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【2024年10月施行】社会保険適用拡大で51人以上の企業に何が変わる?   2026.01.09

2024年10月から、社会保険の適用範囲がさらに拡大されました。 

これまで対象外だったパート・アルバイトなどの短時間労働者についても、一定の条件を満たせば社会保険への加入が義務となります。

 

「うちは正社員が少ないから関係ない」 

「パート中心の会社だから対象外だと思っていた」

 

こうした声を、派遣会社や中小企業の経営者・人事担当者の方から多く耳にします。しかし今回の改正では、“企業規模の考え方”や“加入判断の基準”を正しく理解していないと、知らないうちに未加入状態になってしまうリスクもあります。

 

本記事では社会保険労務士の立場から、 

・社会保険適用拡大の概要 

・「従業員数51人以上」の正しい判断方法 

・新たに対象となる短時間労働者の要件 

・企業が実務で準備すべきポイント 

をできるだけわかりやすく解説します。

 

 

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■ 社会保険の適用拡大とは?

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社会保険とは、主に「健康保険」と「厚生年金保険」を指します。 

これまで社会保険は、原則としてフルタイムで働く正社員が対象というイメージを持たれがちでした。

 

しかし近年は、働き方の多様化により、パート・アルバイト・派遣社員など短時間で働く方が増えています。 

こうした背景を踏まえ、短時間労働者にも被用者としてふさわしい保障を行うため、社会保険の適用範囲は段階的に拡大されてきました。

 

その最終段階とも言えるのが、2024年10月から始まった「従業員数51人以上の企業」への適用拡大です。

 

 

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■ 何が変わった?2024年10月の改正ポイント

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今回の改正で最も重要なポイントは次の2点です。

 

① 対象企業の範囲が拡大 

② 短時間労働者の社会保険加入が義務化

 

これまで社会保険の適用拡大は、 

・2016年:501人以上 

・2022年:101人以上 

と段階的に進められてきました。

 

そして2024年10月からは、 

「従業員数51人以上」の企業まで対象が広がりました。

 

これにより、これまで対象外だった中小企業や派遣会社でも、社会保険への対応が必須となっています。

 

 

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■ 「従業員数51人以上」の正しい考え方

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ここで注意が必要なのが、「従業員数」の数え方です。

 

一般的に言う従業員数=在籍している人数 

と考えがちですが、社会保険の適用判断では少し異なります。

 

社会保険でいう従業員数とは、 

「厚生年金保険の被保険者数」を基準に判断します。

 

具体的には、次の人数を合計します。

 

・フルタイムで働く従業員 

・週の所定労働時間および月の所定労働日数が、フルタイムの4分の3以上の従業員

 

雇用形態(正社員・契約社員・パート・派遣など)は問いません。 

条件を満たせばすべてカウント対象です。

 

また、月ごとに人数をカウントし、 

「直近12か月のうち6か月以上で50人を超えている場合」 

に、特定適用事業所に該当します。

 

法人の場合は、同一法人番号の全事業所を合算する点にも注意が必要です。

 

 

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■ 特定適用事業所になると何が起こる?

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特定適用事業所に該当すると、短時間労働者についても社会保険の加入義務が生じます。

 

日本年金機構から 

「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」 

が届くケースもありますが、通知が来る前であっても、要件を満たしていれば対象となります。

 

「知らなかった」「通知が来ていない」は理由にならないため、早めの確認が重要です。

 

 

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■ 新たに社会保険の対象となる短時間労働者の要件

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短時間労働者が社会保険に加入するためには、次のすべてを満たす必要があります。

 

① 週の所定労働時間が20時間以上 

※残業は含みませんが、実労働時間が継続的に20時間以上になる場合は要注意です。

 

② 所定内賃金が月額8万8千円以上 

※年収106万円以上が目安 

※通勤手当、残業代、賞与などは含みません。

 

③ 雇用期間が2か月を超える見込みがある 

※短期契約でも更新予定があれば対象になる場合があります。

 

④ 学生ではない 

※夜間学生・休学中は対象となります。

 

派遣会社の場合、派遣スタッフについてもこの基準で判断するため、契約内容と就業実態の両方を確認する必要があります。

 

 

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■ 企業側の負担はどう変わる?

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社会保険に加入すると、保険料は労使折半となります。 

そのため、企業側の社会保険料負担は確実に増加します。

 

一方で、 

・人材の定着 

・採用力の向上 

・従業員の安心感の向上 

といったプラスの側面もあります。

 

また、厚生労働省の「社会保険料かんたんシミュレーター」を使えば、負担額の目安を事前に把握することができます。

 

 

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■ 適用拡大に向けて企業が行うべき実務対応

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実務対応は、次の流れで進めるのが一般的です。

 

1. 加入対象者の洗い出し 

2. 社会保険料負担の試算 

3. 社内方針の検討 

4. 従業員への周知・説明 

5. 被保険者資格取得届の提出(電子申請可)

 

特に重要なのは、従業員への説明です。 

「手取りが減るのでは?」という不安に対して、将来の年金や手当金のメリットを丁寧に伝えることで、理解を得やすくなります。

 

 

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■ 社会保険適用拡大は“負担”だけではない

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社会保険の適用拡大は、企業にとって負担増という側面だけが注目されがちです。 

しかし実際には、働き方を見直し、人材戦略を再構築するチャンスでもあります。

 

労働時間の設計、正社員転換、助成金の活用など、制度を正しく理解すれば選択肢は広がります。

 

 

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■ 社労士としてのまとめ

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2024年10月からの社会保険適用拡大は、 

「知らなかった」では済まされない重要な制度改正です。

 

特に 

・従業員数のカウント方法 

・短時間労働者の要件 

は、実務で判断を誤りやすいポイントです。

 

不安を感じた時点で一度立ち止まり、専門家の視点で整理することが、結果的に企業と従業員双方を守ることにつながります。

 

制度対応をきっかけに、より安定した職場づくりを進めていきましょう。

 

もしご相談が必要であればホームページのお問合せよりお気軽にご連絡ください。

初回のご相談は無料です。

 

【参照リンク】

政府広報オンライン

https://www.gov-online.go.jp/article/202209/entry-10068.html

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  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

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講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先・職業紹介責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

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ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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