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人生100年時代のシニアの勤労意欲はいかに?その活用ポイントは?   2024.01.28

 

「人生100年時代」「老後2000万円問題」などの言葉が一般化し、ここ数年「定年退職して老後を余暇三昧で過ごす」といった意識は、世の中から消滅しつつある感があります。

企業の側からしても、労働力不足の中、人材としてシニア層にも目が向けられるようになってきています。それを後押しするように国の補助金も手厚くなっています。


そのシニア層の「働くこと」への意識やモチベーションについて、興味深いデータが発表されたのでご紹介します。



◾️シニアは「働く意欲」が増加傾向


パーソルホールディングス株式会社は、昨年「はたらく定点調査」を実施しました。これは

15歳から69歳の男女100,000人に行ったものです。その中で「各年代の仕事満足度」について、興味深い結果がありました。


「仕事の内容に興味が持てるか」

「仕事の裁量(自分に任されている範囲)が適切であるか」

「忙しさが適切であるか」

「経験・能力が活かせる仕事があるか」

「自分のキャリア・方向性と合った仕事ができるか」


の5項目において、「満足」と答えた人の割合は20代から40代にかけて下降線を辿るのですが、それ以降は50代・60代と上がっているのです。しかも、60代ではほとんどの項目で半数〜6割の人が「満足」している結果となりました。


特に「経験・能力が活かせる仕事があるか」については、60代で「満足」と答えた人は20代の54.9%を上回る56.5%でした。


30〜40代といえば、家族の生活を支える上で収入を確保するため働くという側面が大きい時期でもあり、なおかつ自分のキャリアや将来・職場環境について悩み、ストレスも多い年代でもあります。


それに比べて60代ともなると、子育ても後半になり、経済的な責任や負担も減り、自分のキャリアや生活に折り合いがついてくる人は多いようです。そういった意味でストレスが軽くなり、働くことそのものに対してのやりがいや意欲が回復してくるのかもしれません。



◾️働き続けたい源泉は、「やりがい」「環境」


一方、リクルートマネジメントソリューションズは「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」を実施し、今月その中で「70代以降に働くことについての分析」をリリースしています。対象は、一般社員・係長・主任クラスの正社員3708名です。


それによると、「70代以降も働きたい人」は全体の14.2%でした。

ただ、年代別にはかなりその割合には差があります。40〜44歳では12.8%、50〜54歳では19.7%、60〜64歳では25.5%、65〜69歳では59.7%が、「70代以降も働きたい」と答えていました。ここでも年齢が上がるにつれ、働き続けたい意識が高まっていく傾向がみられます。


リリースでは、さらに各年代ごとに「70歳以降も働き続けたい」と考える人の理由についても分析しています。


それによると、特に現実的に70代以降の働き方について考える50代後半については、以下のような要素が「70歳以降も働きたい」と考える要因ではないかと考察しています。


・具体的に今後の自分のイメージがつきやすい「能力やスキルを身につけるための制度・仕組みが整っている」環境

「組織での貢献の実感」といったやりがい

「理念・ビジョンへの共感」つまり価値観があっている職場




◾️高齢者雇用に関する助成金は「今現在」手厚い


2021年4月に施行された改正高齢者雇用安定法では、70歳までの雇用確保が努力義務となりました。その環境整備のための助成金は充実しているといって良いでしょう。


現在、高齢者の雇用に関する主な助成金・給付金は以下の通りです。


・65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)

・65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)

・65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)

・高年齢労働者処遇改善促進助成金


ただ、今後社会全体の高齢化が進み、高齢者も働ける環境整備が進むにつれ、今後こういった助成金・給付金が減額・廃止されていくことは考えられます。


現に、60歳から65歳の労働者に適用される「高年齢労働者処遇改善促進助成金」の縮小は、2025年4月から始まります。2025年に65歳に到達する人から順次給付率を半減させ、段階的に廃止へと進むことが決まっています。


意欲的な人材を流出させない、補充できる組織になるために、今から対策に取り組むことがよりメリットは大きいと言えるでしょう。




みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、高齢者の雇用・活用やその助成金取得についても、アドバイスが可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



ご参考:

■パーソルHD:全国の就業者10万人を対象とした「はたらく定点調査」に見る年代別の就労意識【仕事満足度編】(2024年1月)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000854.000016451.html


■リクルートマネジメントソリューションズ:

「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」(2023年12月)

https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000423/


■厚生労働省:65歳超雇用推進助成金のご案内(令和5年度)

https://www.mhlw.go.jp/content/001075313.pdf


■厚生労働省:「高年齢労働者処遇改善促進助成金」をご活用ください(令和5年度)

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001082077.pdf




(文責:コラム担当/金田千和)


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セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

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当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

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  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
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「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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