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進む「出社回帰」。「テレワーク離れ」の理由は?   2023.01.27

2020年以来、約3年間労働環境にも大きな影響を与えてきたコロナ禍。ここにきて、マスクの着用推奨の緩和や、春頃に「5類」にされる見通しもあり、その流れもあってか、ここ数ヶ月で企業の従業員の出社勤務を増やす傾向が顕著です。その実情と影響についてみてみました。



◾️テレワーク継続企業は半数近くに。「『コロナ対策』終了=出社」の企業も

 

日本生産性本部の「第11回 働く人の意識調査」によると、企業のテレワーク実施率は2020年5月には31.5%でした。しかし、2022年10月には、17.2%と大きく減少傾向にあります。

 

この背景として考えられるのは、「コロナ対策」として取られてきたテレワークをやめる企業の存在です。

 

それは、就職情報企業の学情が人事対象に2022年12月に行った「勤務形態」に関する調査結果にも現れています。

 

同調査によると、「在宅勤務・テレワークを導入していますか」の問いに対して「コロナ以前から導入している」と答えた企業はわずか5.1%。「コロナ対策として導入した」企業は全体で72.1%で、そのうち「現在も継続している」のは46.1%、「現在は実施していない」のは26%でした。

 

コロナの収束状況に合わせて、対策としてのテレワークをやめる傾向は、今後進んでいくと考えられます。



◾️「テレワークを続けたい」労働者。3年間で意識変化も。

 

しかし、一方で働く側の意識やライフスタイルはこの3年間で大きく変わり、テレワークに対して魅力を感じる人も増えていることは否めません。

 

前述の日本生産性本部の調査でも、働く人に対して「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」と聞いていますが、8割近くの人がテレワークの継続を希望しています。「仕事の効率が上がった」人も6割、「働き方に満足している」人も8割にのぼりました。

 

内閣府の調査の中でも、テレワークになったことでの生活・仕事意識の変化について触れられています。通勤の時間やストレスが減り、家事・育児をゆとりを持ってできる、趣味や家族との時間が取れるといった、ワークライフバランスの向上を体感している人が多いようです。

 

この3年間で「新様式」という言葉も生まれましたが、働く側としてテレワークが1つの「新様式」、選択したい働き方として認識されるようになったことは確かです。実際、派遣人材募集においても「テレワーク可能」は人気の案件となっているのは多くの方が知るところでしょう。



◾️「企業のテレワーク離れ」の原因は?

 

当初は、通信環境など働く側のテレワーク環境やセキュリティが課題と言われてきた日本国内のテレワーク。しかし、この3年間でテレワークが可能な環境条件は整備されてきています。

 

にもかかわらず、働く側の希望がありながらも、テレワークが減っているのはなぜなのでしょうか。

 

世界的に見ると、コロナ禍を契機にテレワークが発展して、そのまま新たなワークスタイル・ビジネススタイルとして定着していく傾向は自然な流れになっています。さらに、テレワークに伴うニーズが、通信やECコマースなどをはじめとしたビジネスに恩恵をもたらしている状況もあります。

 

考えられるのは、欧米とは異なる日本独特の雇用組織マネジメントです。

 

ご存知のように、多くの欧米企業では職務型、ジョブ型と言われる採用とマネジメントが行われています。企業は必要とする仕事・役割に見合った能力を持つ人を採用します。そしてその職務内容も細部まで定め、仕事の成果に応じた賃金を支払います。

 

なので、働く側は、その仕事に専念し期待される成果を上げさえすれば良いので、上司からの細かい指示・管理がなくとも、仕事を遂行しやすい状態です。テレワークにも適した形といえるでしょう。

 

それに対して日本は、仕事や役割を明確にせず、人材採用を行う企業が一般的です。メンバーシップ型と呼ばれますが、社内で時間をかけて教育・育成して成果を出せるようにしていく形です。

 

従って、マネジメントする上で必要とされるのは「業務における成果」の他に「企業に対するロイヤリティ」「仕事への取り組み姿勢」といった定性的な要素です。これに対しての、プロセス管理も必要となってきます。

 

テレワークでのマネジメントがシンプルにいかない、社員・スタッフのテレワークを継続することに二の足を踏んでしまう原因の1つになっているようです。



一足飛びに組織のマネジメントを変えてしまうのは難しいことです。しかし、うまくテレワークを併用することで、テレワークを希望する社員・スタッフの働く満足度は上がりますし、人材確保の上でメリットは大きいと言えます。

 

そういった意味で、テレワークを継続するかどうかは、企業にとって1つの岐路となっているのかもしれません。



みなとみらい人事コンサルティングでは、人事・労務に関わる最新情報を元に、貴社の状況に合わせたご相談に応じています。

また、創業以来テレワークでの事業運営をしてきた実績から、その導入方法やマネジメントに関しても実践的なアドバイス・コンサルティングが可能です。

 

お問合せ・相談フォームから、お気軽にお声がけください。初回の相談は無料です。

 


ご参考:

 

■日本生産性本部/新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第11回「働く人の意識調査」2022年10月)

https://www.jpc-net.jp/research/detail/006105.html

 

■株式会社学情/「勤務形態」に関する企業調査(2023年1月)

https://ferret-one.akamaized.net/files/63a7dc1963d8604e1c96ab6e/230113-comenq.pdf?utime=1671945241

 

■内閣府/新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(2022年7月)

https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/covid/pdf/result5_covid.pdf



(文責:コラム担当/金田千和)



 


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市川港開発協議会様 主催 研修

「マイナンバー通知開始!
今知りたいマイナンバー制度の傾向と対策」

【参加者様からのお声】

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  • 非常に役に立ち、興味が持てる内容だった。
  • 普段は講義に集中するのは難儀なのだが、話のスピード、声のトーン、間、どれを取っても感心するばかりだった。
  • マイナンバーが今後いろいろな問題を引き起こす可能性があることがよくわかり、大変勉強になった。早期に確実な運用体制を社内に確立させなければと思った。

一般社団法人 港湾労働安定協会 様 主催
雇用管理者研修「職場のメンタルヘルスに関して(会社を守る職場のメンタルヘルス対策)」

【参加者様からのお声】

  • メンタルヘルス対策は今後も重要になってくると思うので、このような研修会を増やして貰いたい。
  • 社会保険労務士による内容を次回もお願いしたい。
  • メンタルヘルス関係で初めて面白い(役に立つ)情報が聞けたと思います。
  • 大変に良い研修ですので、これからも続けて貰えるとありがたいです。
  • 中間管理職として守るべきというか、部下に対してどのような人事労務管理をすればよいのか、中小企業向けに別途講習会をやってほしいと思った。
  • 株式会社LEC 様 主催
    「介護雇用管理研修」業務委託登録講師
  • 株式会社フィールドプランニング 様 主催
    「派遣元・派遣先責任者講習」業務委託主任講師
  • 神奈川韓国商工会議所様 主催
    経営者セミナー「お役立ち助成金講座
    (雇用の確保と5年ルールへの対応策)」
  • 日本経営開発協会様 御紹介
    株式会社根布工業様 主催
    安全大会「入ってないと、どうなっちゃうの?社会保険のこわ~いお話」
泉文美 講師紹介ページ

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「働き方改革!派遣社員が選べるふたつの雇用とは」

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号

「近代中小企業」2月号に記事を執筆しました。

「元ハローワーク職員が教える!ハローワーク求人&助成金活用法」

「SR」 9月号

SR 9月号

ハローワークを始め、社会保険事務所(現:年金事務所)、労働基準監督署でも勤務経験を持ち、「お役所の裏事情に詳しい社労士」として定評のある我がみなとみらい人事コンサルティング代表。

ハローワークでの勤務経験を買われ、日本法令様出版の「SR 9月号」に記事を執筆しました。

(第27号 2012年8月6日発売)

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