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令和8年度の労使協定方式|派遣会社が知っておくべき賃金水準と実務対応   2025.08.27

## 1. 導入:令和8年度に向けた重要な制度変更

 

令和7年8月25日、厚生労働省から「令和8年度に適用される同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」が公表されました。 

さらに、「労使協定方式における独自統計の協議」についても発表されています。 

 

これは、派遣会社にとっては見逃せない重要な情報です。なぜなら、派遣労働者の待遇決定に直結する「労使協定方式」において、この賃金水準が基準となるからです。 

 

この記事では、社会保険労務士の立場から、令和8年度の最新情報をもとに派遣会社が実務で注意すべきポイントを整理し、対応の方向性を提案します。 

 

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## 2. 労働者派遣法における2つの待遇決定方式とは

 

労働者派遣法では、派遣労働者の待遇決定において以下のいずれかを必ず採用することが求められています。 

 

① **派遣先均等・均衡方式** 

派遣先の通常の労働者と均等・均衡な待遇を確保する方式です。 

たとえば、派遣先企業の正社員と同様の基本給や手当、福利厚生を基準とする形です。 

 

② **労使協定方式** 

派遣元である派遣会社と、過半数労働組合または労働者代表との間で労使協定を締結し、その協定に基づき待遇を決める方式です。 

ただし、この場合には「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」と同等以上であることが条件となります。 

 

つまり、労使協定方式を採用する場合には、厚労省が公表する賃金水準を下回る設定は認められません。 

 

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## 3. 労使協定方式の基本ルール

 

労使協定方式の大きな特徴は「全国一律の賃金水準」を基準とすることです。 

 

例えば「事務職」や「販売職」など職種ごとに設定される平均的な賃金水準があり、それと同等以上の給与水準を確保する必要があります。 

派遣会社が自由に数字を決められるわけではなく、公表された水準を最低ラインとして、労使協定を結ぶことが条件です。 

 

また、協定には以下の内容を盛り込む必要があります。 

- 対象となる派遣労働者の範囲 

- 賃金水準の根拠(公表数値) 

- 賞与や退職金をどう扱うか 

- 教育訓練の方針 

 

単なる給与額の取り決めにとどまらず、派遣労働者の処遇全般に関わる包括的な協定となります。 

 

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## 4. 厚労省が公表した令和8年度の賃金水準

 

今回発表されたのは「令和8年度に適用される一般労働者の賃金水準」です。 

これは、毎年更新されるもので、最新の統計をもとに局長通達という形で公表されます。 

 

この数値は職種ごとに細かく設定されています。例えば、事務系、技術系、販売系などに分かれ、それぞれの平均賃金が示されています。 

 

派遣会社が労使協定方式を採用する場合には、この賃金水準を必ず参照し、給与設計に反映させる必要があります。 

もしもこの水準を下回る設定をしてしまうと、法令違反となり行政指導や改善命令の対象になるリスクがあります。 

 

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## 5. 公表された独自統計の協議とは?

 

「独自統計の協議」というのは、労使協定方式において例外的に厚労省の統計以外のデータを基準とするケースを指します。 

 

例えば、業界団体が独自に行った調査や、特定の職種に特化した統計が存在する場合、労使協定でその数値を採用できるかどうかを厚労省と協議することになります。 

 

令和8年度に向けても、この「独自統計」が使えるかどうかの指針が示されており、業界ごとに検討が進められています。 

派遣会社としては、自社の派遣労働者が従事する職種に応じて、厚労省公表数値と独自統計のどちらを採用するか判断が求められます。 

 

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## 6. 労使協定方式を選ぶメリットとデメリット

 

労使協定方式には、次のようなメリットとデメリットがあります。 

 

**メリット** 

- 全国一律の基準があるため、数値が明確で分かりやすい 

- 派遣先の給与水準をすべて調べる必要がなく、実務がシンプル 

- 派遣先企業との交渉負担が軽減される 

 

**デメリット** 

- 公表された水準が予想以上に高い場合、利益率が圧迫される 

- 協定対象の範囲設定を誤ると、後で是正が必要になる 

- 派遣労働者の期待とのギャップが生じる可能性 

 

つまり「実務の分かりやすさ」と「コスト増加リスク」が表裏一体であると言えます。 

 

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## 7. 派遣先均等・均衡方式と比較した実務上の違い

 

一方、派遣先均等・均衡方式を選ぶとどうなるでしょうか。 

 

こちらは派遣先の正社員や契約社員の待遇を調べ、それと均等・均衡な条件を整える必要があります。 

 

**派遣先均等・均衡方式の特徴** 

- 派遣先の給与規程や手当制度を細かく確認する必要がある 

- 派遣先の協力が不可欠で、情報開示を求める場面が多い 

- 派遣先ごとに条件が変わるため、実務負担は大きくなる 

 

ただし、派遣先が積極的に情報提供してくれる場合には「自社に合わせた柔軟な設定」ができるというメリットがあります。 

 

つまり、派遣先との関係性や規模感によってどちらの方式を選ぶべきかが変わるということです。 

 

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## 8. 派遣会社が実務で注意すべきポイント

 

令和8年度に向け、派遣会社が注意すべきポイントは以下の通りです。 

 

1. 公表された賃金水準を確認し、現行の給与水準との差を把握する 

2. 労使協定方式を選ぶか、均等・均衡方式を選ぶかを再検討する 

3. 労働者代表の選任や協定締結の手続きを適正に進める 

4. 賃金だけでなく教育訓練や福利厚生の扱いについても整理する 

5. 派遣先との関係性を考慮し、必要に応じて交渉を行う 

 

特に、給与水準の改定によりコストが増える場合は「派遣料金の見直し」を派遣先に提案する必要があります。 

 

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## 9. 社会保険労務士が提案する最適な選び方

 

社会保険労務士として感じるのは「方式選択に絶対の正解はない」ということです。 

 

- 大手派遣会社で派遣先が多岐にわたる場合は、労使協定方式で統一する方が管理しやすいケースが多いです。 

- 一方、派遣先が少数かつ密接な関係を築いている場合は、均等・均衡方式を選んだ方がコスト面で有利になる場合もあります。 

 

重要なのは、 

「会社の利益を守りつつ、派遣社員が納得できる待遇を整えること」 

そして、そのために **派遣先との関係構築を怠らないこと** です。 

 

当事務所では、各社の状況に合わせてシミュレーションを行い、最適な方式を選ぶお手伝いをしています。 

 

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## 10. まとめ:令和8年度を見据えた準備と次のアクション

 

令和8年度に適用される新しい賃金水準が公表されたことで、派遣会社は早めの準備が求められます。 

 

- 公表された数値を確認し、自社の給与水準と照らし合わせる 

- 労使協定方式か均等・均衡方式かを改めて検討する 

- 必要に応じて労使協定の更新や派遣先との交渉を進める 

 

派遣労働市場は制度変更に大きく左右されるため、「出遅れないこと」が最大のリスク管理になります。 

 

📌 令和8年度に向けた待遇設計に不安を感じる方へ 

当事務所では、1時間の無料相談を承っています。数字の解説から実務への落とし込みまで、現場に即したアドバイスをご提供いたします。 

 

安心して派遣社員に働いてもらうことが、結果的に派遣会社の信頼と利益を守ることにつながります。 

ぜひ早めに動き出しましょう。 

 

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。

 

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🔗 参考リンク 

令和8年度適用「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077386_00001.html 

 

「労使協定方式における独自統計の協議」 

https://www.mhlw.go.jp/content/001547255.pdf 

2026年度「労使協定方式」の一般賃金水準が公表予定|派遣会社が押さえるべきポイント   2025.08.20

📌 派遣会社の皆さまへ 

厚生労働省より、2026年度の「労使協定方式」における一般賃金水準が労政審で説明されました。 

正式な通達は8月中に出される予定です。(参考:[アドバンスニュース](https://www.advance-news.co.jp/news/2025/08/post-4910.html

 

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### 改定ポイントまとめ

- 基準データ:2024年度「ハローワーク統計」「賃金構造基本統計」 

- 通勤手当:時給換算で73円 → 79円に(+6円) 

- 学歴計初任給調整率:12.5%(前年より0.1P減) 

- 退職金割合:5%(変更なし) 

- 賞与指数:0.02(変更なし) 

- 全体水準:昨年度より上昇(ハローワーク統計+41円、賃構統計+122円) 

 

👉 つまり「労使協定方式」を選択している派遣会社は、この新基準以上の水準で労使協定を結ぶ必要があります。

 

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### 単純な人件費増加にとどまらない改定

一見すると「水準が上がった=人件費増加」と考えがちですが、実際には以下のような点に注意が必要です。 

- 職種ごとの変動があり、上がる職種もあれば下がる職種もある 

- 賃金以外の手当・賞与との整合性を取る必要がある 

- 同一労働同一賃金の観点で、派遣先との待遇差を説明する責任がある 

 

このため、改定は「数字の更新」にとどまらず、派遣先や派遣労働者との関係性にも直結します。

 

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### 社会保険労務士の視点

派遣会社の皆さまからは、 

「労使協定方式を選んだが、毎年の改定対応が大変」という声をよく伺います。 

 

確かに基準額の変動は避けられませんが、事前にシミュレーションしておくことで慌てずに対応できます。 

特に賞与や退職金の取り扱いは説明が難しいため、 **文書整備** や **社員への説明準備** が重要です。

 

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### まとめと対応のすすめ

2026年度の水準は全体的に上昇傾向にあります。 

派遣元としては「基準に追随する」だけでなく、派遣先企業・派遣労働者の双方に納得してもらえる制度設計が鍵になります。 

 

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### ご相談のご案内

「具体的にどう対応すべきか不安」という方は、早めにご相談いただくのがおすすめです。 

**初回1時間の無料打ち合わせ** を承っておりますので、お気軽にご連絡ください。 

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。

 

今年度のうちに労使協定を準備しておけば、2026年度のスタートを安心して迎えられます。

外国人派遣スタッフの在留資格「技人国」― 入管庁が実態調査を本格化。派遣会社に求められる対応とは?   2025.08.18

一定の専門知識を持つ外国人が働くための在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)。  ITや翻訳、設計などの分野で多く活用され、派遣会社にとってもニーズの高い資格です。  


しかし近年、この「技人国」を巡るトラブルが増加しており、出入国在留管理庁が実態調査を本格化することになりました。  

主な問題としては――  ・派遣先で本来認められていない「単純作業」に従事している  ・資格外活動、賃金未払いなど労務トラブルが発生している  

特に注意すべきは、2024年末時点で「技人国」で働く外国人は約41万人、そのうち約1割が派遣会社経由だという点です。今後は規制や調査が強化される流れにあるため、派遣会社にとって対応が急務になります。  

◆社会保険労務士の視点から

外国人派遣スタッフを受け入れる際には、次の点に注意が必要です。 

- 派遣先の業務内容が在留資格と合致しているか?  

- 労働条件通知書や契約書に不備はないか?

- 勤務時間、残業、賃金支払いなどの労務管理が適正に行われているか?  

トラブル発生後の対応は難しく、入管庁からの調査や是正指導が入れば会社の信用にも大きな影響を及ぼします。だからこそ、事前のチェック体制づくりが何より大切です。  

外国人材の活用は派遣会社にとって大きなビジネスチャンスである一方、法令違反やトラブルのリスクを抱えています。今後の制度改正の動向を注視しつつ、安心して外国人材を受け入れられる仕組みを整えていきましょう。  

「うちの契約内容、大丈夫かな?」と感じたら、ぜひ早めに専門家へご相談ください。  

――――――  当事務所では、外国人派遣スタッフの受け入れに必要な契約や労務管理体制のチェックをサポートしています。  初回のご相談は無料です。お気軽にホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。  

#派遣会社 #外国人材 #技人国 #在留資格 #入管庁調査 #労務管理 #社会保険労務士

記事の詳細はこちら↓

https://news.yahoo.co.jp/articles/8941d07b19bad22d048a09decb2e8fe93f650a5a

2026年度スタート予定:学校支援派遣に法人税減税 ― 派遣会社に広がる新たなビジネスチャンス   2025.08.15

文部科学省は2026年度から、企業が社員を教育現場へ派遣する際に、法人税の減税を受けられる新制度を導入する方向で動いています。  

https://news.yahoo.co.jp/articles/10e539dbabf10896bd4a1b365536999b872ee648


対象となるのは、工業高校の非常勤講師や、公立中学校の部活動指導者など。就業時間中に学校で活動した分の給与相当額の一部を、法人税から控除できる仕組みが検討されています。 

 
この制度の背景には、教員の働き方改革や部活動の地域移行、さらに次世代の高度人材育成といった社会的課題があります。求人倍率20倍という工業高校の現場に、産業界のノウハウや経験を直接届けることは、教育の質の向上にもつながります。  


派遣会社にとっては、この動きは単なる人材派遣ではなく、社会的意義の高い事業展開の可能性を示しています。  


例えば――  ・製造業やIT企業の技術者を教育現場へ派遣  ・地域のスポーツ指導経験者を部活動外部コーチとして派遣  ・派遣期間中の人件費の一部が税額控除の対象となる可能性  


これにより、派遣先の多様化や、社会的貢献度の高い案件の創出が期待されます。  
一方で、新制度を活用するには、労務管理や契約形態の見直しが必要となります。就業時間の扱い、派遣法の適用範囲、教育現場での安全管理など、検討すべき課題も少なくありません。  

しかし、制度が整えば「社会課題解決に直結するビジネス」として派遣会社の存在感を高める大きなチャンスになります。  
2026年度の制度開始に向けて、今から情報収集を行い、自社に合ったモデルケースを準備しておくことが重要です。 

 
当事務所では、派遣会社向けに制度活用に必要な労務管理や契約設計についてのご相談を承っております。 

 制度を上手に活かし、社会貢献と企業メリットを両立させる仕組みづくりをご検討ください。  
#派遣会社 #学校支援 #法人税減税 #人材派遣 #働き方改革 #部活動地域移行 #人材育成

 

派遣に関するコラム記事掲載について(2025年8月人材ビジネスナビ)   2025.08.01

ユニテックシステム株式会社様の運営する「人材ビジネスナビ」において、当代表が執筆した2025年8月分のコラムが掲載されましたので、ご報告いたします。

テーマ)「マージン率等の情報提供」を作成しよう

下記よりご覧いただけますと幸いです。

https://jinzai-biz.com/employment_labor/10573/

 

これからも派遣事業にかかわる方へ、有益な情報を毎月発信してまいります。

1/29派遣先企業様向けウェビナー開催のお知らせ   2025.01.27

ご好評につき、株式会社キャムテック様と共催にて

第2回派遣先管理担当者向けウェビナーを開催いたします。

日時)1月29日(水)10:30~12:00、入退場可

参加費)無料

 

当代表社労士:泉 文美が登壇し、「派遣の勤怠管理」について派遣先企業様からのご質問にお答えします。

 

参加無料ですので、ご都合がよろしければご参加いただければ幸いです。

http://mmjinji.com/haken webseminor 20250129.jpg

派遣事業報告書の作成代行承ります!   2024.05.02

派遣元責任者様

 

毎年6月に提出が義務付けられている派遣事業報告書ですが、

本年2024年6月提出分より書式が変更になりました。

※参照)https://www.mhlw.go.jp/content/000766062.pdf

 

そこで、皆さまの労働時間削減のため、当方が派遣事業報告書の作成をまるごと承ります。

 

現在、コロナ禍が明け、労働局による派遣に関する調査が数年活発になっており、

半年以内に2回連続で調査に入られて是正指導を受けた派遣元のお客様がありますので、

貴社におかれましても未然防止がますます重要になっています。

 

派遣に関わる報告書3種類が適切に作成、提出されていませんと、

役所の監査対象として選ばれやすくなりますので、派遣報告書作成代行を

ご提案しています。

 

ご興味をもっていただけましたら、HPお問合せよりお気軽にご連絡くださいませ。

ご連絡をお待ちしております。

全省庁統一資格(関東甲信越)取得について   2024.03.15

当事務所は、全省庁統一資格(関東甲信越)を取得しましたのでご報告します 。(令和6年3月11日付)

これにより関東・甲信越の行政機関よりご依頼を承ることができるようになりました。

http://mmjinji.com/shikakushinsa20240311.pdf

派遣社員との労使協定締結はお済ですか?   2024.02.25

派遣元の経営者または派遣元責任者の皆さまへ

労働局の調査や同一労働同一賃金対応でお困りではありませんか?

2020年4月以降、同一労働同一賃金対応が始まり、労働局の派遣事業担当部署である需給調整事業課による定時調査が活発になっています。

近年は調査内容が厳しくなっており、下記について注目されています。
1)労使協定方式に基づく書類が整備されていますか?(派遣事業報告書に添付)
2)派遣社員給与を決める派遣社員の人事評価が公正に行われていますか?
3)派遣社員の給与を正しく支給していますか?(賃金台帳も確認)

派遣元責任者講習の講師を10年以上務め、70社以上の派遣会社をご支援した実績のある社会保険労務士がサポートします。

令和6年度労使協定を3月中に作成し労働者代表者と取り交わす必要がありますので、派遣法に合致した内容で労使協定を作りたいお客様は下記までお気軽にご連絡ください。

<連絡先>
担当者:泉 佳男
E-MAIL y-izumi4864@mmjinji.jp

インフレ・円高……我が社は賃金アップをする?しない? 調査データにみる企業の葛藤   2023.03.01

2023年4月から労基法によって中小企業に対しても時間外労働に対する割増賃金率の引き上げが求められることになっています(*詳細は下記ご参考資料)。

その一方で賃上げによって、従業員のインフレによる経済的負担を軽減しようという動きも出てきています。昨年12月の消費者物価は4%増。40年ぶりの上昇率となったことから、働く人の賃上げの要望・期待の声が上がるのは無理からぬことでしょう。

それに対して企業はどのような対応状況・意向なのか、調査データからみていきます。

 

 

◾️「割増賃金率引き上げ」しなくては…しかし対応が遅れる中小企業

 

目の前に迫った、法令施行。エン・ジャパンが昨年末中小企業対象に行った調査によると、この「割増賃金率引き上げ」について、8割の中小企業が「知っている」(内容も含めて:36%、概要だけ:44%)と回答しました。

 

そして、65%の企業が「従業員への正当な報酬として当然」「長時間労働をさせないという企業にとっての抑止効果になる」などの理由から肯定的に捉えていることもわかりました。

 

ただ、割増賃金率の引き上げに対応にあたって「経営に支障が出る」と考える中小企業は4割。そのためか、なかなか取り組みは進んでいないのが現状のようです。

 

調査が行われたのは2022年12月でしたが、その時点で「既に必要な対応を完了した」と回答した企業はわずか11%、「対応方法が決まっている」(取り組んでいる、取り組む予定)も29%という結果でした。



◾️「人材が最も重要な投資分野」の一方、

6割の中小企業は物価の上昇にともなう賃金反映「対応予定なし」

 

日本生産性本部の調査では、「従業員への投資が重要」と答える企業が9割を超え、これは「IT」「研究開発」の2倍のポイントとなっています。企業規模にかかわらず、企業が人材が最重要と考えていることがはっきりとわかる結果と言えます。

 

 そして、最近の消費者物価の上昇を正社員の給料に反映するかどうかについて、ベースアップや一時金支給など「何らかのかたちで対応する」と答えた企業が6 割近くを占めました。

 

 ただし、回答した企業のうち、従業員数 300 人未満の中小企業に限ってみてみると「対応する予定はない」が 55.7%となっています。

その理由は「いったん賃金を上げると下げられない」「生産性が高まっていない」など挙げられており、ここでも難しい経営に直面する企業の姿が伺えます。



 

◾️「給与が高い企業へ」就活学生や派遣社員にみる動き

 

ただ、働く側にはジリジリと「背に腹は変えられない」という意識は高まっているようです。

理科系学生の就活サイトを運営するテックオーシャンの行った24年卒理系就活生対象のアンケートによると、就職先選びの第一条件は「給与・待遇」(55.1%)で、これは他の条件を大きく引き離しています。

また、エン・ジャパンの行った派遣社員に対する調査では、前年に比べて時給がアップした派遣社員は24%でしたが、その約半数は「時給の高い仕事への転職」によるもの。自ら、あるいは担当者を通じての「勤務先との交渉」などに比べてこちらも突出しています。



人材の大切さを感じていながらも、給与・待遇を改善するのに二の足を踏む中小企業。今後の経済状況にもよるのかもしれませんが、各社とも人材の確保のために対応が急がれている状況と言えそうです。



 

みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、法令に即した給与制度や社内規定の変更などについてのご相談も可能です。

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。



 

ご参考:

■厚生労働省/中小企業の事業主の皆さまへ

「2023年4月より月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」

https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

 

■エン・ジャパン株式会社/中小企業550社に聞いた「割増賃金率引き上げ」実態調査

(2022年12月~2023年1月)

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/32081.html

 

■日本生産性本部/「人材を生かす賃金」に関するアンケート調査

(2022年12月)

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/innocon20221219_pres.pdf

 

■テックオーシャン株式会社/企業選びの条件「1位は〇〇」24卒理系就活生574名本音アンケート!(2022年7月)

https://techoffer.jp/rikeishukatsu/questionnaire2/

 

■エン・ジャパン株式会社/「派遣の給料・時給」についてのアンケート調査

(2022年12月〜2023年1月)

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/31942.html





(文責:コラム担当/金田千和)

 

 


 

 


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「予め料金が分かっているので、安心して申し込めます」

 「料金交渉が不要で助かります」

 「時間単価は一定なので、研修時間数を調整すればいいから、予算との折り合いも簡単にできます」

 などなど、多くのお客様に喜ばれております。

セミナーについて

当事務所セミナー会場(27Fスカイラウンジ)で、当事務所が独自にテーマを設定し、お申し込み頂いた、複数の会社様にご参加頂くものです。

セミナー開催実績例
  • 介護事業者様向け「改正介護保険法セミナー」
  • 介護事業者様向け「介護労働環境向上奨励金セミナー」 3回
  • 新規採用をお考えの事業者様向け
    「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」
  • 飲食店様向け「元ハローワーク職員が教える!求人助成金セミナー」

講演について

当事務所代表が会社様や、ご同業者の集まりに訪問し、ご依頼されたテーマ(一般的な課題)について原稿を作成し、講演するものです。

講演実績

日本経営開発協会様 御紹介
市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

  • 非常に分かりやすく、90分飽きさせることのない素晴らしいものだった。
  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

講演会の講師紹介・講師派遣なら講演依頼.com

研修について

当事務所代表が、会社様のご依頼に基づき、会社様の具体的な人事労務に関わる内容(個別事案)について、オーダーメイドのプログラムを作成し、社員の皆様に研修するものです。

研修のご依頼例

  • 就業規則を変更したので、わかりやすい説明会を開いてほしい
  • 給与規定を見直したので、従業員に説明をしてほしい
  • 従業員向けの、接客マナー、敬語などのレッスン会をしてほしい

執筆のご依頼

雑誌・メルマガ、HPコラムなど、ご希望に沿ったテーマで記事を執筆いたします。

掲載履歴

HP記事執筆

ハッケン!リクナビ派遣に「働き改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」と題する記事を執筆しました。

「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

元職員が指南する!ハローワークの効果的な利用の仕方

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