派遣社員の有給休暇管理は派遣元?よくある誤解と正しい運用ポイント
2026.01.16
派遣社員として働いている方、または派遣社員を受け入れている企業の担当者から、次のような質問を受けることがよくあります。
「有給休暇は誰に申請すればいいの?」
「派遣先の上司に言えば取得できるの?」
「派遣だから有給休暇はないのでは?」
派遣という働き方は、雇用主と実際の勤務先が異なるため、有給休暇の管理について誤解が生じやすいのが実情です。実務の現場では、派遣元・派遣先・派遣社員の三者で認識がズレてしまい、不要なトラブルにつながるケースも少なくありません。
本記事では、社会保険労務士の視点から「派遣社員の有給休暇は誰が管理するのか」という基本を整理しつつ、よくある誤解と正しい運用ポイントをわかりやすく解説します。
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■ 結論:派遣社員の有給休暇を管理するのは「派遣元」
結論からお伝えすると、派遣社員の有給休暇を管理するのは派遣先企業ではなく、派遣元(派遣会社)です。
派遣社員は派遣先の職場で日々業務を行いますが、法律上の雇用主は派遣元になります。労働契約を結んでいる相手が派遣元である以上、有給休暇に関する管理責任も派遣元にある、というのが基本的な考え方です。
具体的には、次のような業務はすべて派遣元が担います。
・有給休暇の付与日数の管理
・取得状況の把握
・残日数の計算
・時効管理(2年)
・年5日の取得義務への対応
派遣先は、日々の業務指示や勤怠状況の確認を行う立場ではありますが、有給休暇の付与や管理の主体ではありません。
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■ なぜ派遣元が有給休暇を管理するのか
この点を理解するためには、労働基準法における「使用者」という考え方を押さえる必要があります。
労働基準法では、有給休暇は「使用者」が労働者に対して付与し、管理するものとされています。ここでいう使用者とは、賃金を支払い、労働契約を締結している相手、つまり雇用主のことです。
派遣社員の場合、労働契約を結んでいるのは派遣会社です。たとえ実際の勤務場所が派遣先であっても、法律上の使用者は派遣元になります。そのため、次のような判断は派遣元が法律に基づいて行う必要があります。
・有給休暇が発生する要件を満たしているか
・付与日数は何日か
・取得可能な残日数はいくつか
派遣先が独自に「うちは忙しいから有給は不可」と判断したり、「短期だから有給は出ない」と決めたりすることはできません。
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■ よくある誤解① 派遣先の了承がないと有給は取れない?
現場で特に多いのが、「派遣先の了承がないと有給休暇は取れない」という誤解です。
確かに、実務上は業務に支障が出ないよう、派遣先と日程調整を行うことが一般的です。しかし、これはあくまで業務上の調整であり、有給休暇を取得する権利そのものを派遣先が握っているわけではありません。
正しい流れとしては、
1.派遣社員が派遣先と休暇日程の相談・調整を行う
2.派遣元に対して有給休暇の申請を行う
という形になります。派遣先との調整は大切ですが、「派遣先が許可しなければ取得できない」という理解は誤りです。
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■ よくある誤解② 派遣先の就業規則が優先される?
「派遣先の就業規則では有給が取りにくいから、従わなければならない」という声もよく聞かれます。
しかし、有給休暇に関して適用されるのは、派遣元の就業規則や労働条件です。派遣先の就業規則は、派遣社員の労働条件を直接決めるものではありません。
派遣先の社内ルールが厳しかったとしても、それを理由に派遣社員の有給休暇取得を制限することはできません。この点を派遣先企業が正しく理解していないと、知らず知らずのうちに法令違反につながるリスクもあります。
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■ よくある誤解③ 派遣だから有給休暇はない?
「派遣社員には有給休暇がない」と思い込んでいる方も、いまだに少なくありません。
結論から言えば、派遣社員であっても、一定の要件を満たせば正社員と同様に有給休暇は発生します。
具体的には、
・雇い入れの日から6か月継続勤務していること
・全労働日の8割以上出勤していること
この2つの要件を満たせば、有給休暇は当然に付与されます。雇用形態が派遣であることを理由に、有給休暇が認められないことはありません。
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■ 派遣元・派遣先・派遣社員それぞれの注意点
派遣社員の有給休暇をめぐるトラブルは、三者の役割認識のズレから生じることがほとんどです。
【派遣元が注意すべきポイント】
・有給休暇の付与日、残日数を明確に管理する
・派遣社員に対して制度を丁寧に説明する
・年5日の取得義務を確実に履行する
【派遣先が注意すべきポイント】
・有給休暇は法律上の権利であると理解する
・人手不足を理由に取得を妨げない
・業務調整に協力する姿勢を持つ
【派遣社員が意識したいポイント】
・申請先は派遣元であることを理解する
・早めに日程調整を行い、派遣元に相談する
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■ 年5日の有給休暇取得義務も派遣元の責任
2019年から導入された「年5日の有給休暇取得義務」についても、派遣社員は例外ではありません。
この義務を管理するのも派遣元です。派遣先任せにしていると、知らないうちに未取得となり、派遣元が法令違反を問われるリスクがあります。
派遣元としては、派遣先との連携を取りながら、計画的な取得を促す体制づくりが重要になります。
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■ 社会保険労務士ができるサポート
派遣社員の有給休暇管理は、労働基準法だけでなく、労働者派遣法や関連ガイドラインも関係するため、実務判断が難しい分野です。
社会保険労務士は、
・有給休暇管理の仕組みづくり
・帳簿や管理方法の整備
・派遣先との役割分担の整理
・派遣社員からの相談対応
といった形で、派遣元・派遣先双方をサポートすることができます。
派遣社員の有給休暇をめぐるトラブルは、「知らなかった」「思い込みだった」というケースが大半です。正しい知識を持ち、早めに専門家へ相談することで、無用なリスクを防ぐことができます。
派遣という働き方が当たり前になった今だからこそ、有給休暇の正しい管理と運用を、改めて見直してみてはいかがでしょうか。
当事務所へのご相談は初回無料です。ホームページお問合せよりご連絡ください。
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セミナー開催実績例
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- 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
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「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」 - 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
講演について
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講演実績
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【参加者様からのお声】
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- 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
- 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
- マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。
一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」
【参加者様からのお声】
- メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
- 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
- メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
- 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
- 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
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株式会社根布工業様 主催
安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ
研修について
当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。
研修のご依頼例
- 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
- 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
- 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい
執筆のご依頼
雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。
掲載履歴
HP記事執筆
ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。
「近代中小企業」2月号
「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。
「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」
「SR」 9月号
ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。
ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。
(第27号 2012年8月6日発売)


