です。
単なる「人材供給業」から、「人材活用のパートナー」へ。
この転換ができるかどうかが、派遣会社の将来を左右します。
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社労士の視点|制度と技術を前提にした経営へ
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派遣会社の倒産増加は、制度が厳しすぎるからでも、AIが悪いからでもありません。
制度も技術も、社会全体にとっては必要な進化です。
問題は、
「変化を前提に経営モデルを見直せているか」
という点にあります。
労務管理、賃金設計、人材育成。
これらを場当たり的に対応するのではなく、長期的な戦略として組み立てていくことが、これからの派遣会社には不可欠です。
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おわりに|倒産増加は派遣業界の転換点
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同一労働同一賃金とAI化。
この2つは、派遣会社にとって避けて通れない現実です。
派遣会社の倒産が増えているのは、業界の終わりではありません。
むしろ、「派遣会社の役割が再定義される転換点」に私たちは立っています。
変化を恐れず、自社の強みを磨き直すこと。
それができる派遣会社こそが、次の時代に選ばれていくのではないでしょうか。
社会保険労務士として、派遣会社がこの変化を前向きに乗り越えていくための支援を、これからも続けていきたいと考えています。
【参照記事リンク】
https://news.yahoo.co.jp/articles/d3700f0c0e2190858c01b280be7608eafa0dd458?page=1
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セミナー開催実績例
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「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」 - 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
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講演実績
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市川港開発協議会様 主催 研修
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今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」
【参加者様からのお声】
- 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
- 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
- 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
- マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。
一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」
【参加者様からのお声】
- メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
- 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
- メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
- 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
- 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
- 株式会社LEC 様 主催
「介護雇用管理研修」業務委託登録講師 - 株式会社フィールドプランニング 様 主催
「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」業務委託主任講師 - 神奈川韓国商工会議所様 主催
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安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ
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研修のご依頼例
- 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
- 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
- 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい
執筆のご依頼
雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。
掲載履歴
HP記事執筆
ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。
「近代中小企業」2月号
「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。
「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」
「SR」 9月号
ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。
ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。
(第27号 2012年8月6日発売)


